Q:5歳の長男が3歳の次男と喧嘩をします。口争いもしますが、一番困るのは暴力を振るうことです。最近、幼稚園でもクラスの子をたたいて、先生から苦情を言われました。どこかに問題があるのでしょうか?
A:人を殴るといった行動は普通、何かに腹を立てた(怒っている)結果であることが多々です。まず、誰でも大なり小なり「怒り」という感情を持つのはとても自然なことだということを認識してください。
怒りの感情は生物的なものでもあり、自分の領域を敵から守ったり、種の保存のために戦ったりするエネルギー源であったこともあります。「怒る=暴力・暴言」ではなく、どうやって他人の感情や体を傷つけない怒りの表現をしていくか認識し、実行していくことが大切です。
それでは、大人のあなた自身は何かに腹を立てると、どうしていますか?
- 怒るのは良くないので、すぐに忘れるようにしている。
- 結構根に持って、怒っている人に話をするのをやめる。
- 気がついたら、家族に当たり散らしている。
- 怒っている人に怒鳴り散らす。
- 物を投げたり、蹴ったりする。
- 殴り合いの喧嘩になる。
まだまだいろいろあると思いますが、どの例も上記の怒りを認識し、人を傷つけない怒りの表現を実践していません。
怒りのエネルギーは、私たちの冷静に考える能力を麻痺させ、すぐに「やり返してやる(pay back)」モードに入らさせ、怒鳴る、ドアを強く閉める、殴るなどの反射的な行動を起こさせます。ですので、腹が立った時は、できるだけ冷静になる努力をすることが第一歩です。
冷静になるには、深呼吸をする、一人になるなど、怒りのエネルギーの反射的な行動を取らないことです。ただ、一人になったら冷静になる努力をすることが必要で、「この野郎、馬鹿にしやがって」などと怒っている相手のことを考え、自分を正当化しようとするのでは意味がありません。自分がなぜ怒っているのかを考えてみましょう。
なぜ怒っているかが認識できたら、対策を立てます。怒っている相手になぜ怒っているかを冷静に説明し、一緒に解決策を立てるのが理想ですが、相手によっては話し合いができない場合もあり、他の対策が必要な場合も多々あります。
ただ、ご相談の5歳児の場合は、怒った時はどうすれば良いのかを幼い時から教えていけば、兄弟や友達の間での問題解決が上手くできる子供に育ちます。幼いうちはなかなか怒りや怒っている理由が自分では判断できないので、大人の手助けが必要です。
それでは、5歳のお子さんは何に対して怒っているのでしょうか?弟さんが自分のおもちゃを勝手に使ったのでしょうか?いつもお母さんが弟の肩ばかり持つとやきもちを焼くのでしょうか?英語の学校が難しいのでフラストレーションが溜まっているのでしょうか?
ここで、どういった理由で子供が怒ったり、イライラしているかのリストを作ってみましょう。子供が何となくイライラしているのに気がついた段階で、それを指摘し、一緒に何に怒っているのか、どうすれば良いか話をしてみましょう。兄弟同士でおもちゃを一緒に使うことができない場合は、一緒に遊んでみて、どんな風にシェア(share)すれば良いかを教えていきます。「お兄ちゃんだから、弟に譲ってあげて」とは言わず、子供の視点でできるだけ公平にして下さい。もし、学校で喧嘩してきた場合、どうしてそうなったのか、冷静に話してみて、次回はどうすれば良いのかについて話し合います。問題によっては学校の先生にお手伝いもお願いできると思います。基本的には、毎日、怒ったらどうすれば良いかの実践することが大切です。解決が難しい内容の場合、怒りのエネルギーを発散するのに、運動をしたり、楽器をたたいてみたり、絵を描いてみたりすると、意外とエネルギーの発散になります。
普段、周りの大人がイライラしたり、ストレスが溜まっている場合は、大人自身の怒りの対応策を立てておくことが大切です。親が子供の行動に対して怒って子供を叩いたりするのは良い例だとは思えません。
なお、子供の怒り方は、個人の生まれ持った性格が影響します。怒りやすい子、何があってもあまり怒らずにマイペースの子がいます。他の子と比較せずに、その子の持っている長所を伸ばす育て方が大切だと思います。子供の障害で自分の感情をコントロールできないような場合もあるので、上記の事を実行しても改善が見られない場合は、専門家に相談してみてください。
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高田 Dill 峰子さん
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