スノーシューは、雪山を気軽に楽しめるアクティビティとして人気があります。ハイキングブーツに簡単に装着でき、新雪の上でも沈み込んだり滑ったりせずに歩けるのが特徴です。夏の山と違って、雪山は静か。最初は寒くても少しずつ温まってきて良い運動になります。この冬はスノーシューを手に入れて、新しい角度から冬を楽しんでみてはいかがでしょうか。
スノーシューのいいところ

©︎ Rika
スノーシューには、いろいろないいところがあります。
まず、雪が深くて柔らかいところは、スノーシューなら沈み込むことなく歩くことができます。ハイキングブーツだけ、またはハイキングブーツにマイクロスパイクをつけただけでは、簡単に歩くことができません。
また、夏は人が多くて雑音が多いトレイルも、雪に覆われた冬はそれほど人も多くなく、昼間でも静かに景色を楽しめることが多いです。
また、スノーシューは、スキーやスノーボードよりもはるかに安いです。チェアリフトのチケットやシーズンパスを購入する必要もありません(スノーシューのトレイルへのアクセスは、一部で車の駐車にパスの購入が必要です)。
スノーシューのテクニック

カジュアルに楽しむ分には特に高度なテクニックは必要なく、平坦なところを歩くこと、傾斜のあるところを上り下りすること、雪が深いところで倒れた時に起き上がることが必要なぐらいです。
クラスを受講して、雪崩(avalanche)対策・予防について知るのもおすすめです。なぜ雪崩が起きるのか、どういったところで起きるのか、スノーシューに行く前に雪崩予報(avalanche forecast)を確認することなどを学べます。
詳細は Northwest Avalanche Center や American Avalanche Association が推奨するクラスでご覧ください。

スノーシューの買い方
スノーシューはスポーツ用品店や会員制の量販店のほか、オンラインでも販売されています。例えば、Amazon.com でもスノーシュー、ポール、ゲーター、持ち運びできるバッグのセットが100ドル以下で販売されています。(アフィリエイトのリンクが開きます)
買う前にレンタルしてみたい場合は、シアトル地域に本社のあるスポーツ専門店 REI などでレンタルできます。自分がスノーシューをする時に履く靴で試してみるのがいいですね。
スノーシューのギア
スノーシュー以外に身につけておくといいものは、次のとおりです。体温を調節できるよう重ね着して、動いて暑くなったら脱ぐことができるようにしておくと楽です。
- ポール:歩く時に体を支えることができ、楽になる。
- フード付きの防水ジャケット:吹雪いて来たときにも便利。できればあちこちに温度調節用のファスナーつきの穴があると良し。
- 手袋:ウォータープルーフのもの。
- ヒートパック(カイロ):手足・体を温める。
- 帽子:濡れても冷たくなりにくいウールの帽子や、ウォータープルーフの帽子がおすすめ。森の中を行く場合は特に雪が落ちてきやすいので、帽子は必需品。
- ネックゲーター:首をあたたかく保つためのウールの首巻。頭からすっぽりかぶることができるので、暑くなれば簡単に脱ぐことができる。
- ウィンドブレーカー:風がある日におすすめ。
- パンツ:少し余裕のあるぴったり加減の防水のものがおすすめ。
- 靴下:ウールの靴下は濡れても冷たくなりにくいので便利。
- ゲーター:靴の中に雪が入らないようにするのに便利。
スノーシューに人気のトレイル
ゴールドクリーク・ポンド

初心者にぴったりなトレイルとしておすすめしたいのは、シアトル地域の東、スノコルミー・パスの近くにある Gold Creek Pond です。湖の周りを歩く平坦なトレイルは2.8マイル(約4.5km)。ピクニックテーブルもあるので、雪の中でピクニックを楽しむこともできます。 もっと寒い時は湖が凍っていることも(氷が薄いかもしれないので、氷上まで行かないように)。
スカイライン・レイク・トレイル

カスケード山脈のスティーブンズ・パスにあるスカイライン・レイクは、駐車場脇から始まる斜面を湖まで登るトレイルです。カスケード山脈の尾根を眺めることができ途中、急な斜面もあるので、ポールがあると便利。真冬の湖は凍っていますが、氷の厚さはわからないので、湖の上まで行くのはおすすめしません。
往復2.5マイル(約4km)
獲得標高 1050’(320m)
最高標高地点 5100’(1554m)
このトレイルの斜面はソリ滑りにぴったりのように見えますが、コントロールが効かないソリは非常に危ないため、禁止されています。救急車が出動するほどの怪我を負った人もいるので、ソリ滑り禁止を知らせる看板があちこちに立てられています。
パシフィッククレスト・トレイルのセクションKの一部

パシフィック・クレスト・トレイル(PCT)といえば、カナダの国境からメキシコ国境まで、アメリカ西海岸を縦断する全長4,265kmの長距離トレイル。ワシントン州、オレゴン州、カリフォルニア州の山岳地帯や砂漠、森林など多様で標高差の大きな地形を、時に過酷な天候に晒されながら数ヶ月かけて歩く体力と精神力を要求されるため、「バックパッカーの聖地」としても知られています。
PCTの全長を歩くことは誰にでもできるものではありませんが、その一部はアクセスが比較的簡単な場所から楽しめるようになっています。スキー場のあるスティーブンズ・パスもその一つで、駐車場脇から入って、Pacific Crest Trail #2000 の表示がある木からスタート。片道約1時間ほどの行程はほぼ平坦で緩やかな下りですが、森林浴が楽しめます。
オリンピック半島のハリケーン・ヒル

オリンピック国立公園でスノースポーツを楽しむとしたら、ハリケーン・リッジを思い浮かべる人が多いはず。スノーシューやクロスカントリースキーには、標高5242フィート(1598m)から始まるハリケーンヒル・トレイルが人気です(ビジターセンターは焼失したため、再建中)。標高5747フィート(1752m)の頂上まで行くなら、往復約6マイル(約9.6km)・獲得標高約1650フィート(約503m)。晴れていれば、南にベイリー・レンジの山並み、北にポートアンジェルスの街、ファン・デ・フカ海峡、ワシントン州北部のマウント・ベーカーなどが一望できます。
名前の通り、風が強いことも多いので、準備万端でお出かけください。写真を撮影した日は風はなかったものの、気温は20℉(マイナス7℃)でした。

スノーシューをする時の注意点
- 吹雪になると方角がわからなくなり、迷ってしまうことがあります。天候があやしいときはやめておきましょう。
- 雪崩対策ギアも携帯していくことが推奨されています。
- 危険なところが雪に隠れていることがあります。前もってトレイルをよく調べていきましょう。
- トレイルにゴミを捨てないようにしましょう。
- トレイルや雪原などで他のスキーヤーに出会ったら “Hi” などと言って挨拶しましょう。
- 動き回ると汗をかくので、吸湿性の良いものを着用しましょう。
スノーシューに同伴した愛犬が糞をしたら、放置せず、きちんと持ち帰るのをお忘れなく。