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第72回 証人として宣誓証言のための召喚令状を受けた場合の対応

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今回は、当事者ではないにも関わらず、民事訴訟に関わって証人として召喚令状を受けた場合の対応について、簡単にご説明します。

召喚令状(subpoena)とは、告訴状(家庭裁判所の場合は離婚申請書)が裁判所に提出された後、さまざまな疑問点や問題を解決するために証人や証拠書類を法的に提出することによって当事者の意見と状況を実証するための令状です。主な召喚状は、証人(専門家)に対して宣誓証言(deposition)を求めるものと、証人(専門家)から証拠書類の提出を求めるものの2種類があります。

通常、召還礼状は、裁判書類配達専門のメッセンジャーによって、証人の自宅または職場に直接届けられます。ですから、まず、自分が召還礼状を受けるべき本人であることを確認する必要があります。

次に、何の訴訟に関して、いつどこで宣誓証言を求められているのか、召還礼状の内容を確認します。さらに、裁判規定に従って、その宣誓証言を行わなくてはならない日まで祝休日を除いて5日以上あるか確認します(CR30)。もし指定された日時が都合にあわなければ、すぐに召還礼状の送信先(通常は弁護士事務所になっています)に連絡し、日時を調整する必要があります。

宣誓証言の当日までにするべきことは、訴訟に関わる情報収集、特に発生した出来事や訴訟当事者との会話等を時系列にまとめ、それに関する資料を用意します。ただし、その資料は裁判証拠物として開示を求められる可能性があるので、資料を持ち込むかどうか考慮する必要があります。

宣誓証言に参加するのは、通常、宣誓証言をする証人、訴訟当事者(告訴人または被告人)とその弁護士、相手弁護士、法廷速記者です。時として、告訴人と被告人の両方が参加することもあります。また、もし通訳者を必要とする場合は、法廷認可の通訳者が出席します。特別な理由により証人本人が参加できない場合は、ビデオでの宣誓証言を求められることがあります。

宣誓証言の当日は、弁護士に聞かれた内容に対して、簡潔に、事実として知っている範囲で返答し、質問された内容以外のことについての説明等は避けることが効果的です。もし、真実と異なる発言をすると、偽証罪に問われます。また、推測、説明や理由等が多いと、それに関しても検査や更なる質問が入り、本来の目的からそれるだけでなく、証言の信憑性までも疑われかねません。その上、時間も多くとられるため、弁護士料を支払う訴訟当事者の負担が大きくなります。

最後に、宣誓証言は、時として、証人が保持している資料を弁護士に開示しなかったり、 訴訟内容についての質問に答えなかったり、真実でないことを発言したりと、証人が弁護士に対して非協力的であるために執行されることがあります。従って、仮に訴訟の当事者ではなくても、訴訟に関連する証人として告訴側または被告側の弁護士から質問を受ける場合は、知っている範囲で冷静に真実を述べることをお勧めします。

シャッツ法律事務所
弁護士 井上 奈緒子さん
Shatz Law Group, PLLC
www.shatzlaw.com

当コラムを通して提供している情報は、一般的、及び教育的情報であり、読者個人に対する解決策や法的アドバイスではありません。 読者個人の具体的な状況に関するご質問は、事前に弁護士と正式に委託契約を結んでいただいた上でご相談ください。

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