シアトル近郊に住む方がバンクーバーへドライブ旅行をする際、また日本からの旅行者がカナダ経由でアメリカに入国する際に避けて通れないのが、陸路国境での入国審査です。アメリカとカナダの陸路国境では、車に乗ったまま国境検問所で審査を受けます。
2025年以降、アメリカ側の入国審査は全般的に厳格化されており、電子機器の検査や二次審査のケースも増えています。出発前に必要書類・ビザ要件・申告ルールを公式情報で確認し、余裕を持って臨みましょう。
この記事では、ピース・アーチ国境検問所を含む主要ルートを想定し、必要書類・審査の流れ・よく聞かれる質問・国境待ち時間の調べ方・免税と申告の基本を整理します。
この記事の対象読者
- シアトル近郊在住者がカナダ(バンクーバー等)へ車で入国・帰国する場合
- 日本からの旅行者がカナダ経由でアメリカに入国する場合、またはカナダへ観光目的で入国する場合
ここがポイント
- 入国審査を軽視しないこと。
- 入国の目的が合法的であることを立証するべく準備すること。
- どちらの国でも全員が入国審査(inspection)の対象。質問は身分確認・渡航目的・申告品が中心。
- 書類:パスポート等の本人確認+在留/渡航ステータスを証明するものを家族分まで準備。
- 申告義務:食品・植物・動物、アルコール・たばこ、通貨1万(加ドル/米ドル)超などは必ず申告。未申告は差押えや罰金の対象。
- 電子機器:カナダでもアメリカでも、状況によりスマートフォン等の検査とパスワード提示を求められることあり(詳細は後述)。
- 2025年以降の変化:アメリカ側の入国審査が厳格化。二次審査・電子機器検査・生体情報収集の機会が増えています(詳細は後述)。
- 混雑対策:国境待ち時間を公式サイトで確認し、混雑時間帯の回避とルート変更を検討。
カナダに入国する際によく聞かれること

質問の主なカテゴリ
- 本人確認・国籍/身分の確認
- 渡航目的・行程・滞在先の確認
- 申告対象物の有無(アメリカから持ち込むもの)
- 同伴する未成年者の確認
よく聞かれる質問(順不同)
- Where do you live?:どこに住んでいますか?
- Where are you going?:(カナダの)どこに行くのですか?
- What’s the purpose of your trip?:旅行の目的はなんですか?
- Where are you staying?:どこに滞在しますか?
- How long are you staying in Canada?:どのぐらい滞在しますか?
- Do you have any items or substances to declare?:申告するものはありますか?
- Are you bringing any food, plants, or animals?:食品・植物・動物を持ち込んでいますか?
- Are you travelling alone?(同伴者がいる場合):どなたと一緒ですか?
注意点
- 書類:全員のパスポート、永住権カードなど、有効な本人確認書をすぐ出せるようにしておくこと。
- 食料品・植物・動物(FPA)は必ず申告:未申告は差押え・罰金(最大1,300カナダドル)になり得ます。
- 通貨:10,000カナダドル以上はE677/E667等で申告が必要(持込み自体は合法)。
- 電子機器:検査・パスワード提示を求められることあり。拒否は押収や留置の可能性があります。(参考:Canada Border Services Agency)
アメリカに入国する際によく聞かれること

ワシントン州とカナダの国境
ピース・アーチ検問所の脇にある看板
カナダからアメリカに入国する時に車で並ぶ道路脇の看板は、”Welcome to the United States of America”。「アメリカ合衆国へようこそ」。にぎやかでアメリカらしさを感じさせます。
質問の主なカテゴリ
- 本人確認・国籍
- 渡航の目的・行程・滞在先の確認
- 携行品・申告品(カナダから持ち込むもの)
- 職業・渡航費用の出所
- 同伴する未成年者の確認
よく聞かれる質問(順不同)
- Where do you live?:どこに住んでいますか?
- Where are you going?:(アメリカの)どこに行くのですか?
- What’s the purpose of your trip?:旅行の目的はなんですか?
- Where are you staying?:どこに滞在しますか?
- How long are you staying?:どのぐらい滞在しますか?
- Do you have any items or substances to declare?:申告するものはありますか?
- How long did you stay in Canada?:カナダにどのぐらい滞在しましたか?(カナダからアメリカに戻る場合)
- What do you do for work?:お仕事は何をされていますか?
- Who paid for your trip?:旅費は誰が負担しましたか?
- Do you have a return ticket?:帰りのチケットはお持ちですか?(旅行者の場合)
- Are you bringing any food, plants, or animals into the U.S.?:食品・植物・動物を持ち込んでいますか?
注意点
- 書類:全員のパスポート、永住権カードなど、有効な本人確認書をすぐ出せるようにしておくこと。
- 税関申告:CBP Form 6059B(またはモバイル/キオスク)で購入品・農産品等を申告。
- 農産品は申告必須:食品・植物・種子・土壌・動物等は必ず申告。未申告は没収・罰金の対象。
- 通貨:合計$10,000超はFinCEN 105の提出が必要(持込み自体は合法。家族合算にも注意)。
- I-94の在留期限はCBPが判断します。滞在残日数の自己確認はオンラインで可能。

2025年以降の変化:アメリカ入国の厳格化について
2025年以降、アメリカへの入国審査は全般的に厳格化されており、以下の変化が確認されています。在住者・旅行者ともに最新情報を必ず確認してください。
電子機器の検査が増加
CBP(米国税関国境警備局)はスマートフォン・ノートパソコン・タブレットなどの電子機器を検査する権限を持っており、審査官の判断でパスワードの提示を求めることがあります。拒否した場合は端末の没収や入国拒否につながる可能性があります。カナダ政府も自国民向けの渡航情報を更新し、「国境での詮索を想定するように」と注意喚起しています。
対策として、渡航前にデバイスの不要なデータを整理しておくこと、また越境時は機内モードにしておくことが推奨されています。
生体情報(バイオメトリクス)収集の拡大
2025年12月26日施行のDHS(国土安全保障省)の規則改正により、非米国市民を対象とした生体情報(顔写真・指紋など)の収集が、全入国・出国ポイントで義務化されました。これは空路だけでなく、陸路・海路にも適用されます。
30日以上滞在する場合の登録義務(カナダ市民等)
カナダ市民など、陸路でI-94が自動発行されない渡航者が30日以上アメリカに滞在する場合、Form G-325R(USCIS)をオンラインで提出する義務があります。詳細はUSCIS公式サイトで確認してください。
※日本国籍者はESTAまたはビザで入国するためI-94が発行されます。ただし、ESTAでの入国については事前審査の厳格化が進んでいるため、こちらの関連記事もあわせてご確認ください。
よくある質問
国境で具体的にどんな「定型質問」が出る?
市民権/身分確認・渡航目的・申告品に関する質問は、CBSA/CBPの公式ガイダンスに明示された審査項目に対応します。職業・渡航費の出所・帰国便の有無なども確認されることがあります。
国境でスマホを確認される?
カナダ・アメリカいずれの入国審査でも、状況により電子機器の検査とパスワード提示が求められることがあります。拒否は留置・押収・入国拒否につながる可能性があります。2025年以降、アメリカ側での検査頻度が増しているとの報告があります。
10,000ドルの基準はカナダと米国で同じ?現金は持ち込める?
持ち込み自体は合法ですが、カナダも米国も申告義務があります。
- カナダ:10,000カナダドル以上
- 米国:10,000米ドル以上
単位が異なる点に注意してください。
食品や植物、動物は?
両国とも申告必須です。アメリカの詳細はこちら、カナダの詳細はこちら。
NEXUS・Global Entry・SENTRIの違いは?
いずれもCBP(米国税関国境警備局)が管理するトラステッド・トラベラー・プログラムで、事前審査に合格した低リスク渡航者が専用レーンを使って迅速に国境を通過できます。
- NEXUS:米国・カナダ間の専用プログラム。カナダとの陸路・空路・海路の専用レーンが使用可能。空路ではGlobal EntryキオスクをNEXUSカードで利用できます。
- Global Entry:空路・陸路・海路で米国に入国する際に利用可能。NEXUSやSENTRIのメンバーもGlobal Entryの恩恵を受けられます。
- SENTRI:主にメキシコ国境(南部陸路)向けのプログラム。メキシコからの陸路入国に専用レーンを使用。カナダ〜米国間ではNEXUSが主な選択肢です。
詳細は下記の記事をご覧ください。

アメリカとカナダの国境での待ち時間
入国審査を受ける検問所での待ち時間はオンラインで公開されています。下記の公式サイトやWSDOTのアプリで出発前に確認しましょう。
祝日や旅行シーズンは渋滞が発生することがあります。待っている間、ドライバー以外の方は車を降りてピース・アーチ国際公園を散策することもできます(検問所の手前で車に戻る必要があります)
本記事は公式サイトの公開情報に基づいています。各審査官の裁量や情勢の変化により運用が変わる場合があります。特に2025年以降はアメリカ入国に関する規則の変更が続いているため、渡航前に必ず各公式サイトで最新情報をご確認ください。

