ワシントン州北部、カナダとの国境近くに位置するノースカスケード国立公園(North Cascades National Park)には、州を東西に横断するノースカスケード・ハイウェイ(State Route 20 / SR20)が走っています。
このハイウェイは、切り立った山々や深い渓谷、氷河のミネラルで輝くエメラルドグリーンの湖など、ダイナミックな風景が連続する絶景ドライブコース。観光地化されすぎていないため、混雑を避けて静かな自然を満喫したい方にぴったりのルートです。
見頃は、緑が美しい7〜8月と、ラーチ(カラマツ)などの黄葉が山を彩る9〜10月。冬季は豪雪のため通行止めになりますが、毎年春〜初夏に再開通するのが恒例で、「今年もノースカスケードに春が来た」と感じさせてくれます。
この記事では、そんなノースカスケード・ハイウェイの見どころや立ち寄りスポットをわかりやすくご紹介します。ドライブ旅行や自然散策を計画中の方は、ぜひ参考にしてみてください。
ノースカスケード・ハイウェイ(SR20)とは?
ワシントン州を東西に横断するノースカスケード・ハイウェイ(State Route 20/SR20)は、ノースカスケード国立公園を縦断する絶景ドライブルートです。ワシントン州西部のマーブルマウント(Marblemount)から、東部のメスキートフラット(Mesquite Flat)まで約100マイル。険しい山々、氷河湖、渓谷など、変化に富んだ風景が続きます。
毎年冬季は積雪のため一部区間が閉鎖されますが、例年春から初夏にかけて再開通するのが恒例となっており、開通の知らせは「春の訪れ」として地域でも注目されます。
ベストシーズンと気候の特徴
ノースカスケード・ハイウェイの魅力を最大限楽しめるのは、以下のシーズンです:
- 夏(7〜8月):氷河湖が鮮やかな色を見せ、トレイル沿いには高山植物も咲き誇ります。昼間の気温は過ごしやすく、快適なドライブやハイキングが楽しめます。
- 秋(9〜10月):黄葉の名所としても知られ、特にラーチ(カラマツ)の黄色い紅葉は見ごたえ十分です。
冬はSR20の一部が閉鎖されるため通行できませんが、積雪が溶けて道路が再開通する春〜初夏には、残雪と新緑のコントラストが楽しめます。
ノースカスケード・ハイウェイ沿いのおすすめ立ち寄りスポット【7選】
1. ディアブロ・レイク(Diablo Lake)と展望台

氷河が溶けたミネラルを含んだ美しいターコイズブルーの湖。国立公園局によると、これは「浮遊する微細な岩石粒子が太陽光を屈折させてできる色」で、氷河の融解が起こる7月~9月の晴れた日に、最も鮮やかになります。ドライブ途中に立ち寄れる Diablo Lake Vista Point からの眺めは圧巻です。ハイキングについては、WTA の公式サイトでご覧ください。
Diablo という名前は、初期のスペイン人探検家に影響を受けたネイティブ・アメリカンのチヌック族の言葉で “devil” を意味する言葉に由来しているそう。
2. ノースカスケード国立公園ビジターセンター(Newhalem)
ニューハーレムにあるノース・カスケード国立公園ビジター・センターで、公園の地図などの情報とハイキングやキャンプをするための許可証を入手しましょう。アメリカの史跡に登録されている町ニューハーレムには、手作りのファッジで有名なスカジット・ジェネラル・ストアがあります。
たくさんの日帰り用トレイルもあり、初心者なら森の中を歩いて川まで行く片道0.9マイル(約1.5km)の River Loop や、ニューハーレム・クリークのキャンプグラウンドループCとDの間から始まる Lower Newhalem Creek といったトレイルが人気。中級レベル以上なら、往復7.6マイル・標高400フィートの Diablo Lake、往復4.2マイル・標高1,500フィートの Pyramid Lake などがあります。
ニューハーレムから西へ進むと、かつてセメント産業で栄えた小さな町コンクリートに入ります。現在は過疎化が進んでいますが、映画『This Boy’s Life』(1993年公開、主演:レオナルド・ディカプリオ/ロバート・デ・ニーロ)でロケ地として使われたことで知られています。町の入り口には、映画にも登場する”Welcome to Concrete”と書かれたサイロが今も残っています。映画の時代と比べて現在はかなり静かな町並みですが、映画ファンには印象深い場所です。
3. ワシントン・パス展望台(Washington Pass Overlook)

標高5477フィート(約1670m)から、リバティ・ベル山(約2,353m)などの雄大な景色を一望できる人気スポット。鋭くとがった山々とカーブを描く道路が作り出す風景はフォトスポットとしても有名です。
ワシントン・パスでは、ハイキングも楽しめます。初心者向けなら往復1マイル(約1.6km)のレイニー・レイク(出発点は駐車場の東側入り口横。地図番号 Green Trails 50)、中級者なら往復6.2マイルの Lake Ann/Maple Pass (地図番号 Green Trails 49 & 50)などが楽しめそうです。
4. サンダー・クリーク・トレイル(Thunder Creek Trail)
川沿いに続くトレイルで、苔むした森林や清流のせせらぎが心を癒します。初心者でも歩きやすく、静けさを楽しめるコースです。詳細は WTA の公式サイトでご覧ください。
5. レイク・アン・トレイル(Lake Ann Trail)
手軽に高山湖と氷河の風景が楽しめる穴場トレイル。人が少なく、静かに自然を満喫したい方に最適です。詳細は WTA の公式サイトでご覧ください。
6. ステヒーカン(Stehekin)で宿泊
車でのアクセスがない、レイク・シェランからボートや水上飛行機でしか行けない秘境の村。滝やベーカリーもあり、1泊旅にもおすすめ。詳細は公式サイトでご覧ください。
7. ロス・レイク周辺(Ross Lake)
ロス・レイク・レクリエーション・エリアは、11万8千エーカーもあり、ノース・カスケード国立公園を体験するのに一番便利なところ。釣り、カヌー、キャンプ、ハイキングに人気のエリア。Ross Dam Trailhead から湖畔へアクセス可能で、アウトドア派に人気です。
このレクリエーション・エリアに含まれているロス・レイク、ディアブロ・レイク、ゴージ・レイクという3つの貯水池(reservoir)は、シアトル・シティ・ライトの電力の源にもなっています。
8. Skagit General Store スカジット・ジェネラル・ストア
スカジット・リバーの水力発電プロジェクトに携わっていた職員とその家族のために、1922年にオープンしたショップ。1940年代に一般市民も利用できるようになりました。手作りのファッジは人気、お土産としてもおすすめ。建物はアメリカの史跡に登録されています。
9. The Skagit River Bald Eagle Interpretive Center
ロックポート近郊にある白頭ワシの保護区域。広さは1,500エーカーで、毎年2月第1週末にはフェスティバルが開催されます。インタープリティブ・センターは12月中旬から2月中旬の週末と祝日に開館しています。
ノースカスケード・ハイウェイの通行情報・アクセス方法
- 通行情報:毎年冬〜春にかけて雪崩や積雪で閉鎖される区間があります。再開通は例年4月下旬〜5月上旬。最新情報はWSDOT公式サイトで確認を。
- アクセス方法:
- シアトルからI-5を北上し、Burlington(バーリントン)で東へ進むのが一般的。
- マーブルマウント(西側)からのアクセスがわかりやすく、ビジターセンターにも立ち寄りやすいです。
ハイキングやキャンプには、Northwest Forest Pass が必要なトレイルがあります。事前に必ずチェックし、パスを購入しておきましょう。
まとめ:自然をじっくり味わうならノースカスケードへ
ノースカスケード・ハイウェイは、マウント・レーニア国立公園やオリンピック国立公園と比べて観光客が少なく、静かに過ごせるのが魅力。大自然の中を走る絶景ドライブと、山や湖を満喫できるアクティビティ。季節を変えて何度でも訪れたくなる場所です。