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第52回 フランチャイズ経営について

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フランチャイズ・ビジネスといえば、多くの方はマクドナルドやセブンイレブン等の小売業や食品・レストラン業、ホテル業での展開をお考えるになると思います。今回は、このフランチャイズ・ビジネスに関する法律と、その経営の利点と欠点をご説明します。

まず、フランチャイズは、連邦取引委員会法(FTC) とそれぞれの州(ワシントン州の場合は、RCW 19.100)の法律によって規制されています。連邦取引委員会法は、フランチャイズを通して物品の売買やサービスの提供をするためには、1)商標権保持、2)事業のコントロール権保持、3)フランチャイズ加盟者からの支払いを受けることでその事業がフランチャイズ経営をしていると見なします。さらに、フランチャイズ販売権保持者と加盟者としての経営をするためには、a)連邦取引委員会に提出する事業開示書類(FDD) とb)加盟者と販売権保持者とのフランチャイズ契約を用意する必要があります。ワシントン州法上でも同様の資料提出を義務付けています。特にa)の書類はフランチャイズ事業を加盟者と行う前に提出され、加盟者に開示されなければなりません。

さて、企業経営者にとっては、伝統的な企業経営ではなくフランチャイズ販売権保持者としての事業を選択する利点がいくつかあります。大きな利点は、1)企業の商標を低コストで短期に幅広い地域に広めることが可能、2)事業展開の統合はもちろん、使用の商標等多くの点においてコントロールと自社独自の経営拡大が可能、3)取り扱い商品や販売会社との取引を統一化することによって末端商品(サービス)のコストを低下することが可能、4)フランチャイズ加盟者は経営意欲があるので、従業員を雇うより経営展開が容易、などです。欠点は、1)フランチャイズ法は非常に複雑で、多くの資料提出と法的制限が求められるため、常に専門の弁護士に経営管理と法的準拠の確認を依頼しなければならず、さらに法的準拠をせずに違反行為をすれば、多額の罰金を科せられる可能性がある、2)企業秘密を加盟者に公開しなければならないので、契約終了後に加盟者が契約更新をせずにその企業秘密を利用して新事業を興し、競合として事業を展開することもありえる、3)マクドナルドのように店名が世界中で認知されていなければ、適任の加盟者を見つけるのに時間がかかる、などです。

フランチャイズの加盟者になる側にとっての利点は、1)スタートアップの時点で事業自体にすでに知名度があるので、利益を上げるための時間が短く、事業成功率が高いこと、2)販売商品やサービスがすでに市場にて試みられており、既存のシステムにのっとって経営するので、経営上の問題が起こりにくい、3)業務に関するトレーニングやノウハウは販売権保持者が執行するので、従業員教育等の面倒が少ない、4)販売権保持者が取引している業者からの商品の購入等が可能なので、卸入れ価格の単価を抑えられる、などです。ただし、不利な点は、1)自分で起業するのと同様に、立ち上げ資金の投資を必要とするのに、販売権保持者の管轄の下でその要求に沿ったフランチャイズ契約書に基づいて業務をしなければならないので、資金を投資しても自由に経営ができない、2)良い販売権保持者を選択しないと事業成功につながらず、加盟時に投資した投資資金が無駄になる、3)販売権保持者に商標や企業秘密情報の使用料を支払う義務があるため、利益に対するマージンが少ない、などです。

上記のようにフランチャイズ経営には様々な利点と欠点があることを認知し、パートナーシップ(共同経営)、通常の企業経営と一環として支社・支店を設けて事業展開をする方法、または他企業(店)を買収して経営拡大を図る方法もあることも考慮に入れて、事業展開を計画することをお勧めします。

シャッツ法律事務所
弁護士 井上 奈緒子さん
Shatz Law Group, PLLC
www.shatzlaw.com

当コラムを通して提供している情報は、一般的、及び教育的情報であり、読者個人に対する解決策や法的アドバイスではありません。 読者個人の具体的な状況に関するご質問は、事前に弁護士と正式に委託契約を結んでいただいた上でご相談ください。

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