バイデン大統領は20日、新型コロナウイルスのパンデミック下でアジア系アメリカ人を標的としたヘイトクライム(憎悪犯罪)の増加を抑制することを目的とした法案 COVID-19 Hate Crimes Act に署名しました。
NPR によると、この法案には、司法省でCOVID-19に関連するヘイトクライムの調査を迅速に行う担当官を新たに置くこと、州および地方の法執行機関に対しヘイトクライムや事件の多言語によるオンラインでの報告方法を確立すること、公教育キャンペーンを拡大すること、パンデミックを表現するための差別的な言葉を根絶する方法についてのガイダンスを示すことなどを盛り込んでいます。
この法案は民主党のメージー・ヒロノ上院議員(ハワイ州選出)とグレース・メン下院議員(ニューヨーク州選出)が主導したもので、先月、上院で可決され、今月18日に下院でも可決されました。
ヘイトクライムを追跡する Stop AAPI Hate は、この法律の成立を前進と見て歓迎していますが、「報告の圧倒的多数が実際にはヘイトインシデントであることを我々のデータが示しているにもかかわらず、この法律はヘイトクライムへの対処に焦点を当てていることが大きな限界である」と指摘しています。
「今後も政府と協力し、ヘイト撲滅のための総合的なアプローチを展開していきたい。」
司法省によると、連邦ヘイトクライム法は、特定の人種、性的指向、障害、性別、民族/出身国、性同一性、皮膚の色、宗教に基づいて犯された犯罪を対象としています。ヘイトクライムと認められるには、暴行、殺人、放火、破壊行為、またはそのような罪を犯すとの脅迫などの犯罪行為があり、その動機が偏見に基づくことである必要があります。一方、偏見または憎悪事件(ヘイトインシデント)は、犯罪行為がなく、暴力、脅迫、物的損害が関与しない偏見行為です。
同団体には、パンデミックの影響による自宅待機がアメリカで始まった頃の昨年3月19日から今年3月31日までの間で6603件が報告されています。
同団体によると、差別行為には、言葉による嫌がらせ(65.2%)、アジア系アメリカ人や太平洋諸島の人々を意図的に避ける行為(18.1%)、身体的暴行(12.6%)、公民権の侵害(職場での差別、サービスの拒否、交通機関の利用禁止など 10.3%)、オンラインハラスメント(7.3%)が挙げられています。
州別では、カリフォルニア州が40.0%と最も多く、次いでニューヨーク州(15.1%)、ワシントン州(4.8%)、テキサス州(3.3%)、イリノイ州(3.2%)が上位5位を占めています。
事件が発生している場所の多くは、公道や公園(37.8%)、ビジネス(32.2%)。21.7%の事件で、性別、言語、宗教が差別の動機とされています。
また、被害者は女性が全体の64.8%を占めています。年齢別で見ると、最も多いのは26~35歳(30.3%)で、子ども(0~11歳)は0.9%、12~17歳は10.1%、18~25歳は17.3%、36~45歳は20.6%、46-60歳は14.3%、61~75歳は5.6%、75歳以上は1%となっています。
被害者の人種や民族では、中国人(43.7%)、韓国人(16.6%)、フィリピン人(8.8%)、ベトナム人(8.3%)、日本人(7.8%)が上位5位を占めています。