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スピーチ・セラピー 第6回「言語の発達を促すアクティビティ」

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前回お話した「言語発達を促す3つのヒント」に引き続き、今回は、具体的なアクティビティについていくつかご紹介したいと思います。

もくじ

1.手作り

世の中には、あらゆる食品からおもちゃまで、パッケージを開けたらすぐに食べられる・使えるものがあふれています。そんな便利な世の中ですが、お子さんの言語発達を促すため、あえて「手作り」をすることをおすすめします。

たとえば、ホットケーキを作る場面を考えてみましょう。冷凍食品を利用する場合には「電子レンジ」「温める」「食べる」という語彙しか登場しませんが、お子さんと一緒に作る場面を考えると「小麦粉」「砂糖」「ベーキングパウダー」「牛乳」「卵」「はかる」「いれる」「わる」「まぜる」「やく」「ひっくり返す」「熱い」「丸い」のようにより多くの語彙に触れることになります。

一緒に何かを作る場面で学べるのは語彙だけではありません。「材料を入れる→混ぜる→フライパンを温める→油をひく→焼く→ひっくり返す→お皿に盛る→食べる」といった『時間配列』や「ベーキングパウダーを入れて焼くとふくらむ」といった『因果関係』を学ぶこともできます。料理だけでなく、一緒に手作りしたプレイドーやおもちゃなどでお子さんと遊ぶのもおすすめです。

2.読書

5歳時の読書量と7歳~11歳時の文章読解力に相関関係があるという研究結果が示唆するように、幼少期の読書量がその後の学力に影響を与えると言われています。そのほかにも、読書は、子どもが情緒や想像力を育て、新しい知識を吸収するのに不可欠なものです。本の選び方ですが、お子さんの年齢や興味に合う本が良いと思いますが、特に幼少期では繰り返しのフレーズが多く、子ども本人が絵本に主体的に参加することによって本を読む楽しさを味わえるものがおすすめです。日本語では 『がたんごとん』『おおきなかぶ』、英語では 『Brown Bear, Brown Bear, What Do You See?』 などの本にはそうした繰り返しのフレーズが多く出てきます。

もう少し年齢がすすんだ子どもたちには、本を読んだ後、お話に出てきた登場人物やそれぞれの登場人物の行動や気持ちについてお話したり、お話のあらすじを自分の言葉でお話する機会を持つことで、読解力を高めることができます。

3.散歩

「散歩が言語発達を促す?」と疑問に思われた方もいらっしゃるかもしれません。「散歩」自体が言葉の発達を促すというより、いかに楽しい「散歩」を利用して言語発達を促すことができるのかということについてお話したいと思います。

たとえば、散歩をしながら、「あれ、鳥の声がするね。鳥は、どこにいるのかなぁ」「この赤いお花、きれいね。いいにおい!」など、見るもの聞こえてくるものを言葉にして伝えてあげます。こうした言葉かけによって、お子さんは、場面に合った言葉の表現を学ぶことができます。ほかには、散歩をしながらいろいろな植物や虫などの写真を撮り、帰宅後、その写真を見ながら一緒にお話したり、図鑑などを使って写真を撮った植物や生き物を調べてみるのも良いですね。

4.旅行

夏休みに旅行に行かれる方も多いことと思います。子どもにとって大きなイベントである「旅行」も言葉の発達を促す絶好のチャンスになります。

たとえば、出発前に行き先のパンフレットを入手したりインターネットで情報を調べてみたりすると、読解力や語彙の拡大はもちろん、その場所に関する知識を深めたり、すでに自分が知っている場所との関連について考えるきっかけにもなります。幼いお子さんには、その場所や利用する交通手段の写真や絵を見せながら旅行のお話をするとお子さんの理解を深めてあげることにつながります。

今回ご紹介したアクティビティはすべて、日々のちょっとしたこころがけや工夫でできるものばかりです。そうしたちょっとしたこころがけや工夫の積み重ねが言語発達を促すことにつながります。次回は、スピーチセラピーの対象となる構音の誤りと第2言語による発音アクセントの違いについてお話したいと思います。

情報提供:言語聴覚士 鈴木 美佐子さん

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