日本で6月から公開中で、歴代邦画実写映画の興行収入第2位という快挙を達成している李相日監督の話題作『国宝』。この作品の北米配給権をアカデミー賞受賞歴を持つ配給会社 GKIDS が獲得し、来年にも北米で劇場公開されることが発表されました。
吉田修一の同名小説を映画化・あらすじ
映画『国宝』の原作は、直木賞作家・吉田修一による同名小説。任侠一家の組長の息子として生まれた少年が、縁あって上方歌舞伎の名門に引き取られ、御曹司と切磋琢磨しながら女形として芸の道に人生を捧げた50年を描いた物語です。
吉田修一は3年間にわたり歌舞伎の舞台裏に黒衣として入り、役者たちの姿を直に見つめながら執筆。舞台の緊張感や役者の心情、芸道の厳しさを徹底取材で描き出した作品は、2017年から朝日新聞で連載され、2019年に第69回芸術選奨文部科学大臣賞と第14回中央公論文芸賞を同時受賞しました。
日本を代表する豪華キャスト
出演陣も日本映画界を代表する超豪華キャストが集結。主人公であり稀代の女形・立花喜久雄を演じるのは、幅広い役柄を自在にこなし、その美貌と演技力で注目を集め続ける吉沢亮。喜久雄の宿命のライバル・大垣俊介には、第48回日本アカデミー賞最優秀主演男優賞に輝いた横浜流星。そして喜久雄を引き取り育てる歌舞伎役者・花井半二郎を、世界的名優渡辺謙が圧倒的な存在感で演じます。
さらに高畑充希、寺島しのぶ、田中泯、永瀬正敏、森七菜、三浦貴大、見上愛、黒川想矢、越山敬達、嶋田久作、宮澤エマら、主演級の俳優たちが揃い、物語に深みと迫力を加えています。
GKIDS代表のデヴィッド・ジェステッド氏は次のように語っています。
「冒頭のシーンから『国宝』の世界に引き込まれました。数十年にわたる壮大なストーリーと、映画史に残る美しい歌舞伎の映像は、唯一無二の体験です。アメリカの観客にこの作品を届けられることを誇りに思います」
日本代表としてアカデミー賞に出品
本作『国宝』は、今年5月に開催されたカンヌ国際映画祭「監督週間」で世界初公開され、高い評価を得ました。その後、2025年6月6日に日本公開が始まり、8月24日時点で観客動員数は817万人、興行収入は110億円(約7900万ドル)を突破。日本の実写映画史上第2位となる大ヒットを記録しています。
国際的な注目度も高く、9月にはカナダ・トロント国際映画祭(TIFF)で北米プレミア上映を実施。さらに10月に開催されるカナダ・バンクーバー国際映画祭(VIFF)でも上映が決定し、チケットはすでに完売するほどの人気ぶりです。
加えて、先月末には2026年3月に受賞発表式が行われる第98回アカデミー賞・国際長編映画賞部門の日本代表に選出されたことが発表され、国内外でますます注目を集めています。
スタッフ・キャスト
監督:李相日
脚本:奥寺佐渡子
原作:『国宝』吉田修一著(朝日文庫/朝日新聞出版刊)
出演:吉沢亮、横浜流星、高畑充希、寺島しのぶ、森七菜、三浦貴大、見上愛、黒川想矢、越山敬達、永瀬正敏、嶋田久作 宮澤エマ、田中泯、渡辺謙