演じることを通じて子供たちの想像力や協調性、個性を育てることを目的に、1984年に設立された 『ユース・シアター・ノースウェスト』。3歳から18歳までを対象に、目的に応じた幅広いプログラムが用意されています。
3歳から5歳を対象にしたプログラムは3種類。毎週異なる本を使って物語の世界に入り込む『テイル・スピン』 の今秋のテーマは、『フリー・トゥー・ビー・・・ユー・アンド・ミー』。12月に同団体のプロダクションでも上演される内容です。
「クラスで学んだ物語を実際に舞台で観ることによって、演劇鑑賞にも興味を持ってもらえればと思っています」と、アート・ディレクターの交野(かたの)みみさん。
「そのため、できるだけプロダクション劇の内容に合わせるようにしています」
他の2つのプログラムは 『マジカル・アドベンチャーズ』 と 『スターズ・オン・ステージ』 で、講師や子供たちがそれぞれ役割を演じながらクラスで物語を作っていきます。
「『ごっこ遊び』 の延長のようなもので、さまざまな状況を設定しながら子供たちと空想の世界の中へ入っていきます。その中で道徳的観念について話し合ったりしながら、問題解決能力や協調性を身につけていきます」
どのクラスも1クラス3時間で、演じるだけでなく、絵を描いたり散歩をしたりしながら五感を使って想像力を鍛えるようにプログラムが組まれています。
「最初は子供も緊張や不安があると思いますが、少人数制なので打ち解けやすいはず」と、交野さん。
「子供によって慣れるスピードは異なるので、うまく馴染めなくても数回で諦めず、長い目で見守ってあげることが大切です」
最終日には保護者を招待し、子供たちがクラスで学んだ成果を発表します。保護者にとっては子供の成長を目にすることのできる貴重な機会です。
交野さんは、「3歳から5歳という年齢は、セリフを覚えたり人前で演じたりすることがまだ難しいため、どのクラスも子供たちの自由な発想力を育てて想像力を豊かにすることを重視しています。想像力やチームワークは、演劇に関わらず、将来さまざまな場面で必要とされるスキル。幼い頃に身につけた自信は、心が不安定になりがちな思春期などを乗り越える強い精神力にもつながっていくでしょう」