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第29回 C Corporation(C 株式会社)とLLC(有限会社)の利点と欠点

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第16回のコラムでアメリカで会社を設立する際に企業のタイプにさまざまな選択支があることと、その手続きの方法をご説明しました。今回は日本人企業家がよく選択する C Corporation と LLC についてもう少し詳しくご説明します。

C Corporation(C 株式会社)

C Corporation(C 株式会社)は連邦所得税法によって、企業レベルと株主レベルで税金が別々に課されます。従いまして、企業の収入に対して法人所得税、株主への株の配当があった場合は配当税が二重に課税されます。

この企業体の利点は、2種類の株(優先株と普通株)を発行でき、企業内における立場の違いによって違う株の種類を配当できることです。例えば、従業員には普通株のみの自社株購入権を許可することによって企業経営に関する投票権を与え、企業に対する忠誠心と献身を促進する材料に使えます。それに対して優先株は、配当と企業の利益に対する清算に優先権を持つため、特に企業の利益向上が予想される場合は、企業が経済力のある投資家や企業家からの援助を集める材料になります。従って企業収益がほとんどない場合や従業員がほとんど存在しない場合は、この C Corporation はあまり有益ではありません。

C Corporation の所在地に関しては、ワシントン州のみで事業を展開する場合はワシントン州に登録し、ワシントン州法(Title 23B RCW)に基づいて経営するのが通常ですが、もしワシントン州を含む米国全土に展開する場合は、仮にデラウェア州に企業が所在していなくてもデラウェア州で法人化することもあります。

なぜなら、デラウェア州は州内に事業所がない企業に対して法人所得税を課さないうえ、提出すべき書類が少なくてすみ、同州外で事業を運営しているデラウェア州企業もデラウェア州法に従う仕組みになっているため、全米で事業をする企業はそれぞれの州の法律ではなく、デラウェア州法のみに基づいて経営できるからです。

さらに、企業の訴訟問題があった場合、裁判所がこうした企業訴訟に慣れているため、効率的な訴訟過程が期待されるからと言われています。また、ネバダ州を選択する企業家も多くあります。ネバダ州の場合、企業の株式などの情報公開にそれほど制約がなく、州法人所得税(Franchise Tax)が課されません。従って、仮に州法人所得税(Franchise Tax)が課されるカリフォルニア州に所在していたとしても、法人化をネバダ州で行う企業も多くあります。

なお、C Corporation に対して、普通株のみの発行が許可され、株主レベルのみに課税され二重課税のない S Corporation もよく選択されますが、株主の全員がアメリカの市民権、または永住権を持っていなければならないので、日本人企業としてはあまり存在しません。

LLC

LLC(有限会社)は、C Corporation に比べて政府に提出する書類も少なく、事業経営や企業所有権に関して融通が利き、事業の損益に関して経営者間で契約書を通して自由に分配できます。

例えば、自分のパートナーが4万ドルを起業時に貢献し、自分が1万ドルしか貢献していなかったにも関わらず、自分が90%の仕事をこなした場合、自分とパートナーとの契約上で収益を50%/50%ずつ分けることが可能です。それに対し、S Corporation の場合、パートナーが4万ドル、自分が1万ドルの貢献をしていれば、どんなに自分が仕事をしても、企業収益の20%しか報酬がもらえません。

また、LLC はパス・スルー主体課税であるため、企業収入に対する二重課税はありません。その上、企業収益によっては C Corporation の法人税と配当税を組み合わせた税金率と比べて LLC の法人税率はかなり低くなるので、従業員がほとんどいない企業体、特にスタートアップの企業ですべての人員が企業利益のために一緒に働く起業家として機能している場合は、LLC が最も理想的と言えます。

さらに、C Corporation に設定して後に LLC にすることは不可能ですが、もしLLC を設定して後に C Corporation に変更することは可能だということも利点の一つです。ただし、LLC は個人事業者と同じように税金が課され、それにかかる税金が S Corporation のように区別されていないため、税金対策上、不利になることもあります。

シャッツ法律事務所
弁護士 井上 奈緒子さん
Shatz Law Group, PLLC
www.shatzlaw.com

当コラムを通して提供している情報は、一般的、及び教育的情報であり、読者個人に対する解決策や法的アドバイスではありません。 読者個人の具体的な状況に関するご質問は、事前に弁護士と正式に委託契約を結んでいただいた上でご相談ください。

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