雇用者が下記のような給料の天引きをすることは、ワシントン州 RCW 49.52.050によって法的に禁止されており、犯罪とみなされています。
- 従業員が会社から借金をしている、または会社に借りがあると判断し、従業員の給料からのその分をを天引きすること。
- 法律、または雇用契約で規定されている従業員の給料と相違する低額の給料を与えること。
- 給料明細の金額よりも低い給料、または給料明細と異なる給料を従業員に与えること。
- 給料明細などの給料天引きを証明する記録や従業員への報酬に関する記録を改ざんしたり、その改ざんを故意に無視すること。
- 給料天引きの理由として虚偽の領収書を利用すること。
例えば、従業員が米国に違法滞在をしていることを利用し、雇用者がその従業員に他の従業員よりも低い賃金を与えることや、従業員が前もって十分な通達を雇用者にせず退職したことを理由に雇用者が最後の給与の支払いをしないこと、または、従業員が会社の所有物に損傷を与えたため、その埋め合わせとして従業員の給与から損傷額を差し引くことなどは、法律違反となります。
もし、従業員がこのような給与天引きをした雇用者に対して法的手段に訴えた場合、被害額、つまり天引きされた額の2倍の損害額を雇用者に請求することができます。(RCW 49.52.070)
仮に、従業員が雇用契約書違反または就業規則違反でとがめられたとしても、それを理由に雇用者がその従業員の給料天引きをすることはできない場合があります。
雇用者が違反対象の従業員の給与から天引きする理由が正当であると判断する場合は、個別の事情に沿った法的判断が必要になるため、事前に専門家に相談した上で対応することをお勧めします。
シャッツ法律事務所
弁護士 井上 奈緒子さん
Shatz Law Group, PLLC
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