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スピーチ・セラピー 第10回 絵本を使って言語発達を促すアクティビティ

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前回は、絵本と言語発達の関係についてお話ししました。今回は、絵本を使ったアクティビティについて、具体的にいくつかご紹介したいと思います。

もくじ

語彙

子どもは、日常会話をはじめ、生活のさまざまな場面で語彙を増やしていきます。その中でも、特に幼少期の場合、絵本が果たす役割は大きいものです。なぜなら、子どもたちは、絵本に描かれている絵や表現をヒントに、物語の文脈の中で新しい語彙を身につけていくことができるからです。そこが、単語カードやドリルなどの教材を使って語彙学習することと大きく異なる点です。

また、絵本は 『絵』 と 『文』 が一体となっています。そのため、絵本に書かれている文表現からだけではなく、絵からも語彙を学んでいくことができるのです。例えば、1歳前後から楽しめる絵本 『がたんごとん』 では、文中で使われている表現は「がたんごとん」「のせてください」「しゅうてんです」「おりてください」「さようなら」という表現のみです。しかし、絵本に描かれているイラストから、「汽車」「線路」「車掌さん」など汽車に関連する語彙、「コップ」「スプーン」「りんご」「バナナ」など「食」に関連する語彙、「ねこ」「ねずみ」といった動物の名前、そして、最後のページの食事をする場面では「いただきます」「ごちそうさま」などの語彙も学ぶことができるのです。ページをめくりながら「コップとスプーンが汽車に乗ったよ。発車しまーす。がたんごとん」「あれ、つぎは誰が乗るのかなぁ」「満員でーす」など、表現を付け加えてあげながら読んであげるとよいでしょう。

構文

さきほどご紹介した 『がたんごとん』 では、「◯◯がのる」「◯◯がおりる」という2語文、あるいは「◯◯がきしゃにのる」「◯◯がきしゃからおりる」という3語文の構文練習ができます。例えば、画用紙いっぱいに描いた汽車に「コップ」や「スプーン」「バナナ」などの絵を乗せていきながら、上記の構文を言う練習をするのもできます。

内容の理解

  1. 配列絵:物語の中の出来事を数枚のカードに描き、正しい順序に並べ直すアクティビティを通して、順序にそって物語を理解したりお話する力を育ててあげることができます。
  2. ペープサートやパネルシアター、エプロンシアター、指人形、劇など:ペープサートやパネルシアター、エプロンシアター、指人形などを使うことで、物語に動きが出てくるため、子どもたちがより物語に集中することができ、内容を理解しやすくなります。また、大人がこれらの教材を使ってお話しするだけでなく、子どもたちが実際に操作する機会を作ると、登場人物の行動を疑似体験したり、物語を再現してお話する力をつけていくことにつながります。
  3. 描画:物語の絵を書きながら、物語についてお話ししたり書いたりするアクティビティを通して、物語を理解し、自分の言葉で表現する練習になります。

物語の理解をさらに高めるアクティビティとして、ミニ遠足(散歩)やクラフトもおすすめです。子どもたちが言葉の理解を深めて行く過程で、実際に見たり経験することはとても大きな役割を果たします。例えば、『がたんごとん』 のお話を読んだ後で、実際に電車に乗ってみたり、ダンボールなどを使って電車を作ってみるのもよいでしょう。『はらぺこあおむし』 の場合では、青虫や蝶々探しの散歩に出かけたり、卵のケースや色画用紙を使ってあおむしを作ってみるのもおすすめです。

絵本の内容によっては、今回ご紹介したアクティビティ以外にも、さまざまなテーマでさまざまなアクティビティを楽しむことができます。絵本を最大限に楽しく利用しながら、子どもの言語発達を促してあげましょう。

情報提供:言語聴覚士 鈴木 美佐子さん

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