シアトルのダウンタウンは、街のビジネスと観光の中心地として知られています。高層オフィスビルが立ち並び、ワシントン州最大のコンベンション施設や、主要ホテル、在シアトル日本国総領事館もこのエリアにあります。大手デパートやブティック、飲食店、カフェも多いエリアです。
パンデミック以降、人通りが大きく減ったものの、近年では少しずつオフィスワーカーや観光客の姿が戻り、徐々に活気を取り戻しています。治安対策や街の美化にも力が入れられており、明るい雰囲気を取り戻そうとする姿勢が感じられます。
シアトルのダウンタウンの歴史

©︎Visit Seattle/David Newman
シアトルのダウンタウンは、もともと先住民ドゥワミッシュ族の土地であり、彼らはこの地域で何千年にもわたり暮らしてきました。
現在の都市の起源は1850年代に遡り、イリノイ州からオレゴン州を経て入植したアーサー・デニー氏率いる一行が現在のパイオニア・スクエア周辺に最初の開拓地を築いたのが始まりです。
1889年には大火災が発生し、市の中心部の多くが焼失しました。これを機に耐火性のある建材で再建が進められ、通りの高さも引き上げられました。その名残が現在も「アンダーグラウンド・ツアー」として体験できます。
20世紀初頭にはクロンダイク・ゴールドラッシュの玄関口として発展し、港はアラスカやアジアと結ぶ重要な拠点となりました。その後も金融、商業、文化施設が集まり、近年ではIT企業も進出し続けています。
観光スポットとして知られる「パイク・プレース・マーケット」や「スペースニードル」は、厳密にはダウンタウン外ですが、徒歩圏内にあり、ダウンタウン滞在中にも訪れやすい場所です。
なお、「パイオニア・スクエア」「ベルタウン」「ウォーターフロント」は、いずれもダウンタウンと隣接していますが、別のエリアとして扱われています。それぞれの歴史や特色を体験しに、ダウンタウンから足を延ばしてみるのもおすすめです。

アクセス方法

- 徒歩:ダウンタウンとその周辺は、たくさんの観光スポットが徒歩圏内に集中しています。南北は比較的平坦ですが、東西の移動は急斜面の移動になります。スクーターや E-Bike のシェアもおすすめです。
- ライトレール(Link Light Rail):シアトル・タコマ国際空港からダウンタウンのウェストレイク駅まで直通でアクセス可能です。
- バス:キング郡メトロのバス網が市内各地を結んでおり、ダウンタウンへのアクセスも便利です。
- 車:中心部では車は駐車して、徒歩で回るのが便利。あちこちに路上駐車スペース(有料)や有料駐車場があります。
- フェリー:ワシントン州フェリーを利用すれば、ベインブリッジ・アイランドやブレマートンへの日帰り旅行も楽しめます。

最新のホテル事情(2025年)
旅行先で快適に滞在するには、ホテル選びがとても重要です。シアトルの中心部はとてもコンパクトですが、高級ホテルから中級ホテル、個性的なブティックホテルまで選択肢は比較的豊富です。
中心部や観光地に近いエリアはやや高額ですが、アクセスも良く、比較的安心して過ごせるのが魅力。一方、予算を抑えようとすると治安面で不安がついてまわります。下記の記事では、シアトルの主要宿泊エリアを中心に、人気のホテルをご紹介していますので、ぜひご一読ください。

コンベンション・センター

さまざまな大型イベントの会場はダウンタウンが選ばれることがほとんど。2023年1月に完成したコンベンション・センターの新ビル『SUMMIT』はモダンで開放感があります。以前からあるビル『ARCH』と合わせて、アニメやゲームなどのフェスティバルから、科学やビジネスなどのカンファレンスまで、さまざまなイベントがラインアップしています。

劇場、美術館、ライブハウス

2nd Avenue にあるベナロヤ・ホールは、シアトル・シンフォニーのホームシアター。ウィーンの Grosser Musikvereinssaal とアムステルダムの Concertgebouw がモデルで、ガラス・鉄・ライムストーンを使ったデザインは、完成に12年かかりました。シンフォニーのシーズンは9月~6月ですが、年中を通してさまざまなイベントが開催されており、クリスマスや大晦日には特別なコンサートもあります。


シアトル・アート・ミュージアムは、ローカルの間では、頭文字をとって 『SAM』(サム)と呼ばれ親しまれているシアトル最大の美術館。ハンマーを打ち下ろす黒い大きな彫刻が目印で、大理石やテラコッタ、石灰石をふんだんに使った5階建ての館内には、世界中から集められた美術品約2万1千点が常時展示されています。特に米国北西部のネイティブ・アメリカンや、アジア、アフリカの美術品のコレクションは有名。米国北西部出身のアーティストの作品や、ヨーロッパ、現代美術のコレクションもあり、その時々でさまざまな特別展示会を催しているので、カレンダーを確認してみましょう。


全米ツアーのミュージカルやコンサートなどが楽しめる『Paramount Theatre』『Moore Theater』『Nepture Theatre』 などのスケジュールは STG の公式サイトで。劇やミュージカルが楽しめる『5th Avenue Theatre』、ライブハウス『The Showbox』『The Triple Door』もお見逃しなく。

ダウンタウンの建築名所:シアトル公立中央図書館

シアトルのダウンタウン中心部にある「シアトル公立中央図書館(Seattle Central Library)」は、近代建築の象徴として国内外から注目を集める人気スポットです。2004年に完成したこの図書館は、その斬新なデザインと使いやすさを兼ね備えた施設として、建築ファンにもよく知られています。
ガラスと鉄で構成された独特な外観は、積み重なった本のような形をイメージして設計されたもの。設計を手がけたのは、オランダ出身の建築家レム・コールハース氏率いる「OMA(Office for Metropolitan Architecture)」と、シアトル拠点の建築事務所LMN。地元出身の建築家ジョシュア・ラムズ氏もこのプロジェクトに参加しました。
旧館の解体から約2年半を経て、2004年5月23日に開館。初日は約2万5千人が訪れ、開館初年度には1日平均8,000人以上の来館者を記録しました。
情報発信の拠点としてだけでなく、アート性の高い建物としても楽しめるこの図書館は、「シアトルのダウンタウンで訪れるべき建築スポット」としておすすめです。

ダウンタウンで楽しむショッピング
シアトルのダウンタウンには、全米に展開する高級デパート『ノードストローム(Nordstrom)』の本店を中心に、さまざまなモールやショップが点在しています。
スタイリッシュなショップが集まる「パシフィック・プレース(Pacific Place)」、日用品やカジュアルブランドがそろう「ウエストレイク・センター(Westlake Center)」など、歩いて回れる距離にあるのも魅力です。
また、ダウンタウンからすぐの場所には、シアトルの代表的観光地「パイク・プレース・マーケット」も。市場内には、世界で最初の『スターバックス1号店』があり、さらに坂を上ったキャピトル・ヒルには、焙煎の工程が見られる『スターバックス・リザーブ・ロースタリー1号店』もあります。


パンデミックで人通りが激減して治安が悪化しましたが、現在もその影響が続いています。旅行者数は増えたものの、平日の労働者の平均通行量 パンデミック前のわずか51%でした。人通りの少ないところは避け、夜の一人歩きも避けましょう。特に、2nd Avenue と 3rd Avenue の間の Pike Street や Pine Street は、犯罪が多発する地域として知られています。