今月29日(木)のシアトル公演を皮切りに、約1ヵ月半にわたりアメリカとカナダの約20都市で30公演を行う落語家・桂三輝(サンシャイン)さん。カナダのトロントに生まれ、劇作家として成功を収めた後、古典ギリシャを勉強中に日本の能や歌舞伎と共通点があるという論文を読んで日本を訪れたのは1999年でした。その5年後、初めて生の落語を見て衝撃を受け、「これをやるために生まれてきた」と確信。桂文枝の15番目の弟子にして初の外国人弟子となりました。
三輝さんが着物姿で土下座して桂文枝に弟子入りを請うたという逸話は有名だが、弟子入りしてからの掃除・洗濯・かばん持ちという修行時代を、「カナダにないからこそ面白い勉強だった」と振り返ります。
「しきたりや上下関係、そして敬語は難しかったですが、お金を払って教えてもらう文化とは違う、芸人としての味を身につけるために必要なものをたくさん学ばせていただきました」
英語圏ではまだまだ認知度の低い落語。”traditional Japanese comedy” と言えば、なんとなく理解はしてもらえるそうですが、400年前から存在する、他に類のない芸であることを今回の北米公演を通じて伝えるのも目的の一つ。カナダで以前に公演した時も、「こんなに楽しいものと知らなかった」と言う人が多く、落語のすばらしさ、自分が英語圏でできることが見えたといいます。
落語について語る時の三輝さんは情熱的で、目が輝いています。「お名前そのもの」と言うと、「それは嬉しい!この名前は師匠からいただいたものですから、師匠が褒められているのと同じです。おかげでシアトルでもすぐにいろいろな方と話に花が咲きます」と顔をほころばせました。
将来の目標は、とにかく落語の認知度を高めること。そのためにはアメリカのテレビ番組の司会になるなど、落語家としての自分が活躍しなくてはと考えているといいます。
「師匠から受けた恩はあまりにも大きすぎて返せません。そもそも、返そうと思うのもおこがましいです。ですから、自分が英語圏で活躍することで落語の認知度が高まり、”Rakugo” が英語の日常語となって、少しでも師匠の恩に報いたいと思っています」
シアトル公演での演目は、「お客様を見てから決める」とのこと。
「みんなが笑って明るくなれる落語をぜひ聴きに来てください」
70人が入る会場は既に満席。北米公演は10月5日に故郷のトロントで千秋楽を迎える予定。