年末が近づき、特に小売店や納入業者にとっては忙しい時期に入ります。企業としては契約社員や臨時社員を採用して売り上げの追い込みを狙っているところも少なくないでしょう。今回は、この時期に頻繁に問題になる残業手当、勤務中の休憩時間、最低賃金に関わる法律をご紹介します。
残業手当て
残業手当て(超過勤務手当て:Overtime Pay)の対象とならない従業員は “Exempt Employee” と呼ばれます。残業手当ての支払いの対象とならない職種とは、1) 企業の役員や専門職の職員、 2)コミッション業務の社員、3)運転手や技工士、4)農業従事の社員などです。それ以外の社員は、月給(Salary)で働く社員はもちろん、仮に時間給や出来高払いで働いていても、残業手当ての対象社員(Non-Exempt Employee)となります。
ワシントン州法(RCW 49.46.130)では、従業員が週に40時間以上働いた場合、残業手当てとして40時間を超えた時間分について1.5倍の報酬を支払うことが義務付けられています。年俸で働く従業員はもちろん、時給や出来高払いで働く従業員も対象となります。ただし、仕事の種類によっては残業を必要とする週と必要としない週があり、雇用者にとって忙しくない時にフルタイムの給料を支払い、忙しい時には残業手当ても支払うという二重稼ぎのような待遇を強いられることもあるので、そのような場合は、1ヶ月単位または1年単位で就業時間を換算し、従業員が平均して1週間に40時間以上働いていたと判断された段階でその残業分をまとめて支払うことも可能です。なお、出来高支払いを受ける従業員に対する残業代は、1つのプロジェクトを完成する平均時間を換算し、出来高量に基づいて業務時間が1週間40時間を超えた場合に支払われます。
休憩時間
ワシントン州法(WAC 296-126-092)では、従業員に対し、4時間ごとに10分の休憩時間を与えることが義務付けられています。食事時間については、就業開始後2時間以降5時間以内に少なくとも30分間の休憩時間を与えることが義務付けられていますが、オフィス・業務をを離れて従業員が自由に食事を取る場合は、食事時間中の支払いは義務付けられていません。
最低賃金
ワシントン州の最低賃金は2012年1月より現在の1時間$8.67から1時間$9.04になります。ちなみに、連邦法で定められている現在の最低賃金は$7.25ですが、レートの高いほうが適応されるので、ワシントン州で働く従業員(契約社員も含む)には現在$8.67の支払いが義務付けられています。
シャッツ法律事務所
弁護士 井上 奈緒子さん
Shatz Law Group, PLLC
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