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不登校ゼロ!大阪の小学校の1年を追ったドキュメンタリー 『みんなの学校』 上映会

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2015年2月から日本全国で公開され、大ヒットしたドキュメンタリー映画 『みんなの学校』 が、去る1月16日、ベルビュー・カレッジで上映された。

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映画 『みんなの学校』
大阪市住吉区にある市立大空小学校は、全校生徒約220人のうち、特別支援の対象となる生徒が30人以上(2012年度)。 「すべての子供の学習権を保障する学校をつくる」という理念のもと、「自分がされていやなことは人にしない 言わない」という唯一のルールを掲げ、すべての子供たちが同じ教室で学ぶ。不登校はゼロ。保護者・地域住民・学生ボランティアなどが積極的に支援する、地域に開かれた学校でもある。
そんな取り組みがテレビで放映されたところ、全国から入学希望者が訪れるようになった。文化庁芸術祭賞ドキュメンタリー部門 大賞、日本放送文化大賞 準グランプリ、日本民間放送連盟賞報道番組部門 優秀賞など、多数の賞を受賞。

校長の木村泰子氏は厳しくも愛情溢れる先生だ。子供はもちろん、教員ともひとりひとり向き合い、受け入れ、居場所を作っていく。1年間を追った映像の中で、問題行動のある子供、普通の子供、教員がそれぞれ大きな成長を遂げ、顔の輝きが増してくる様子がすばらしい。

大空小学校の唯一のルール「自分がされていやなことは人にしない 言わない」は、とてもシンプルなことのようで、実は難しい。自分の感情をうまくコントロールできない子供もいれば、つい腹が立って声を荒げてしまう大人だっている。冷静になり「やり直し」をすることで、お互いのわだかまりをなくし前進できる。また、「自分にとってのあたりまえは、他人のあたりまえではない」という気づき。できない友達がいたら、自分は何をしてあげられるのか。助け合いや思いやりを大切にし、自分にできることを自分で考える力を養っていく子供たち。そして相手の思いやりに気づき、心を開いていく子たちの変化は感動的だ。

学級別や学年別ではなく、学校全体で、さらにはボランティアや保護者を含めたコミュニティ全体で子供を見守るのも、大空小学校のやり方だ。登校してこない児童がいれば、家まで迎えに行く。ボランティアや教職員の苦労は並大抵ではないだろう。「子どもは社会の宝」「社会全体で子どもを育てていく」ことはどういうことか―。核家族が多く、近隣住民との交流が薄い都会では、特に、対策が急務になっている。弱肉強食の競争社会に倣うのではなく、助け合い・思いやりを基本とする大空小学校とそのコミュニティのように変わることができたら、未来をになう子供たちの、ひいては日本の未来はより明るいものになるのではないだろうか。

今回の上映会を主催した依子・ウォーカーさんは、自身の子供を大空小学校に通わせた経験を持つ。「このドキュメンタリーに収められていること、そしてそれ以上のすばらしいこと、大変なことを、私自身の目で見てきました。いろいろな子供がいて、大人がいて、それを受け入れるということはどういうことなのか。だからこそ、このドキュメンタリーをシアトルで上映して、たくさんの人たちにご覧いただきたかったのです。上映会ではたくさんの方々が “この作品をシアトルに持ってきてくれてありがとうございます” とおっしゃってくださり、本当に嬉しく思いました」。

2月中に英語字幕付きでの上映会も開催予定だそう。親・教育者・子供など、それぞれに立場は違っても、さらには国籍が異なっても、『みんなの学校』はたくさんのことを気づかせてくれるだろう。

掲載:2016年1月 取材・文:編集部

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