2025年のシアトル市長選で、11月12日時点で進歩派(progressive)の活動家ケイティ・ウィルソン(Katie Wilson)氏(43)が現職のブルース・ハレル(Bruce Harrell)市長(67)を得票数で約2000票リードし、当選が確実となりました。
今回の選挙では物価高と住宅問題を背景に進歩派が勢いを取り戻す動きが見られ、シアトル市長選もその一つとなりました。
シアトルは人口が増加し続けており、現在は物価高騰、財政赤字、警察改革、治安対策、さらに来年の夏のFIFAワールドカップに向けた準備などの課題があります。
キング郡選挙管理局による集計結果
キング郡選挙管理局が12日にに発表した公式データでは、ウィルソン氏が50.19%、ハレル氏が49.48%の得票率で、約1,976票の差がついています。開票が進むにつれて票差が広がっており、主要メディアはウィルソン氏の勝利を事実上確定と報じました。
- ケイティ・ウィルソン(Katie Wilson):138,673票(50.2%)
- ブルース・ハレル(Bruce Harrell):136,655票(49.5%)
総投票数は279,525票で、登録有権者数505,393人のうち投票率は55.31%でした。
ハレル氏は開票初日に約7ポイントのリードを保っていましたが、シアトルでは郵便投票が主流のため、後半に数えられる投票が進歩派候補に有利に働く傾向があります。結果的に、後日集計分の票によってウィルソン氏が逆転しました。KUOW によると、「過去20年間、現職市長が予備選で敗れた後、11月の本選で勝利した例はない」とされています。
ハレル市長の敗北宣言とウィルソン氏の勝利スピーチ
ブルース・ハレル市長は11月13日に市庁舎で演説を行い、公式に敗北を認め、対抗馬のケイティ・ウィルソン氏への祝意と移行準備を表明しました。
それから2時間後、ケイティ・ウィルソン氏は市内で勝利スピーチを行い、「この街はあなたの街です(This city belongs to you)。どんな経歴でも、どんな収入でも、ここで尊厳を持って生きる権利があります(No matter your background or your income, you have the right to live here with dignity)」と語り、すべての市民が安心して暮らせる都市を目指す姿勢を示しました。
さらに「私たちは互いに、そしてこの街に対して共同の責任を負っています(We share a collective responsibility to one another and to this city)」と呼びかけ、格差や分断を乗り越えるための協働を強調しました。また、選挙中に富裕層や企業による反対キャンペーンがあったことにも触れ、「彼らが持っていたのはお金。私たちが持っていたのは人々です(They had money, but we had the people)」と述べ、草の根運動の力を讃えました。
今後は住宅の安定供給(stable and affordable housing)、公共交通の充実(better public transit)、すべての子どもへの教育とケアの機会(universal childcare and education opportunities)を重点政策として掲げ、「郵便番号や人種によって未来が決まらないシアトルをつくる(We will build a Seattle where your future and your health aren’t determined by your ZIP code or your race)」と決意を語りました。
今後の展開
正式な開票結果はキング郡選挙管理局(King County Elections)が11月25日に認証し、その翌週にはワシントン州政府が認証します。結果が確定すれば、ウィルソン氏は2026年1月1日に新市長として就任します。
シアトルは人口約82万人・年間予算90億ドルを有する太平洋岸北西部最大の都市。ホームレス対策や治安回復、生活費の高騰、手頃な価格の住宅の不足、そして市の財政赤字などの課題を抱えています。
<当選>ケイティ・ウィルソン氏略歴
ケイティ・ウィルソン氏は1982年ニューヨーク州生まれ。高校卒業後に英国オックスフォード大学バリオール・カレッジで物理学と哲学を専攻しましたが、卒業間際に中退。2004年にシアトルへ引っ越し、さまざまな仕事を経験しながら地域の市民活動に関わり、2011年に非営利団体トランジット・ライダーズ・ユニオン(Transit Riders Union)を共同設立。公共交通のアクセス向上、低所得者向け交通制度の創設などを推進し、Amazon など大企業への課税や労働者の賃上げを推進する活動を続けてきたことで知られています。このシアトル市長選が初の立候補・初当選となり、草の根市民運動から市政のトップに就くという点で、極めて異例の経歴を持つ新市長です。公式サイトはこちら。
第57代シアトル市長 ブルース・ハレル氏 略歴
2021年から市長を務めてきたブルース・ハレル氏は、1958年、シアトル生まれ。アフリカ系アメリカ人の父と日系アメリカ人の母を持ち、ワシントン大学で政治学の学士号と法務博士号を取得した弁護士です。2008年から2020年までシアトル市議会議員(2016~2020年には議長)を務め、2021年の市長選で当選し、2022年1月1日に第57代シアトル市長に就任しました。公式サイトはこちら。


