ワシントン州のノース・ベンドに生息している野生のエルク(elk)の群れは、スノコルミー・バレーのエコシステムを象徴する存在と考えられています。この記事では、ノース・ベンドでエルクを見るための歴史や観察スポット、ベストな時間帯、マナー、保護活動についてご紹介します。
野生のエルクの歴史
エルク(Cervus elaphus)はシカ科に属し、シカやトナカイの仲間です。数千年前、ベーリング陸橋を渡って北米にやってきたアカシカ(Red Deer)の子孫と考えられており、かつては北米の温帯地域の大部分に生息していました。
スノコルミー市によると、この地域に何千年も前から住んでいる先住民スノコルミー族の人々は、古くから谷に生息するエルクを大切にし、持続可能な方法で狩猟してきました。しかし19世紀後半の白人の入植により、数が減少。20世紀初頭、シアトル・エルクス・クラブがイエローストーンからロッキーマウンテン・エルクを移入し、現在では約400頭の群れが定着しています。
Meadowbrook Farm ー 定番の観察スポット
ノース・ベンドとスノコルミーの間に広がる Meadowbrook Farm Preserve(メドウブルック・ファーム) は、460エーカーの草原と湿地の森林を有する保護地です。1996年に両市が共同で取得し、野生動物の生息地として整備されました。
ここでは一年を通じてエルクを観察でき、トレイルや観察エリアから安全な距離で眺めることができます。とくに冬場は低地に降りてくるため、大きな群れを目にするチャンスが増えます。詳細は公式サイトも参考にすると安心です。
Meadowbrook Farm は、1996年にスノコルミー市とノース・ベンド市が取得した農場です。二つの市にまたがる460エーカーの敷地にはトレイルや観察スポットもあり、安全な距離から観察できます。詳細は公式サイトでご覧ください。
エルクを見るのに最適な時間

©︎Naomi
エルクは一年中見られますが、特に冬の間はカスケード山脈の高地からスノコルミー・バレーのような低地に食べ物を求めて群れで移動するため、特に見つけやすくなります。
特に夜明けと夕暮れに活動が活発になるため、その時間帯に Meadowbrook Farm を訪れると、遭遇率が高まります。カメラや双眼鏡を持参すれば、より迫力ある観察が可能です。
野生動物観察のエチケット

©︎Naomi
エルク観察では以下のルールを守ることが重要です。
- 近づかない(安全な距離を保つ)
- 静かに観察する(大声や物音を避ける)
- 双眼鏡やスコープを利用
- ペットは連れて行かない
- 秋の交尾期は特に注意
エルクは大型動物で、車やモーターサイクル(オートバイ)の運転中に衝突すると大変な事故になりかねません。2024年7月には午前2時過ぎにモーターサイクルを運転していた女性がエルクと衝突して飛ばされ、走行していたバンに跳ねられ死亡する事件が起きています。(シアトル・タイムズ)
エルクの保護活動
スノコルミー・バレーでは、Upper Snoqualmie Valley Elk Management Group(USVEMG)がエルクの個体数管理や研究を行っています。また、高速道路I-90沿いにはフェンスを設置し、車との衝突を減らす取り組みを進めるなど、地域住民や旅行者が協力し、エルクと人間が共存できる環境づくりが続けられています。
まとめ
シアトル近郊で自然を体感したいなら、ノース・ベンドでのエルク観察はおすすめです。Meadowbrook Farm の草原に現れる群れを眺める体験は、都会では味わえない貴重なひととき。観察マナーを守りながら、ワシントン州の自然の豊かさを実感してみてください。

