MENU

シアトル留学生カフェ探訪 【番外編】スターバックス本社に行ってきました!

  • URLをコピーしました!
Starbucks HQ

こちらのスタッフブログでも既に書いてくださっているのですが、3月に、ジャングルシティさんの素敵な計らいで、僕たち『シアトル留学生カフェ探訪』のメンバーでスターバックスの本社を訪問してきました!

今回案内してくださったのは、2003年から同社本社に勤務し、過去に Japan Teaching and Exchange(JET)プログラムで国際交流員として大阪府庁に勤務したこともあるカレンさん。

実は、最初に「本社の中を特別に案内してくださる」と聞いた時、てっきり社員の方々のデスクや、会議をしている様子、食堂やジム(?)のようなものを見た後に社内の会議室でカレンさんからのお話を聞くものだと思っておりました。僕が日本にいた時のいわゆる「会社見学」の大半がそのような流れだったからです。

なので事前に英語で質問をいくつか用意し、やや身構えて本社に突入しました。遠い昔、日本で就職活動をしていた際の社員訪問の時のような緊張感が、カレンさんを待っている時にいきなりフラッシュバックし、変な汗すらかいていました(笑)。

しかし、エレベーターで8階に上がってカレンさんとお会いしてすぐ。そんな緊張感が一気に和らぎました。僕がイメージしていたオフィスの雰囲気とはかけ離れた空間が広がっていたからです。

Starbucks HQ

エレベータを降りてすぐ目の前に掛けてある初期のスターバックスのロゴの近くには、世界各地から届くコーヒー豆の袋や焙煎する前の緑色のコーヒー豆の展示がありました。

Starbucks HQ

その奥には、市販のコーヒー豆やアメリカで多く流通している瓶詰めのコーヒーまで世界中で販売されているたくさんの商品が棚にきれいに展示されております。まるでスターバックスのショールームに訪れたかのよう。

Starbucks HQ

日本ではお馴染みのコンビニでよく見る円柱状のプラスチックカップの商品も一緒に陳列されておりました。これらの商品は日本でしか売っていないそうです。

Starbucks HQ

さらに進むと社員用のスターバックスの店舗があり、社員とみられる方々が列を作ってコーヒーを買っていました。写真で見るだけだとそこが本社の中にある店だとはわからないでしょう。

Starbucks HQ

店員さん(同僚?)との会話を楽しんでいる人もいれば、携帯を触っていたりラップトップを使っている人もいます。にこやかに談笑している方々もいて、一人一人がお客さんとしての過ごし方をしておりました。街中にあるスターバックスと同じような、僕が見慣れた光景でした。

外からお店を見ていて勝手に感じたことなのですが、社員であってもカフェに一歩足を踏み入れればカフェを楽しむと言えばいいのでしょうか、皆がリラックスしているように思え、仕事のピリピリとした緊張感のようなものはその空間からは決して感じ取れません。そこにスターバックスの企業風土が体現されているように感じました。

Starbucks HQ

その後も社内を巡っていると、会社訪問というよりもスターバックスのミュージアムを巡っているかのような展示が多くありました。退役軍人の採用に関する展示物や世界中のアーティストによって描かれたコーヒーにまつわる絵や写真、中央の吹き抜け部分にはコーヒー豆とコーヒーの木の模様に象られたタペストリーのようなものが釣り下がっています。

Starbucks HQ

スターバックス本社は、2025年までに退役軍人を25,000人採用する雇用計画を2017年3月に発表しています。それに加え、失業中の若者や、家族のいない人の採用にも積極的です。そうした雇用計画以外にも、社員の州立大学の学費免除制度や、環境保全などさまざまな取り組みを通じ、社会、そして地球規模の問題に立ち向かっています。始まりはたった一杯のコーヒーだったのが、今やそれを通して世界中に影響を与えている、与えることのできるスターバックスの規模の大きさ、活動範囲の大きさにただただ驚くばかりでした。

Starbucks HQ

2016年の冬に同社のホリデー・カップのデザインを手がけ、今年3月にスターバックスコーヒージャパンが実施したキャンペーン「YOU & STARBUCKS It’s bigger than coffee」の期間限定のカップのデザインを手がけたシアトル在住のアーティスト・太田翔伍さんの作品も壁一面に飾られていました!キャンペーン時は人や動物の笑顔が描かれた7種類の緑色のカップが日本で非常に話題になり、各種 SNS でものすごい勢いで拡散されていましたね。

Starbucks HQ

また、社員の方々が使用するミーティングルームにはそれぞれコーヒーの名前や産地名がつけられています。ミーティングルームの予約をするのが楽しくなりそうです!

Starbucks HQ

中でも一番目につくところに、創業者で会長のハワード・シュルツ氏の言葉が大きく壁に刻まれておりました。

Starbucks HQ

社員の方々は企業理念を初めとしたこれらの展示物を毎日目にするのでしょう。社員の方々が日々仕事をしやすく、過ごしやすそうな環境になっているのはもちろんのこと、自分の会社の取り組みに対しての誇りや、どんな時でも企業精神や初心を忘れないためにこれらがあるようでした。

Starbucks HQ

通路やエレベーターの壁に描かれた年表には、1971年に創業してから現在に至るまでの軌跡が、各年代のトピックやスターバックスの店舗数の移り変わりと共に書かれております。

Starbucks HQ

今や世界76カ国に28,000店舗を超える店を展開しているスターバックス。実は日本は、カナダ、アメリカ、韓国に次いで、世界で4番目にスターバックスの店が多い国でもあります。2015年に鳥取県に店舗ができたことで、日本では47都道府県どこへ行っても目にすることができるようになりました。

僕はスターバックスにシアトルに留学に来る前からよく訪れており、地元の藤沢にも何店舗かあります。学生時代から、友達と過ごしたり、試験勉強をしたり、本を読んだりしてリラックスした時間をその店で過ごしてきました。

日本とシアトルでしかスターバックスを利用したことがないのですが、シアトルに来た時、店員さんの対応が日本のスターバックスとまったく同じであることに驚きました。レジではにこやかな笑顔で気さくに話しかけてくれ、カップに名前を書いてくれたり、メニューに悩んでいるとおすすめや季節のドリンクを丁寧に説明してくれます。

Starbucks HQ

「ホスピタリティ」と一言でくくってしまったらそれまでなのですが、お客さんをリラックスさせるおもてなしの精神が、店員さんにしっかり伝えられているのだなと感じました。そして、スターバックスの本当にすごいところは、店の多さではなく、どこのスターバックスに行っても最高のおもてなしの空間が広がっている点だと思いました。

でも、それをすべての店ですべての店員に実行させることは非常に難しいでしょう。実際、先日はフィラデルフィアで黒人の男性2人が何も買わずに店舗にいたことだけでが理由で警察に通報され、大問題となりました。スターバックスはすぐに正式に謝罪し、5月29日午後に米国の8,000軒以上の直営店とオフィスを休業にし、人種的偏見にもとづく言動を防止するトレーニング(anti-racial bias training)を行うと発表しました。さらに、今後は商品の購入を義務付けずにトイレの使用を許可する方針も発表しています。

それでもまた、今度はロサンゼルス地域のスターバックスで、ラテン系の男性が購入したドリンクに貼られたラベルの顧客名のところにメキシコ系の人を軽蔑する言葉が書かれていたことが発覚したとのニュースがありました。スターバックスはまた謝罪し、店員の再教育を行うと述べています。

何万人もいる従業員の中にいる、偏見のある人間がこういう事件を起こすのは非常に残念ですが、スターバックスの対応からその企業理念を伺うことができます。

Starbucks HQ

過言かもしれませんが、個人的に、スターバックスはどれだけ店が増えようとも、最悪、コーヒーの味がそこまで美味しくなくても訪れる場所だと思っています。それは僕たちお客が、コーヒーはもちろんのことですが、それよりも彼らが作り出す”空間”に身を置きたいからです。

さらに個人的な意見で恐縮ですが、スターバックスは一杯のコーヒーを売っているだけではなく、コミュニケーション・雰囲気も同時に売っているのだと思いました。店員さんとお話をする時間、宿題や仕事に集中する時間、気のおけない友達と話す時間、大切な家族と過ごす瞬間、一人で日頃の疲れを落としリラックスする一時。もしかしたらコーヒーの質と同じかそれ以上のレベルで、すべてのコミュニケーションと雰囲気の質を高める教育制度や指導に注力しているのかもしれません。

話が少しそれますが、シアトルは特に IT 企業の進出や成長が著しく、最先端の AI やロボットがすごい勢いで作り出されており、将来的にAIに奪われる職業がどうのこうのという話を至るところで耳にします。究極のところ、ロボットでも美味しいコーヒーを淹れることはできるかもしれませんが、スターバックスをはじめとする、人と人とのコミュニケーションを重視するお店は永遠に残り続けるのかなと思いました。心と心を繋げることは、ロボットにはできないですから。

こんなことを言うとコーヒーの味にこだわる世界中のバリスタ、カフェで働いている方々から滅多打ちにされてしまうかもしれないのですが(笑)、コミュニケーションの質の高さを求める空間こそがカフェのあるべき姿なのではないのかなと僕は思いますし、僕も将来そんなカフェを開きたいです。もちろんカフェである以上、飲み物や食べ物の質・味の良さがベースにあることは忘れてはいけないのですが。

これだけ大きな会社なのに、人が一番大切にしなくてはいけないこと、忘れてはいけないことを体現しようとしているスターバックス。それこそがたくさんの人たちに愛されている大きな理由なのではないかと僕は思います。

一杯のコーヒーを通して世界を変えるスターバックスの力、気概、初志貫徹した精神に、ただただ圧倒され続けた本社訪問でした。

Starbucks HQ

最後になりますが、お忙しい中、僕たちのためにお時間を割いてくださったカレンさん、貴重なご機会を与えてくださったジャングルシティの大野さんに感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

沢田 真洋

沢田 真洋(Sawada Masahiro)
1991年、神奈川県藤沢市生まれ。大学卒業まで三度の飯よりサッカーな生活を送り、卒業後一般企業に就職。3年と少し勤めた後、退社を決意し、2017年9月よりIBPプログラムでベルビュー・カレッジに留学中。シアトルに来てから柄にもなくカフェ専用のインスタグラムアカウントを作り、備忘録代わりにシアトル周辺で訪れたすべてのカフェを記録している。将来は地元・湘南にカフェを開くのが夢。最近のマイブームはハーモニカ。

掲載:2018年5月

このコラムの内容は執筆者の個人的な意見・見解に基づいたものであり、junglecity.com の公式見解を表明しているものではありません。



  • URLをコピーしました!

この記事が気に入ったら
フォローをお願いします!

もくじ