米上院は21日、新型コロナウイルスのパンデミック下でアジア系アメリカ人を標的としたヘイトクライム(憎悪犯罪)の増加を抑制することを目的とした法案 COVID-19 Hate Crimes Act を、賛成94・反対1で可決しました。米国の主要メディアが伝えました。
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— Senate Democrats (@SenateDems) April 22, 2021
反対した議員はミズーリ州のジョシュ・ホーリー共和党議員のみでした。
この法案は民主党のメージー・ヒロノ上院議員(ハワイ州選出)とグレース・メン下院議員(ニューヨーク州選出)が主導したもの。
ヒロノ上院議員は笑顔で臨んだ承認後の会見で、「アジア人は、気づかれない存在、常に外から来た存在、常にアメリカ人と見られない存在で、憎しみや、いわれもない無差別攻撃を受ける。この法案は、米国上院はアジア人・太平洋出身者コミュニティ(AAPI)と連帯し、また、どのような人種とも、私たちが考えられるどのようなカテゴリの人々とも、連帯するというメッセージを発信するものだ」と述べました。
また、「今日の歴史的な超党派による COVID-19 Hate Crimes Act の可決は、アジア系アメリカ人および太平洋諸島出身者のコミュニティに、米国上院が反アジアのヘイトを拒否するという強力な連帯のメッセージを送るものだ。私は、下院がこの法案を速やかに可決し、バイデン大統領が法案に署名できるようにすることを求める」と述べました。ヒロノ上院議員の声明の全文はこちら。
UPI によると、この法案には、州および地方の法執行機関に対しヘイトクライムや事件の多言語によるオンラインでの報告方法を確立すること、公教育キャンペーンを拡大すること、パンデミックを表現するための差別的な言葉を根絶する方法についてのガイダンスを示すことが盛り込まれています。
これからこの法案は民主党が多数を占める下院で審議されます。ナンシー・ペロシ下院議長(民主党)はこの法案を支持しており、ジョー・バイデン大統領は法案に署名することを示唆しています。
ヘイトクライムを追跡する Stop AAPI Hate には、パンデミックの影響による自宅待機がアメリカで始まった頃の昨年3月19日から今年2月28日までの間で3795件報告されています。同団体は、「当センターに報告されたヘイト事件の数は、実際に発生した事件のほんの一部に過ぎないが、アジア系アメリカ人がいかに差別を受けやすいか、また、どのような種類の差別を受けているかを示している」と、報告書で述べています。