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「日本びいきのスタートアップに会えるのはシアトル」DNP(大日本印刷株式会社)廣瀬守さん

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DNP大日本印刷(株)シアトル支局を立ち上げた廣瀬守さん(左)
協業するシアトル企業 Indicioとの

コロナ禍を経て、4年ぶりにシアトルで対面開催されたJapan Seattle AI Innovation Meetup 21.0。日本代表団は、民間企業9社、3自治体、2機構、1大学の計42名。在シアトル日本総領事公邸でのピッチ・セッション&レセプションには100名以上が参加し、いずれも参加者数の記録を更新しました。

2019年にシアトルに赴任し、DNP大日本印刷(株)シアトル支局を立ち上げた、廣瀬守さん。昨年、AIミートアップを通じて、シアトルのブロックチェーン・スタートアップ、Indicioと知り合い、現在アジア太平洋地域における協業準備を進めています。「日本びいきなスタートアップに会えるのはシアトル」と語る廣瀬さんに、Indicioとの協業に至ったきっかけや日本企業がシアトルのスタートアップと連携するメリットについて、お話を聞きました。

シアトルのブロックチェーン・スタートアップ、Indicioと協業に至った経緯は?

西海岸では、ベイエリアを中心に日本企業が多数所在していますが、商品開発に長い時間がかかっています。半年くらいで物事を決めて、すぐに売上を立てられるものを探して、1年以内に日本国内でローンチすることを目的に、2019年、私が所属している情報イノベーション事業部は、シアトルにオフィスを立ち上げました。

実は、シリコンバレー、ポートランドなど、他のエリアも探したのですが、AIミートアップの江藤さんから、シアトルが今伸びているという話を聞いていて、また、マイクロソフトやAWSとの関係性もあり、シアトルを選びました。

Indicioの話になりますと、ブロックチェーンの共有IDを取り扱っている企業を探している中で、今から1年くらい前にAIミートアップを通じて同社を知りました。実は、同じタイミングで本社の人間も、調査を通じて偶然、Indicioをピックアップしていました。

Indicioとどのような協業を予定していますか?

デジタル庁のブロックチェーンを使った分散型アイデンティティ(ID)の公募案件に、DNPが採択されました。そこで、公的機関の認可を受けている企業から評価やコンサルを受けたかったのですが、ここにIndicioがうまくはまったというのが、正直なところです。

また、同社は、分散型IDに関する教育について、さまざまなスキルやナレッジを持っており、分散型IDに関するトレーニングや検定試験のプログラムを民間企業や政府に解放していくそうです。この取り組みのアジア太平洋地域への展開に、DNPが連携する準備をしています。

分散型IDというのは、非常に難しい業界ですが、今後飛躍的に伸びていくと思います。いろいろなIDが統合されて、それがブロックチェーン上できちんと管理されて、安心安全なITソリューションが全世界に広がっていくというのは、便利なことこの上ないと思っていますし、その裏で支えとなるプラットフォームを提供していくのは、我々としても長年の夢でした。

実はDNPは、国内のICカード製造シェアはNo1です。IDカードに置き換わるものを安心して使える状況に一歩でも早く辿り着きたいと思っており、Indicioもこのビジョンを共有しています。

DNPおよび日本企業がシアトルのスタートアップと協業するメリットは?

今回のAIミートアップのように、州を挙げて日本企業と現地のスタートアップとの提携支援を具体的にやっている州政府はあまりなく、ワシントン州は、頭一つ抜けていると思います。日本の運転免許証を持っていれば、ワシントン州の運転免許証もとりやすいですし、税金も優遇されていて、拠点としておすすめです。

AIミートアップに来ている米国企業は、日本市場に目を向けています。きちんとコミュニケーションをとれるか、ローカライゼーションできるかは、日本企業にとって大きな問題ですが、そこは、AIミートアップが一度ふるいにかけてくれているので、最初から膝を突き合わせることができます。特に日本語のローカライゼーションは、他の言語に比べて難しく、精度も悪くなるので後回しにされがちなのですが、シアトルでは日本びいきなスタートアップに会いやすいと思います。

日本企業向けのベンチャー・キャピタルが乱立しているシリコンバレーですと、企業同士が持っている情報が同じになり、優位性がとりにくくなります。シアトルでも情報をとるのは大変ですが、州政府や総領事館からの協力体制もあり、やりやすいと思います。また、ニューヨークやベイエリアに比べて、日常の事故発生が比較的少なく、とても安全な環境の中で家賃も生活費も安く、駐在員も住みやすいです。

今年頭に4年間のシアトル駐在を経て、日本に本帰国されました。シアトル生活を懐かしく思うことは?

シアトルは、日本と同じように四季の移り変わりを感じることができる場所だと思います。人との距離も日本と似ているような気がします。そういった意味では、情緒的に、日本人にはすごく合っている。夕焼け、紅葉、夏を待ちわびる期待感や秋の雲の寂しさとか、こういった感性が日本人にも通じると思います。ソーシャルメディアでシアトルの街並みの写真や、今の時期だと松茸の写真を見ると、懐かしいな、また行きたいなと思います。シアトルは私にとって、第二の故郷です。

ありがとうございました。

廣瀬守 略歴
山梨県出身。1990年に大日本印刷株式会社に入社。同社の提携パートナーや出資先へ出向・駐在し、多数の新規事業の立ち上げに携わる。2008年に同社インターネット専門広告代理店部門を設立し、初代室長に。2011年から2019年までDNPソーシャルリンク株式会社代表取締役社長を務める。2019年にシアトルに赴任し、2023年までシアトル支局長を務める。シアトル日本商工会(春秋会)2021年度会長。2023年より、同社情報イノベーション事業部DXセンターハイブリッドマーケティング本部副本部長。

Indicio
顧客の既存のシステムを最適化し、デジタルプライバシー、効率性、信頼性を確保し、検証可能な大企業向けデータソリューションを開発。公式サイト:https://indicio.tech/

Japan Seattle AI Innovation Meetup
2016年に開始した、AIを筆頭するシアトルのイノベーションを日本企業に紹介するイベント。約100社延べ300人名以上の日本企業が参加し、その成果としてシアトルのスタートアップ12社及び中堅・大手3社が日本に拠点を開設するなど数々の提携事例を生み出している。

聞き手:大阿久裕子 写真提供:AI Innovation Meetup

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