シアトルの交通インフラにおける歴史的な瞬間が目前に迫っています。地域公共交通機関のサウンドトランジット(Sound Transit)は、レイク・ワシントンを横断してシアトルとイーストサイドを繋ぐライトレール「2ライン」の「クロスレイク・コネクション(Crosslake Connection)」を、2026年3月28日に開通すると発表しました。
このプロジェクトは、2008年に有権者の承認を得た公共交通拡充計画「ST2」の集大成。浮橋の上をライトレールが走行するのは世界初の試みで、地域の移動手段を劇的に変えることが期待されています。
待望の全線開通と新しい駅

この開通により、先行して運行していたベルビュー・レドモンド区間がシアトル中心部と直結します。新たに運用が始まるのは、アイランド・クレストウェイ付近に位置するマーサー・アイランド駅(Mercer Island Station)と、シアトル側のジャドキンス・パーク駅(Judkins Park Station)の2駅です。
2ラインは最終的にレドモンド・ダウンタウンからシアトルを経由し、リンウッドまでを結ぶ全長35マイル(約56キロメートル)以上の路線となります。これにより、リンウッドからフェデラルウェイまで南北に走る「1ライン(Line 1)」との接続が実現し、地域一帯に張り巡らされた鉄道網が完成します。
世界初の技術と安全性

©︎Peter Bohler/Sound Transit
レイク・ワシントンに架かるI-90の浮橋に線路を敷設する計画は、その難易度の高さから世界的に注目されてきました。サウンドトランジットによると、浮橋特有の揺れや伸縮に対応する技術は数々の賞を受賞しており、2025年9月には浮橋を初めて自力で渡る歴史的テスト走行に成功。これは、架線から電力供給を受けた鉄道車両が浮橋を渡った、世界初の成功例となります。
サウンドトランジットによると、この数ヶ月間、運行担当者はインターライニング(Interlining)と呼ばれる、インターナショナル・ディストリクト/チャイナタウン駅での1ラインと2ラインの相互乗り入れテストを繰り返し、安全性を確認してきました。開通後は、最も混雑するシアトル・ダウンタウンからリンウッドの区間において、ピーク時には4分間隔で列車が運行されることになり、輸送能力は現在の約2倍に向上します。
浮橋とは?

「浮橋(floating bridge)」は、橋脚を海底や湖底に固定するのではなく、巨大なコンクリートの箱型構造物(ポンツーン)が水に浮かんでいます。そして、その上に道路と線路が設置されています。水深が深く、通常の橋脚を立てられない湖や湾に適しています。
レイク・ワシントンの東のベルビューと西のシアトルを結ぶこの浮橋は高速道路 Interstate 90(I-90)の一部で、全長約2km。世界最長級の浮橋として知られています。
生活者と旅行者へのメリット
この開通は、日々の通勤・通学客の生活の質を向上させるだけでなく、旅行者にとっても非常に便利になります。
- 渋滞回避: I-90の慢性的な渋滞に左右されず、シアトルとベルビュー間を正確な時間で移動できます。
- 絶景: レイク・ワシントンを横断する車窓からは、マウント・レーニアやシアトルのスカイラインを一望でき、地域屈指のビューポイントが誕生します。
- アクセス拡大: シアトル・タコマ国際空港から1ラインでシアトル中心部に移動して乗り換えるだけで、ベルビューやレドモンドへ手軽にアクセスできるようになります。
3月28日の記念イベント
開通当日となる3月28日には、各地の駅で盛大なセレモニーが予定されています。テープカットのほか、アクティビティ、展示会、エンターテインメント、そして景品が当たるイベントなどが各駅で開催される予定です。詳細はサウンドトランジットの特設サイトで順次公開されます。
初春の訪れとともに動き出す新しい「2ライン」。開通当日はカメラを手に、歴史的な初乗りを体験してみてはいかがでしょうか。最新の情報やプロジェクトの詳細は、サウンドトランジットの公式サイトをご確認ください。


