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「在外投票制度をインターネット投票へ」── JOVNY 共同代表・竹永浩之さんがオンライン署名活動を開始。105万人の参政権を未来へつなぐ一歩

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2026年2月、日本で36年ぶりの「真冬の総選挙」が実施されました。悪天候で投票所に行けない人たちの問題がニュースになる中、実は海外に住む日本人にとっても「投票したくてもできない」という深刻な壁があります。

1990年代から海外に住む日本人が日本の選挙に参加できるよう活動してきた海外有権者ネットワークNY(JOVNY)共同代表の竹永浩之さんは、「在外投票制度ができてから20年以上が経った今も、まだ完成していません」と語ります。竹永さんは今、この制度を現場にあったものに改善するため、「インターネット投票の早期導入」を求めるオンライン署名活動を展開しています。

目次

105万人のうち、95万人があきらめている現実

総務省によると、現在、海外には約105万人の有権者がいるとされています。しかし、実際に投票するための手続き(在外選挙人登録)を済ませている人は約10万人ほどしかいません。残りの約95万人は、実質的に選挙から取り残されている状況です。

さらに、今回の衆院選では「過去最多の在外投票者数」(28.02%)と発表されましたが、これは在外選挙人登録者数に占める投票者数の割合。実際は、海外の有権者数約105万人のうち、登録しているのはわずか約10万人で、今回の選挙での投票率は2%だったのです。

竹永さんはこの現状をこう指摘します。

「日本国内なら、投票に行くか行かないかは本人の自由です。でも海外では、投票したくても手続きや移動のハードルが高すぎてできない人が大勢いる。これは、単なる便利さの問題ではなく、憲法で守られているはずの参政権という権利が、正しく保障されていないという大きな問題です」

なぜ「郵便投票」や「在外公館投票」では不十分なのか

なぜ、今の在外投票制度では投票が難しいのでしょうか。竹永さんは、今のシステムが抱える限界をわかりやすく説明してくれました。

  1. 投票所が遠すぎる:世界中に日本の選挙投票所(在外公館など)は233カ所しかありません。片道数時間、あるいは飛行機を使わなければならない距離に住む人にとって、投票所へ行くことは現実的ではありません。竹永さんは、「もし日本国内で、投票所が北海道に1カ所しかなかったらどうしますか?」とその不便さを例えます。
  2. 投票期間が短すぎる:在外公館では投票用紙をまとめて日本に運ぶため、日本での投開票に間に合わせるには、在外公館での投票期間が短くなります。今回は3〜4日のみのところが多く、日程の調整が極めて困難になりました。
  3. 郵便が間に合わない:もう一つの投票の方法に郵便投票がありますが、これも十分に機能していません。海外に出る前に住んでいた自治体に郵便で投票用紙の郵送を依頼すると、投票用紙が郵送されますが、これが投開票日に届かない場合もあります。特に今回の衆院選は解散から投開票までの期間が戦後最短の16日だったこともあり、郵便投票を利用できた人は世界でわずか246人でした。

SNSで可視化された「往復数時間、飛行機移動」の現実

今回の選挙では、SNS上で「#在外投票」というハッシュタグを通じ、世界各地の日本人から体験談がシェアされました。

  • 「投票所まで車で往復6時間。ガソリン代もかかるけれど、一票のために一日がかりで行ってきた」
  • 「近くに在外公館がないので、飛行機を予約して隣の州まで行かなければならない」
  • 「泊まりがけで行かないと難しい」
  • 「日本国内で大雪のニュースを見ていると、私たちの苦労も少しは伝わるかもしれない」

国内でも大雪や寒さで投票を断念せざるを得なかった人がいたように、海外ではこうした「物理的な壁」が、個人の努力ではどうにもならないレベルで立ちはだかっています。

2018年には導入すべきと提言されていた

実は8年近く前の2018年に、総務省の有識者会議でも「海外でのネット投票を導入すべき」という報告が出されていました。しかし、今もこれが実現していない理由について、竹永さんは次のような政治的な理由があるといいます。

  • 自分たちの当選にどう影響するかを気にする政治家が慎重になっている。
  • 海外でネット投票を認めると、日本国内でもネット投票を進める声が強まり、これまでの選挙のやり方が変わってしまうことを恐れている。

エストニアやフランスなどの国ではすでにネット投票が導入されており、日本でもすでに26年前から立ち会い人のいない郵便投票を海外で行ってきた実績があります。

インターネット投票で、何が変わるのか?

在外投票制度でインターネット投票が実現すれば、海外在住者の政治参加は大きく変わります。

  • どこにいても投票できる:遠くの投票所まで何時間もかけて行く必要がなくなる。
  • ギリギリまで考えられる:公示から締切直前まで候補者をじっくり検討して投票することができる。
  • スマホで手続き完了:投票だけでなく、現在は郵送や窓口で行っている事前の登録手続きも、オンラインで完結できる可能性があります。

過去の制度改正も、声を上げることから始まった

海外有権者ネットワークNY(JOVNY)の活動には、過去の確かな実績があります。2000年に始まった在外投票制度も、その後、小選挙区の投票や最高裁判所の国民審査ができるようになったのも、すべては当事者が声を上げ、裁判で違憲判決(憲法違反という判断)が出たことがきっかけでした。

竹永さんは言います。「ネット投票は便利になるというだけの話ではありません。選挙権が保障されていないという問題を解決するためなのです」 

「また、インターネット投票と選挙人登録のオンライン化もセットで進めることで、より多くの日本人が政治に参加できる環境が整います」

竹永さんは2026年3月半ばに、集まった署名を総務大臣、外務大臣、デジタル大臣に提出すること、在外投票を推進する議員連盟にも海外有権者の声として届けることを目指しています。また、同時に国会への「請願」の参考資料として提出することも検討しています。この活動の詳細は、下記のリンクからご覧ください。

オンライン署名
署名期限: 2026年3月半ば(第一次締め切り)
署名はこちら(Change.org): 在外投票できない! 在外ネット投票の一日も早い導入を求めます

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