Q:2歳半の男の子の父親です。日本から長期滞在の予定で、2年前に妻と渡米しました。最近、朝起きるのが辛く、アメリカ企業で精一杯仕事をして帰宅すると、妻が待ってましたといわんばかりに、子どもの世話を押し付けてきます。その上、妻はきれい好きで、少し散らかすと機嫌が悪くなり、最近言い争いが絶えません。
A:シアトルの秋は例年なら雨にぬれて茶色っぽい葉が多くなりますが、今年の秋は晴天の日が多く、朝晩の冷え込みも強かったため、感心するほど紅葉の美しい秋となりました。その反面、普段なら9月末から曇りがちになり徐々に薄暗くなるのが、突然雨が降り出し、一日中薄暗いとなると、気分が晴れないという話をよく聞きます。太陽が体に与える影響ははかりしれませんが、普段からストレスが高かったり、落ち込む傾向のある方は日照時間の軽減に由来する季節鬱(SAD)というものがあることを気に留めておいてください。
ご相談の内容では、家族3人で渡米してからアメリカ生活に慣れようとがんばっておられ、かなりストレスがたまる状況のように思えます。あなた自身は企業の中で実績を上げたいという思いや、ご自分の英語力の不足などの不満を抱えておられたりする一方、奥さんは赤ちゃんを抱えて、日本でのように実家や友達などのサポートのない中、休みの取れない子育てから息抜きをしたいという気持ちを持たれるのは不思議ではありません。「英語が話せない」「運転ができない」など、異文化での生活で孤立している場合、どこかで自分でコントロールできるものを探すようになります。それが、自分の住む空間であったり、配偶者であったりします。
アメリカ生活に順応していくためには、自分をサポートしてもらえるシステムを人工的に作り上げることが大切だと思います。たとえば、安心して子どもを預かってもらえる場所の確保がその一つ。週数回のデイケアやベビーシッターの利用で、奥さんの息抜きや夫婦2人だけでの食事などに当ててみてください。同じ年齢の子どものいるお友達と交代でベビーシッターもできますよね。そういう時間は、やらなければならないことをするのではなく、自分たちにとって楽しいことをするのが大切です。子どもにとっても、他の子どもと関わり社交性を身につけていくためにも、集団生活の経験は有意義なものです。孤立するのを避け、さまざまな行事に参加し、招待してもらうのを待つのではなく、自分で率先してポットラックなどのパーティを開いてみるのはいかがでしょうか?
とはいえ、「アメリカ人と交流するには、英語ができないと」という声が聞こえてきそうです。少し英語のクラスには行ってみたものの、すぐにあきらめてしまったり、アメリカ人に何度も聞きなおされているうちにくじけたりするかもしれません。けれども、自分が大人のレベルで日本語の読み書きができるようになるのにどのくらいかかったかを思い出してみてください。そんなに簡単に短期間でネイティブのように英語を話せるようになるはずがありません。アメリカ人で日本に興味がある人などと積極的に交流することで、英語も上達し、自然と人とのつながりができてくるはずです。
夫婦2人で外出してみて、お互いにとって何がストレスになっているのか話し合ってみてください。解決できるものは対策を立て、解決が難しく毎日付き合わなければならないようなストレスは、お互いに「大変だけれど、一緒にやって行こう」といった姿勢で、お互いに励ましあっていくことが大切です。
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高田 Dill 峰子さん
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