ワシントン州では、2018年1月1日から病欠は有給にすることが州法によって義務付けられました。(Initiative 1433)
立法後間もないことから、多くの企業・経営者の方は企業規定や従業員手引きなどをどのように変更・改定すべきか思考錯誤しています。そこで、今回は、従業員手引き等、企業内の規定を変更する際に参考になる事項を簡単にご紹介します。
- 最低賃金法・公正労働基準法が適用される従業員のみが対象となる。つまり、上級一般職は対象外。
- 実際の勤務時間40時間につき1時間の有給病欠が認められる。つまり、残業した場合は、残業代も計算した上で有給病欠の時間が算定されるが、有給休暇分は加算されない。
- 前年に使わなかった有給病欠は次年度40時間まで繰越しが可能。
- 新任の従業員に関しては勤務開始後91日後から有給病欠が適用される。
- 有給休暇をすでに与えている雇用者は、有給休暇を有給病欠として適用することが可能。
なお、企業によっては、最低賃金法・公正労働基準法が適用される従業員に対して時間給ではなく月給を与えているところもありますが、月給が適用されていても、従業員の労働時間を換算し、その算定にしたがって勤務時間40時間につき1時間の有給病欠を算出する必要があります。従って、週単位で残業時間を含む従業員の就業時間を記録しておく必要があります。
また、上級職員の有給病欠に関しては、基本的に月給を受け取っているため、時間単位ではなく、日単位で病欠を認めなければなりません。間違った解釈と計算で不当に上級職員の欠勤分を給与から天引きすると違法と見なされ、罰金等の対象となります。従って、専門家のアドバイスを基に、企業固有の規定に沿った規定を設定する必要があります。
シャッツ法律事務所
弁護士 井上 奈緒子さん
Shatz Law Group, PLLC
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