日本が誇る浮世絵を題材にした落語を通じて日本の歴史や文化への理解を深めてもらおうという NHK World TV の番組 『Dive into UKIYO-E』。その司会で11月1日・2日にシアトルのワシントン大学で英語の落語の公演を行うカナダ人落語家・桂三輝(サンシャイン)氏に、お話を伺った。
桂文枝の15番目の弟子にして初の外国人弟子・桂三輝氏がシアトルで公演を行うのは2013年以来2度目。前回はいろいろな人種で満員となった会場を大いに笑わせ、「"Rakugo" を英語の日常語にしたい」と話していた同氏は、それからの3年間で「落語をもっともっとシンプルにする方法を少しずつ見出していっていると思う」と語る。
「前回のシアトル公演は北米ツアーの一番最初の公演で、まだ本当に "修行中" の身だった。以来、5大陸・15都市で公演を行ってきて、リズム、タイミング、ペース、雰囲気など、あらゆる面でもと日本語の落語に近づいていると思う」
実際、前回の公演でも英語ながらなぜか日本語を話しているように聞こえるという不思議を体験したが、それがさらに進化したという。
「日本国外に住んでいる日本人の方に "英語の落語なのに、日本語みたいだった" と言われることもあれば、"あなたの英語の落語は大阪弁みたいだった" とまで言われることがある。これは本当にうれしい。日本人以外の人が笑ってくれ、そして、日本人がいかに "伝統的" で "日本的" かと言ってくれることは、本当にうれしく、私にとってとても大切なことだ」
シアトル公演の詳細はこちら。落語はほぼ英語のみで、公演の様子は NHK World TV の 『Dive into UKIYO-E』 のために収録される。2013年のインタビューはこちら。
桂三輝(サンシャイン)氏 略歴
カナダのトロントに生まれ、劇作家として成功を収めた後、古典ギリシャを勉強中に日本の能や歌舞伎と共通点があるという論文を読み、1999年に日本へ。5年後、初めて生の落語を見て衝撃を受け、「これをやるために生まれてきた」と確信し、桂文枝の15番目の弟子にして初の外国人弟子となった。