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スピーチ・セラピー 第4回「バイリンガル児の言語発達「同時バイリンガル」と「継起バイリンガル」」

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第1回目から3回にわたり、スピーチセラピーに関連する言語および音声の症状についてお話しいたしました。今回は、バイリンガル児の言語発達についてお話したいと思います。

アメリカで生活をしている方々の多くが「できればわが子にバイリンガルに育ってほしい」と願っていることだと思いますが、実際にはそれほど簡単なことではないことを痛感しているのではないかと思います。ここでは、バイリンガル児の言語発達とその発達に及ぼす要因についてお話ししたいと思います。

もくじ

「バイリンガル」とは

まずバイリンガルについてですが、バイリンガルとは、2つの言語を使って「話す」「聞く」「読む」「書く」ことができる人を意味し、一般的に、2つの言語を学び始めた時期によって「同時バイリンガル」「継起バイリンガル」(けいきバイリンガル)に分類されます。誕生時あるいは3歳未満から2つの言語に触れて育つ「同時バイリンガル」に対し、1つの言語を習得した後に第2言語としてもう一方の言語を習得し始めた場合を「継起バイリンガル」(けいきバイリンガル)といいます。

「同時バイリンガル」と「継起バイリンガル」の言語発達

「同時バイリンガル」の言語発達は、1つの言語だけを使うモノリンガル児の言語発達とほぼ同じペースで進んでいきますが、4歳以降2つの言語を使い分けられるようになる前の段階では2つの言語を混ぜて話す場面もみられます。

「継起バイリンガル」の場合、第2言語を学ぶ過程において、第2言語の発音や文法の使い方に誤りが見られたり、母語の語学力が後退してしまう場合があることが報告されています。しかし、両ケースにおいて、適切な環境が与えられた場合、バイリンガル環境によって発達に遅れが生じることはないことがわかっています。

言語環境の要因

バイリンガル環境によって発達に遅れが生じることはないものの、両言語をネイティブ並みに使いこなせるようになるかどうかという点については、さまざまな要因がからんできます。

  1. 第2言語に触れ始めた年齢
  2. それぞれの言語を使う場面(家・学校・地域など)や機会
  3. バイリンガルに対する家族の考え方
  4. 地域に日本語を話す友人や専門職、日本語の本などといった資源の有無
  5. 現地の人たちの日本文化や日本語に対する態度
  6. 子ども本人の言語力や認知力、性格

上記のような言語環境要因によって、子どもたちの言語の習得度に差が生じ、また一旦習得された場合でも、それぞれの環境要因によって言語力は変化していきます。たとえば、帰国によって英語力が低下、反対に海外転出によって日本語力が低下するといったことはめずらしいことではありません。次回は、2つの言語力を維持、そして向上するためにご家庭でできることをいくつかご紹介したいと思います。

情報提供:言語聴覚士 鈴木 美佐子さん

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