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アメリカでの避妊(バース・コントロール)基礎知識(1)アメリカで選べる避妊方法

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もくじ

避妊(birth control)の目的と効果

避妊(birth control)は、妊娠を計画していない場合や、未成年の場合、または経済的・健康上の理由がある場合など、さまざまな理由で望ましいと考えられています。

また、避妊方法によっては、避妊効果だけでなく、性感染症の予防、生理不順の調整、生理痛、月経前症候群、月経前不快気分障害などの緩和、月経過多による貧血の改善、にきびの改善などさまざまな効果があります。生理をほぼ抑えることができるものもあり、その目的で使われることもあります。

でも、ここで大切なのは、使用目的、簡易性、信頼度、有効期間、値段(保険適応)、副反応などを考慮し、自分にあった方法を選び、正しく使用することです。

今回は、初めて避妊方法について知る方のために、種類、使い方、効果、副作用など、知っておきたい基礎知識を解説します。

アメリカで選べる避妊方法

では、自分にあった避妊方法を選ぶには、どうしたらよいのでしょうか。

アメリカでは、通常、病院や大学キャンパスのクリニック(Student Health Center)など、家庭医などのプライマリ・ケアを行う専門医と相談し、基礎疾患の有無、喫煙歴などを考慮しつつ、自分のニーズに合った避妊方法を選ぶことができるようになっています。

その中から、今回は、短期的にも使用できる4つの方法についてご説明します。

コンドーム condom

アメリカでの避妊(バース・コントロール)の基礎知識 (1)

コンドーム(ラテックス)は、男性用と女性用があり(ペニスに装着する男性用が一般的)、性行為時に使用することで精子の通過を防ぎ、妊娠を防ぎます。オンライン、一般的なドラッグストアなどで購入できます。

【コンドームの避妊確率】

男性用女性用
一般的な使用87%79%
理想的な使用98%95%

性行為の前に正しく装着する必要があるので、どちらを使用する場合も、あらかじめ正しく装着する練習をすることをお勧めします。

また、コンドームは、性感染症(STI:sexually transmitted illness)から身を守る唯一の避妊方法です。

経口避妊薬、いわゆるピル(Birth Control Pill)

アメリカでの避妊(バース・コントロール)の基礎知識 (1)

一般的にいうピル(combined oral contraceptive: COC pill)は、エストロゲンとプロゲステロンという二つのホルモンを合わせた錠剤です。卵巣から排卵が起こるのを防ぎ、また、子宮頸部内の液体の粘度を上げることによって、精子が卵子へ辿り着けないようにします。理想的な使用によって、99%以上の妊娠を防ぐことができます。

【オプション】

  1. 1:ホルモン成分を含むピル21日分+ホルモン成分が含まれない偽薬プラセボ7日分)
  2. 2:91日分が1セットになっているもの(ホルモン成分を含むピル91日分+偽薬プラセボ7日分)
  3. 1:プロゲステロンのみを含むミニピル(progestin only pill、POP、mini-pill)

【ピルの避妊確率】

一般的な使用92%
理想的な使用99.7%

ピル(combined oral contraceptive:COC pill)は、毎日だいたい同じ時間に飲む必要があります。きちんと飲んでいると、プラセボの錠剤を飲む時に生理(消退出血)が来るように作用します。

もし、21日分が1セットになっているピルを処方されていて、生理の周期を長くしたい場合は、プラセボを飛ばして次のセットのホルモン成分を含むピルをそのまま継続して飲むことで、調整することができます。

プロゲステロン(progestin only pill:POP、または mini-pillともいいます) のみのミニピルもありますが、避妊効果を得るために毎日同じ時間に飲む必要があります。

ワシントン州では、ピル(combined oral contraceptive:COC pill)は、医師やその他の医療従事者の診察を受けた上で処方箋を発行してもらい、薬局で入手する必要があります。

でも、プロゲステロンのピルは、『Opill』という商品名で、処方箋なしで薬局やオンラインで購入できるようになりました。箱のラベル通りに使用すれば安全性も確保されるとのことで、2023年7月にFDAが認可しました。(2024年4月更新)

避妊パッチ Birth Control Patch

アメリカでの避妊(バース・コントロール)の基礎知識 (1)

避妊パッチは体につけるシールのようなもので、排卵を防ぎ、子宮頚付近の粘液の粘性を上げることによって受精を防ぎます。

2種類あり、どちらもエストロゲンとプロジェスティンを含みますが、貼り付けるところが異なります。

【オプション】

  1. Xulane:お腹、お尻、背中
  2. Twirla:お腹、お尻、背中、腕

【避妊パッチの避妊確率】

一般的な使用91%
理想的な使用99.7%

最大の効果を引き出すには、新しいものに張り替えるタイミングを忘れないこと、取れないように注意することが重要です。

避妊パッチは、ワシントン州では医師その他の医療従事者の診察を受けた上で処方箋を発行してもらい、購入する必要があります。

避妊リング (NuvaRing®:ヌーバリング)

アメリカでの避妊(バース・コントロール)の基礎知識 (1)

避妊リングもプロゲステロンとエストロゲンの両方を含んだ、ホルモンによる避妊方法です。リングは太目の輪ゴムのようなもので、膣にリングを挿入し、3~5週間そのままキープします。装着後は膣内の違和感もなく、抜いた時に消退出血(生理)が起こります。

【避妊リングの避妊確率】

一般的な使用93%
理想的な使用99%

ワシントン州では、医師その他の医療従事者が処方する必要があります。

次回の「アメリカでの避妊(バース・コントロール)の基礎知識(2)」では、長期的に使える避妊方法について解説します。

執筆:西連寺智子先生(さいれんじ・ともこ)
University of Washington Department of Family Medicine, Associate Professor
Family doctor at UW Primary Care at Northgate Clinic and Northwest Hospital
米国マサチューセッツ州で幼少時代を過ごし、12歳で日本に帰国。国際基督大学卒業後、岡山大学に学士編入。卒業後、福岡県にある飯塚病院での2年間にわたる初期研修を経て、ピッツバーグ大学メディカルセンターで家庭医のレジデンシーとチーフレジデントを行う。同大学で医学教育修士課程とファカルティデベロップメントフェローシップを終え、現在はワシントン大学医学部(University of Washingon School of Medicine)で家庭医療の准教授として医学生の指導を行いながら、UW Medicine のノースゲート・クリニックと Northwest Hospital で家庭医として勤務している。

当コラムを通して提供している情報は、一般的、及び教育的情報であり、読者個人に対する解決策や医療アドバイスではありません。読者個人の具体的な状況に関するご質問は、直接ご相談ください。

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