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第105回 レストラン業界に関するワシントン州労働法およびシアトル市条例改正について

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2017年1月より、ワシントン州労働法が改正され、ワシントン州の最低賃金制度が施行されたため、ワシントン州で最低賃金が時給11ドルに引き上げられました(15歳以下の労働者に関しては時給9.35ドル)。

注目されるのは、この新たな最低賃金制度に加え、「レストランなどの経営者は、利用客が支払ったチップ、心付け(gratuity)、サービス・チャージを従業員に渡す必要があり、また、それを最低賃金の支払いに含めてはならない」と定められたことです。

つまり、従業員がチップを受け取る場合、「チップの額を含めて、最低賃金さえ支払えばよい」としている連邦法や他州の州法と異なり、ワシントン州では、「レストランの経営者は、従業員が受け取るチップとは別に、時給11ドルの最低賃金を保障しなければならない」ということです。

これにより、「レストランでの支払いにクレジットカードを使用した場合に発生する手数料や源泉徴収税などの諸経費を雇用者はどのように取り扱うべきか」という新たな問題が生じています。

チップ、心付け(gratuity)、サービス・チャージや源泉徴収税の税務上の取扱いがあいまいなことは問題の一つですが、基本的には、「チップはチップ収入」「サービス・チャージは通常の給与」として取り扱うという、これまでの方法と同じように対処されると予測されています。
さらに、シアトル市においては、今年7月から、大規模な小売店や飲食店の従業員を保護する新しい条例(スケジュール保障条例:Secure Scheduling Ordinance)が施行されます。

対象となるのは、世界で500人以上の従業員を雇用する小売業・ファストフード事業、または、500人以上の従業員を雇用し、40以上のレストランを運営するレストラン事業を営む企業です。

この条例においては、下記の5つの項目が重要です。

  1. 企業は、従業員の雇用に際し、平均的な推定勤務時間を提示する。
  2. 従業員は、企業に対し、勤務時間の希望を伝えることができ、企業は真のビジネス上の理由がない限り、重要な希望に応じなければならない。
  3. 企業は、勤務スケジュールを14日前までに提示しなければならず、勤務時間を追加・変更する場合は1時間分の給与相当額の Predictability Pay を支払い、また、勤務時間を短縮する場合には予定勤務時間の半分の給与を支払う必要がある。
  4. 従業員は、当初のスケジュールへの追加勤務を断ることができる。
  5. 企業は、追加の従業員を雇用するに先立ち、既存の従業員に勤務時間の追加を打診しなければならない。

シャッツ法律事務所
弁護士 井上 奈緒子さん
Shatz Law Group, PLLC
www.shatzlaw.com

当コラムを通して提供している情報は、一般的、及び教育的情報であり、読者個人に対する解決策や法的アドバイスではありません。 読者個人の具体的な状況に関するご質問は、事前に弁護士と正式に委託契約を結んでいただいた上でご相談ください。

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