アメリカでは、2歳で40%がタブレットを保有し、8歳では約4人に1人が携帯電話を持ち、0〜8歳全体では約51%がモバイル端末を所有していることが明らかになっています(Common Sense Media 2025年調査)。つまり、小学校入学前からすでに端末所持が一般化しているのです。
さらに、2022年のピュー研究所の調査によれば、13〜17歳の95%がスマートフォンを所有しており、2014〜15年の73%から大幅に増加しています。こうした状況を踏まえると、K-12(キンダーガーテンから高校最終学年までの義務教育期間)の学校現場におけるスマートフォン利用制限の重要性が高まっています。
この記事では、ワシントン州全体の方針と、主要な学区ごとの取り組み状況をまとめて紹介します。
ワシントン州の状況
ワシントン州教育監督局(OSPI)は、2025年8月21日に「州内の大多数の学区がスマートフォンやスマートウォッチなどのデバイス利用を制限する方針を導入」と発表しました。
この背景には、授業中に頻繁に届く通知や過度なスマホ使用が学習を妨げているという現場からの報告があります。Common Sense Media の2023年の調査によると、この調査に参加したティーンは1日に平均100回以上スマートフォンを確認し、1日の通知の約4分の1が授業時間中に届いたことが明らかになりました。
州教育長クリス・レイクダル氏は、
「教育システムとして、学習環境を守り、混乱を取り除き、変化するニーズに対応できるよう定期的にポリシーを更新する責任があります」
と述べ、2024年にはすでに学区に対して授業時間中のデバイス利用を制限するポリシーの導入を要請していました。
その結果、2025年春に行った調査で、州内294学区の約75%の学区が新学期開始までにポリシーを導入することがわかりました。内訳は以下の通りです。
- 53%の学区:授業時間のみ利用を制限
- 31%の学区:登校から下校まで、1日を通して利用を禁止
さらに、すでにポリシーを導入した学区の61%が「地域コミュニティの満足度は高い」と回答しています。
レイクダル氏は、スマートデバイスが適切に使われれば利点もある一方で、メンタルヘルス、学習、睡眠などに悪影響を与えるリスクが大きいと警鐘を鳴らし、学区の指導者がこの問題に正面から取り組んでいることを評価しました。
シアトルなどの学区別の方針(2025年9月時点)
シアトル学区(Seattle Public Schools)
- 全学区統一のポリシーは検討中。現時点では各学校が独自にルールを定める方式。
- 事例:Hamilton International Middle School や Robert Eagle Staff Middle School では Yondr(ヨンダー)ロッキングポーチを導入し、登校時にスマホを入れてロックし、放課後にアンロックする仕組みを採用。教員や保護者からは「授業への集中度が増した」との声が寄せられています。詳細はシアトル学区の公式サイト参照。
ベルビュー学区(Bellevue School District)
- Board Policy 3245で「始業前・放課後・昼休みのみ利用可、授業中は禁止」と明文化。違反時は押収や保護者に返却などの措置を規定しています。詳細はベルビュー学区の公式サイト参照。
- このポリシーには、緊急事態や教師が許可した場合は使用が認められることや、学業における不正・学習環境の妨害・プライバシー侵害・性的な内容の共有などの行為についての対応について記載されています。
レイク・ワシントン学区(Lake Washington School District)
- 学区の Code of Conduct で「ゲームや学区提供ではないソフトウェア、娯楽、ソーシャルネットワーキングは自宅に自宅に置いてくること」と明文化しています。
- 学校ごとの実例:
- Inglewood Middle School:7:50〜14:20は電源を切ってバックパックに保管。
- Redmond Middle School:授業中は使用不可(教師が許可した場合を除く)。
- Finn Hill Middle School:「学校支給PC以外の電子機器は使用不可」と明記。
ノースショア学区(Northshore School District)
- 2025–26年度から新基準を導入。詳細はノースショア学区の公式サイト参照。
タコマ市学区(Tacoma Public Schools)
- 全学区統一ルールは不明。基本は学校ごとの裁量。
- Gray Middle School:登校前と放課後のみ使用可、授業中はオフ。
- Stadium High School:授業中は使用不可、昼休みは可。
スポケーン学区(Spokane Public Schools)
- 全学区で方針を統一
- 小学校・中学校:校内ではスマホ不可
- 高校:授業中は禁止、昼休みや移動時は使用可
保護者のための実務ガイド
- まずは学区のBoard Policy/学校ハンドブックを確認すること。
- 緊急連絡は学校オフィス経由が基本(多くの学校が明示)。
- 医療・IEP/504の配慮がある場合は、事前に学校と話し合い、対策を決めておくこと。
- Yondr 等の運用が導入されている学校では解錠タイミング・例外を確認すること。
FAQ(強調スニペット・音声応答も意識)
子どもが授業中にスマホを使ってよい学区は?
大半の学校で、授業中のスマホ使用は不可となっているようです。特に、小学校・中学校は終日禁止で、高校は登下校中や昼休みは許可しているところが大半のようです。
緊急時の連絡は?
多くの学校がオフィス経由でと伝えちます。校内の即時スマホ連絡を推奨しない例もあります(Yondr運用校など)。
まとめ
ワシントン州は「授業中はスマホを制限」という方針です。現時点では学区ごとに違いがあるほか、学区で統一した対策がない場合は学校単位でさらに厳格化される例が多数。低年齢での所持増が前提となる今の時代、家庭でのルールと、学区や学校のルールを確認する必要があります。