ワシントン州は、豊かな自然と無数のトレイルが魅力のアウトドア天国です。しかし同時に、大自然はクマ、クーガー(ピューマ/マウンテンライオン)、コヨーテなどといった野生動物が暮らすエリアでもあるので、事故やトラブルにつながる可能性があります。ここでは、WDFW(ワシントン州魚類野生生物局)の公式情報をもとに、安全対策をまとめました。
目次
クーガー/ピューマ/マウンテンライオン(cougar)

- 主に森や丘陵地に生息し、早朝や夕方に活動が活発になります。
- 遭遇したら背を向けず、目をそらさず、両腕を上げるなどして体を大きく見せて大声を出すことで威嚇すること。
- 子どもは必ず大人のそばにいて、一人で走らせないこと。
- 犬は必ずリーシュに繋ぐこと。
- 万一の際に有効な防御手段として、ベアスプレーを持参することが勧められます(使用距離は6〜10メートル)。(Amazon.comでベアスプレーを見る)
2025年の夏には、オリンピック国立公園で人気の高いハリケーン・リッジのハイキングトレイルで、幼児がクーガーに襲われ大怪我をする事故がありました。
ブラックベア(black bear)

- 北米で最も一般的な種類のクマです。
- 州全域の山岳地や森林。特にオリンピック半島、カスケード山脈で多く見られる。
- 単独行動を避け、声を出して存在を知らせる、ベアベルを鳴らしていると、遭遇を防ぎやすくなると言われています。(ベアベルを Amazon.com で見る)
- 食べ物やゴミは密閉容器に入れ、キャンプ地は常に清潔に保つこと。
- 遭遇した場合は走らず、ゆっくりと後退しながら距離をとるのが安全とされています。
- 万一の際に有効な防御手段として、ベアスプレーを持参することが勧められます(使用距離は6〜10メートル)。(Amazon.comでベアスプレーを見る)
コヨーテ(coyote)

- 都市近郊のトレイルや公園でも見られる、適応力の高い動物です。
- 遭遇しても走らず、大声や動作で威圧(ヒューマン・ヘイジング)して追い払うことが有効とされます。
- ゴミやペットフードなどを屋外に放置しないこと。
- 繁殖期(2月〜7月)は防衛行動が強まるため、刺激せず距離を保つこと。
マウンテンゴート(mountain goat)

- カスケード山脈、オリンピック山脈など標高の高い岩場に生息している。
- 人間の汗や尿に含まれる塩分を求めて接近することがあり、油断は禁物。
- 見かけても近づかず、しっかり距離を取る。
- 餌を与えたり、塩分のある物を放置しないこと。
- 攻撃的になることがあるため、遭遇時はゆっくり退避。
狼(gray wolf)

- 北東部やカスケード北部の森林・山岳地帯。特にオカノガン、スティルウォーター周辺に生息群が確認されている。
- 群れで行動するため、接近は極めて危険。
- 遭遇しても威圧行動を取らず、落ち着いて後退する。
- ペットは必ずリードに繋ぐこと。
エルク(elk)

- ワシントン州西部(レーニア山周辺、オリンピック半島)や南東部の草原地帯に生息する。
- 体重400kgを超える大型動物で、繁殖期(秋)にはオスが攻撃的になる。
- 出会った場合は静かに距離を取り、決して近寄らない。
- 道路横断が多いため、車での移動時は衝突に注意。
シカ(deer)

- ワシントン州全域の森林や草地、郊外の住宅地周辺。
- 見かけても近づかないこと。
- 餌付けは違法です。事故や病気(慢性消耗病など)の原因となるため、絶対にしないこと。
- 秋の繁殖期はオスが攻撃的になることがあり、春の子育て期には母ジカが防衛的になることもあるため、特に注意が必要です。
安全のための共通ルール
- 単独で歩かず、グループで行動すること。
- 遭遇時に、むやみに接近しないこと。
- 遭遇時に、背を向けて逃げないこと。
- 食べ物・ゴミの管理を徹底し、匂いで動物を引き寄せないこと。
- 絶対に餌をやらないこと。人への警戒心を失わせ、事故や病気拡散につながる。
危険な行動をとる動物を見かけた場合は、WDFW Enforcement Office(電話:360-902-2936)や911(警察・消防・救急)に通報してください。詳細はこちら。
クマ・野生動物対策(WDFW・NPS情報より)
国立公園局(NPS)やワシントン州魚類野生生物局(WDFW)では「Leave No Trace(痕跡を残さない)」の原則を掲げ、キャンプ泊だけでなく日帰り利用者にも徹底を呼びかけています。
キャンプ泊の場合
- 食べ物・ゴミ・日用品は必ず ベアボックス(クマ対応フードロッカー) や IGBC(Interagency Grizzly Bear Committee)承認ベアキャニスター に保管する(クーラーボックスや車内では不十分)
- 承認済みのキャニスターは、実際に飼育グリズリーによる破壊テストをクリアした製品
- 代表的な承認製品:
- BearVault シリーズ(BV450, BV500)
- Counter Assault Bear Keg
- UDAP No-Fed-Bear Canister
- 👉 IGBC公式承認リストはこちら
- 調理器具・食べ残し・ゴミ・紙皿・油汚れは放置せず、その場で片付ける(調理エリアも清潔に保つ)
- テント内に食料や匂いの強い日用品(歯磨き粉、日焼け止め、化粧品など)を持ち込まず、ロッカーやキャニスターにいれる
- グレイウォーター(歯磨きのあとの水や食器などを洗った水)も匂いの原因になるので、専用の排水設備があれば必ずそこへ流す。設備がなければキャンプファイヤーの火に注ぐか、穴を掘って土に埋める。水場や地面に直接流さない
- ベアスプレーをすぐ取り出せるところに持っておく
- クマ対策ゴミ箱(bear-resistant container)があれば、ゴミをきちんと蓋をして捨てる(クマが開けられない特殊構造のゴミ箱・コンテナ)
- レンジャーの安全説明やキャンプ場の掲示板にある「ベアセーフティ・ルール」を必ず確認する
IGBC承認ベアキャニスターとは
- クマが開けられない構造を持つフードコンテナ。硬質プラスチックや金属製で、特別な工具がないと人間でも開けにくい仕組み。
- ハイカーやキャンパーが食料・ゴミ・日用品(歯磨き粉など匂いのある物)を安全に保管することで、クマが人の食料を得ることを防ぎ、人と野生動物双方の安全を守る。
- 承認制度:IGBCは実地試験と飼育グリズリーによる「実際に壊せるかどうか」のテストを行い、承認製品をリスト化している。
使用が義務付けられている地域
- グリズリーベアが生息する地域(モンタナ州、アイダホ州、ワイオミング州、ワシントン州北部の一部)では、国立公園や州立公園によって IGBC承認のベアキャニスターの使用が義務付けられています。
- 例:グレイシャー国立公園、ヨセミテ国立公園などでは、バックカントリーでの宿泊に必須。無料レンタルあり。
- ワシントン州のノース・カスケード国立公園やオリンピック国立公園の一部バックカントリーでは、IGBC承認のベアキャニスター携行が推奨または義務付けられています。
- WDFWやNPSは「クマ対応ゴミ箱やベアボックスが設置されていないところでは、必ずベアキャニスターを利用するように」と案内しています。
日帰り利用の場合
- ゴミは必ず持ち帰るか、クマ対策ゴミ箱(bear-resistant container)へ:紙くず、食べ残し、ペットボトルなど、わずかなゴミも野生動物を引き寄せる原因になります。必ず自分で管理し、決して放置しないこと。
- 食べ物を野生動物に与えない:「かわいいから」「かわいそうだから」「一口だけなら」などの考えで餌をやる(餌付け行為)は違法です。動物が人間を恐れなくなり、攻撃的な行動を招く危険があります。
- 休憩時の食事にも注意:ピクニックや昼食で利用する際は、食べ物の包装や残り物をその場に置かず、必ず袋にまとめて管理する。
- グレイウォーターの配慮は日帰り利用でも必要:歯磨き後やちょっとした洗浄で出た水も、地面にそのまま捨てず、流れのない場所に残さない。
参考
- Washington Department of Fish and Wildlife (WDFW): Living with Black Bears
- National Park Service (NPS): Food Storage and Bear Safety Guidelines
- Interagency Grizzly Bear Committee (IGBC): Approved Bear-Resistant Products