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イクラとスジコ (筋子)(2)

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スジコ

スジコ

主に8月下旬から11月にかけ北海道で漁獲され、日本の正月用の新巻きの主な材料となるシロ鮭(一般には秋サケと呼ばれる)は、良質な塩イクラの原料としても非常に価値があります。

ソ連時代は日本産イクラの生産量で米国産イクラの相場が決まったと言っても過言ではないぐらい、日本産イクラの生産量がチャムを原料とする北米産イクラの相場に大きな影響を及ぼしていました。そのため、毎年秋頃になりますと、シアトルの水産業界はイクラ相場に一喜一憂していたものです。

ソ連の崩壊後は、自由経済になった旧東ヨーロッパ諸国、およびロシアがイクラの買いに参入し、日本の相場と直結していた従来の相場感がなくなり始め、年によっては旧ヨーロッパ諸国の高値買い付け価格が北米産のイクラ相場に反映するようになってきています。

筆者が米国に来る前(1974年に米国へ移民)に、日本でイクラ、およびスジコを食べた記憶はありません。育ちは東京荒川区・足立区だったものの、両親が関西方面の出身だったためか、または貧乏だったためか、食卓には一度も出ませんでした。

今では、イクラは日本全国で食されています。スジコの需要は関東以北が多いようです。日本のお客様とアラスカのある水産工場で紅鮭買い付け検品のためトレーラーハウスで宿泊中に紅鮭のスジコを手に入れ、ウイスキーを飲みながら食べましが、個人的にはイクラの方が好きでした。そのお客様の中におられた東北出身の方が、ご飯無しでもスジコが旨くてしようがないといったご様子でした。出身地が違うと食べ物の嗜好も違うものだと改めて思わされたものです。

トレーラーハウスと言えば、20年以上前の話になりますが、上述の工場で、ある会社とトレーラーハウス内で隣合わせになりました。同社は宇和島屋とは違う種類の鮭と魚卵(スジコ用)を契約中でした。お互いに電話では小声でまわりに聞こえないようにし、普段も挨拶程度で特に情報を交換するでもなく過ごすことが、トレーラーハウス内での礼儀だと思いました。

掲載:2009年3月 更新:2019年12月

『お魚豆知識』 は、宇和島屋鮮魚部の沖良三さんが発行している 『Seafood Newsletter』 の一部です。宇和島屋の入荷商品やおすすめ商品の情報が満載ですので、ぜひご購読ください。お申し込みは seafoodnews@uwajimaya.com まで、日本語でどうぞ。



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