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第47回 子会社(Subsidiary)と支社(Branch)の相違とその法的影響

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日本に本社を持つ企業が米国で商業活動をするためにまず考慮しなければならないのは、代理店や販売店と共同事業をするのか、それとも子会社か支社と事業体を設立するのか、その場合はどのような事業体を設立するのか、さらにそれらの法的位置づけと日本企業との関係においての法的影響などです。

第16回のコラムでも基本的な商業活動の種類と情報をご紹介し、第29回のコラムでは企業体の種類についてご紹介しましたが、今回は支社と子会社の相違とその法的影響についてご説明します。

日本の企業が米国で商業活動をするためには、1)卸業者や販売店と契約をする、2)支社を設立する、3)子会社を設立する、という、主に3通りの方法があります。

1)に関しては、別会社と共同事業をすることによって事業活動を行うわけですが、別会社と仮に契約を結んでいても、日本企業側は経営やコントロールがほとんどできません。

次に、2)支社を設立する案ですが、組織構造は日本企業の支社なので、法的には日本企業の外国企業(Foreign Corporation)として登録されます。支社設立の場合は3)の子会社を企業体として設立する場合のように企業体として正式な法的書類や企業記録等を必要としないので、経営に手間がかからず、親会社の経営方針や規則を引き継いだ経営ができます。しかし、支社の場合は、結局日本企業(親会社)の支社なので、訴訟問題・税金問題等米国で賠償責任を問われたり政府から罰金等の支払いを要請されたりした場合は、その法的責任が直接親会社に課されます。

それに対して、3)子会社(Domestic Corporation)を設立する場合は、日本企業からの融資(投資)を受ける、または日本企業が100%の株主になることによって日本企業(親会社)の経営方針を受け継ぎ、親会社によるコントロールも可能であると同時に、親会社とはまったく別の企業体であることから子会社の経営活動や法的・経済的責任を親会社から切り離すことができます。さらに、親会社が上場企業で米国にその子会社を設立した場合は、子会社の情報は公開されないため、経営方法にも比較的自由があります。ただし、独立した企業体として定款や社員規則の作成等、法的に適切な書類を整えなければならないので、維持費・経費も支社の経営よりも大幅にかかります。

しかし、仮に子会社を設立しても、結局、親会社と同様の経営者や取締役で、しかも社員規則やレターヘッドが同様、親会社から社員の給料が送られているなど、親会社と子会社の区別がつかない経営の仕方をしていると、さまざまな問題が発生した時に親会社に法的責任が課されることもあります。従いまして、両企業がはっきり区別された独立経営をすることが重要です。

そのためにも、子会社の取締役には現地の事情をよく理解する有能な人材を雇い、万が一、子会社が違法行為をしたり訴訟問題に巻き込まれたりしても、その責任を子会社の取締役が取るような仕組みにしておけば、株主の親会社は法的問題からは隔離される上、親会社の経営方針にのっとった子会社を米国で経営することができます。

シャッツ法律事務所
弁護士 井上 奈緒子さん
Shatz Law Group, PLLC
www.shatzlaw.com

当コラムを通して提供している情報は、一般的、及び教育的情報であり、読者個人に対する解決策や法的アドバイスではありません。 読者個人の具体的な状況に関するご質問は、事前に弁護士と正式に委託契約を結んでいただいた上でご相談ください。

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