30代後半で「働くお母さん」の仲間入り。何もかも「初めて」の息子と一緒にいろいろな発見をさせてもらっています。20年以上住んでいるシアトルも、親子になるとまだまだおもしろいことがたくさん隠れているものですね。シアトルのお気に入りを息子に紹介しながら、「ここに自分の子供と来ることになるとは!」と、しみじみする日々です。
気がつけば、もう11月。9月はプリスクールの2年目のスタート、10月は4度目のハロウィン、そして今月は4歳の誕生日に感謝祭。あっという間にお正月になりそうな速さで時間が過ぎています。
子供は日々成長していますが、ハロウィンのように毎年繰り返されるイベントは、それを強く感じるチャンスですね。11ヶ月だった最初の年は日本の家族にもらった黒い作務衣で忍者にしたつもりが蕎麦屋の兄さんのようでしたが、本人は訳もわからないまま楽しんでいました。1歳11ヶ月の2年目は、コスチュームというものもよくわからず、自分で選んだ虎の着ぐるみを着たものの、かぶりものは嫌がって号泣。なので、首から下だけ虎になり、頭は “LOVE MOM” という刺繍が入った帽子になりました。お菓子には興味なし。そして2歳11ヶ月の3年目はハロウィンの概要がいつのまにか刷り込まれ、自分が何かで虎の着ぐるみを着たという記憶もあり、着るならまた虎がいいと言いました。まだ「今年」とか「10月」という概念はないにしても、なんだかそういうことらしいと理解した様子。去年あれだけ嫌がったかぶりものを「あ、これは虎の頭なんだね」と言いながらすんなりかぶり、昼間には近くのモール、そして夜には近所での Trick or Treat で、お菓子を「もらう」ことに大興奮。お店でもご近所でもさっさともらいに行き、お菓子を「食べてみたい」と言いましたが、「小さい子はまだ食べられないんだよ。だから、おうちに来るお兄ちゃんお姉ちゃんにあげようね」と言うと、今度は「あげる」ことを楽しんでくれ、作戦成功。
そして、今年はというと、「ハロウィンというものがあり、コスチュームを着て何かになる時で、パンプキンをカービングして飾り、こうもりやクモなどのクラフトでいろんな飾り付けをし、お菓子がもらえて、さらにそれは食べられるのだ」と理解していました。でも、悩んだのはコスチューム。だめもとで過去2年にわたり活躍した虎の着ぐるみを着てみましたが、当然ながら、入りません。それからは、海賊、忍者、レゴなど、いろんなアイデアを出してきましたが、数週間たっても一向に決まらない。ハロウィンは特定の日にやるもので、それより前に決めて用意しないといけないなんて、まだはっきりわからないんですよね。「早く決めてくれ!」と思いながら、「じゃあレゴを一緒に作ろうか」と言ってみたら俄然乗り気になり、一緒にネットで DIY のレゴをチェック。なのに、ある日、私が仕事から遅く帰ってくると、玄関には海賊らしきコスチュームを着てポーズをキメている息子が・・・。「ダディと一緒に行った Costco で見つけたの!」ディズニーを見せてないのでわかっていませんでしたが、それは Jake という海賊キャラだそう。「なんだ、せっかくDIY しようと思ったのに」と思いつつ、なんとなく肩の荷が下りた気分でもありました(苦笑)。
そして、ハロウィン当日。プリスクールの後に町へ繰り出し、”Trick or Treat!?” をしたところ、昨年のようにさっさとお菓子をいただきに行くかと思いきや、「マミーと一緒に行く」「マミーが Trick or Treat!? って言って」と、シャイになっているではありませんか。さらに、いただいたのに “Thank you” をまともに言いません。帰宅してからご近所で数軒まわった後も同じ調子なので、「ちゃんと “Thank you” って言おうね。お菓子をくれるんだからね」と言うと、「わかってるよ。でも今日は言いたくないの」とのこと。なるほど。3歳ともなると複雑な感情や考えがいろいろ育っているんですね。「言いたくないのね。なぜかは後で聞くとして、でもね、これはルールなんだよ。言いたくないとかではなくて、してくれたことにお礼を言うの。そしたらみんな嬉しいよ。誰かに何かをあげて、ありがとうって言われたら、xx ちゃんはどう?」と言うと、「嬉しい~!」「でしょ!みんなもそうなんだよ!」「わかった。言うね!」ほんとかね・・・と思ったら、次はちゃんと “Thank you” と言い、相手が満面の笑顔で “You are welcome!” と言ってくれたので嬉しくなった様子。それもあってか、近所をまわって帰宅した後、玄関のベルが鳴るたび、「ご近所さんが来た!ご近所、ご近所!」と、お菓子をあげに飛んでいっていました。「男は単純だよね」と言う男の子のお母さんによく出会いますが、私にはこの単純さがありがたいです。
お菓子に関しては、「すぐに食べちゃいけないよ。マミーがチェックしてから」と言うと、「食べないよ~」「後で、だよね」と自分に言い聞かせ、結局、食べたのは2個だけ。後は私が買っておいたおいしいチョコレートと交換することに合意してくれました。良いのか悪いのか・・・。
そんなこんなでハロウィンが終わり、もう11月。今年も後2ヶ月だと思いながら、いつものようにあれこれ片付けていたら、息子がとことこ歩いて来て言いました。
「マミー、夕焼けになっていくお空を一緒に見ようか」
そのまますたすたと立ち去っていくので、
「は?夕焼けになっていくお空?」
と思いながら後をついて行くと、息子は窓の前に立って、外を指差して言いました。
「ほらね。風がすごく強いでしょ。だから雲がどんどん動いてるよ。遠くの木も揺れてるし。そしてね、お空が少しずつ夕焼けになっていくの。見ててごらん」
息子と二人ですわって、じーっと空を見たのはいつが最後だったでしょう。いつの間にこんな風に自然を見る子供になっていたのか。しばらくすると、最近のお気に入りの本を持ってきて、「これ、読んで」。そのまま、窓のそばで本を読んであげました。
なんだか気持ちがせわしなくなるホリデー・シーズン。ひとつひとつのことをじっくりやるより、常にマルチタスクで片付けねばと、自分にプレッシャーをかけてしまう時期でもあります。そんな時、ふと立ち止まってこんなふうに空を見ることができたら。
息子と二人で見続けた空。ずっと忘れないと思います。
掲載:2014年11月