ワシントン州のノース・ベンドに生息している野生のエルク(elk)の群れは、スノコルミー・バレーのエコシステムを象徴する存在と考えられています。
野生のエルクの歴史
エルク(Cervus elaphus)は、シカ、ヘラジカ、トナカイを含むシカ科に属しています。Meadowbrook Farm Preservation Association によると、北米に生息するエルクは数千年前は繋がっていたベーリング海峡の陸地を渡ってアジアから移動してきたアカシカ(Red Deer)の子孫であると考えられているそう。かつては北米の温帯地域の大部分に生息していましたが、現在ではほとんどが西部の州にのみ生息しています。
スノコルミー市によると、この地域に何千年も前から住んでいた先住民のスノコルミー族は上流の谷に生息するネイティブのエルク(後にルーズベルト・エルクと呼ばれるようになった種類)を大切にし、スノコルミーとノースベンドの間の草原で持続可能な方法で狩猟していました。しかし、1800年代後半に始まったヨーロッパ系アメリカ人の入植により、エルクの群れが圧迫され、個体がは大幅に減少しました。
そこで、1900年代初頭、Seattle Elks Club(シアトル・エルクス・クラブ)はイエローストーン国立公園からロッキーマウンテン・エルクを移入し、定着させようと試みました。その道は平坦ではありませんでしたが、その一部が保護地で生き残り、1990年代半ばに個体数が増加に転じました。
現在、スノコルミー・バレーの群れは約400頭と推定されています。生息地は主に Meadowbrook Farm のような保護されたエリア内にあり、十分な草地が提供されています。群れは夜明けと夕暮れ時に草を食べにやってきますが、近づき過ぎずに観察することがおすすめです。
ノース・ベンド(ワシントン州)でエルクを見るためのベストスポットとヒントは以下の通りです。ぜひ、観察する際の参考にしてみてください。
Meadowbrook Farm
ノース・ベンドとスノコルミーの間にある Meadowbrook Farm は、460エーカーの広大な草原と湿地の森林があり、一年を通じてエルクの群れを見られる定番のスポットです。
スノコルミー・バレーのエルクは通常、谷またはその近くの特定の生息地に留まります。
Meadowbrook Farm は、1996年にスノコルミー市とノース・ベンド市が取得した農場です。二つの市にまたがる460エーカーの敷地にはトレイルや観察スポットもあり、安全な距離から観察できます。詳細は公式サイトでご覧ください。
エルクを見るのに最適な時間
エルクは一年中見られますが、冬の間はカスケード山脈の高地からスノコルミー・バレーのような低地に食べ物を求めて群れで移動するため、特に見つけやすくなります。
特に夜明けと夕暮れ時に Meadowbrook Farm で草を食べることが多いので、その時間帯に合わせて出掛けてみましょう。
野生動物観察のエチケットを守る
エルクを驚かせないよう、安全な距離を保ちましょう。車の中から、または指定された観察エリアから観察することをお勧めします。
- エルクに近づかない。自分にとってもエルクにとっても危険です。
- 静かに話す。
- 大きな音、鋭い音を立てない。
- 双眼鏡やスポッティングスコープ(フィールドスコープ)を使用する。
- ペットを同伴しない。
- 特に秋の交尾期は、エルクとの距離に注意する。
エルクは大型の動物なので、車やモーターサイクル(オートバイ)の運転中に衝突すると大変な事故になりかねません。2024年7月には午前2時過ぎにモーターサイクルを運転していた女性がエルクと衝突して飛ばされ、走行していたバンに跳ねられ死亡する事件が起きています。(シアトル・タイムズ)
エルクの保護活動
エルクの個体数を管理し、人間と野生動物の調和を図るために Upper Snoqualmie Valley Elk Management Group(USVEMG)のような地元のグループが研究を行い、高速道路のI-90沿いにフェンスを設置してエルクと車両の衝突を防ぐなどの活動を行っています。