『America’s Got Talent』(アメリカズ・ゴット・タレント)というリアリティ番組をご覧になったことがありますか?『American Idol』 や 『The Voice』 といった歌唱力を競い合うリアリティ番組と違って、歌もあればダンス、コメディ、マジックなど、分野の異なる人たちが、全米からの人気投票で競い合う番組です。
そこで今週、日本出身のエビケンことダンサー・パフォーマーの蝦名健一さんが、見事、優勝しました。エビケンさんはニューヨークのハーレムのアポロ劇場のダンス・コンテストで優勝したものの、一部の人以外には知られていなかった、地道にやってきた39歳のベテランです。彼のパフォーマンスはとてもクリエイティブなので、ぜひご覧になってみてください。
さて、彼のオリジナルなパフォーマンスはカナダ人(Howie Mandel)、イギリス人(Mel B)、ドイツ人(Heidi Klum)、アメリカ人(Howard Stern)の審判4人に絶賛され、全米からの投票で優勝したのですが、ネットで見る優勝についての記事には、「どうしてアメリカ人でないパフォーマーが参加できて優勝し、100万ドルを勝ち取れるのか。これはアメリカ人のタレントを見つけるための番組で、外国人がアメリカ人のチャンスを奪った」といったものから、「どうして日本人がアメリカのタレントを見つける番組に出ているの?」といった質問、そして、「彼は20年以上アメリカに住んでいる。お前は差別主義者だ」といった書き込みまで出てきました。
アメリカは移民の国と言われますが、永住権保持者と市民の違いを知っているアメリカ人はあまりいません。このテレビ番組はグリーンカード、または就労ビザを持っていれば参加できるようで、上記の書き込みは、アメリカの中での「誰がアメリカ人なのか?」といった疑問を象徴しているようです。
移民の国としてのアメリカは、太平洋戦争中に日系アメリカ人が収容所に入れられた時代から、公民権運動などを経て、さまざまな変化を遂げてきました。それでも、明らかな差別はありますし、偏見・無理解・誤解などがあることも明らかです。
一番最近では、メキシコ系アメリカ人の男の子が NBA のプレーオフでアメリカ国家を歌った時は、「不法移民がアメリカ国歌を歌っている」といったことが言われましたし、今年度のミス・アメリカになったインド系アメリカ人の Nina Dvuluri さんについても、「アラブ人がミス・アメリカになった」「テロリストがミス・アメリカになった」などのツイートがたくさんありました。
上記はそういったツイートのまとめです。記録に残るネットにこんなことを書き込むのかといったものまであります。
アメリカでは、エビケンさんのように、日本生まれで大人になってアメリカに来たために英語がネイティブでなくても、能力があれば仕事も見つかりますし、アメリカン・ドリームを実現できます。
でも、何世代にもわたってアメリカに住んでいる人々にとっては、「自分たちのものを奪い取られる」といった危機感があるのは確かです。また、オバマさんを大統領に選ぶ人がいる一方で、今でもオバマ大統領はアメリカ人でないと信じている人がいるのもアメリカです(大統領になるには、アメリカ生まれのアメリカ人である必要があります)。
ミス・アメリカに選ばれた Nina さんが一連のネガティブなコメントに対して言ったことは:
“I have to rise above that. I always viewed myself as first and foremost American.”
アメリカで育つ皆さんのお子さんたちが、日系アメリカ人として生きていく時に、心に留めておいてほしい言葉です。
Studio Mene and Counseling Services
高田 Dill 峰子さん
Mineko Takada-Dill, MA, LMHC, ATR
カウンセリング:Rockwood Office Park 1409 140th Place NE, Bellevue, WA 98007
アート・セラピー・スタジオ:7048 27th Avenue NW, Seattle, WA 98117
【電話】 (206) 276-4915
【メール】 info@studiomene.com
【公式サイト】 jp.studiomene.com
詳細プロフィールはこちら