MENU

アメリカのマリファナ関連法改正と雇用主の対応策

  • URLをコピーしました!

この話題は昨年も取り上げたため、「なぜ頻繁にマリファナの話題を取り上げるのか」と、不思議に思う方もいるかもしれません。しかし、この数年間でアメリカのマリファナ事情は確実に変化しています。そして、この変化は決して他人事ではなく、企業の労務管理に影響を与えることになります。

もくじ

カリフォルニア州の最新情報

まずは、労働者有利の法律が多いカリフォルニアの最新事情をお伝えします。

カリフォルニア州の公正雇用住宅法(FEHA)では、雇用主が保護される特性に基づき、求職者や従業員を差別することを違法としています。つまり、雇用主は、性別、人種、宗教、疾患、障害などの保護される特性に基づき、従業員の雇用、降格、解雇などの不利益な雇用措置を行うことが禁じられています。2022 年まで、FEHA はマリファナ使用者に対する保護を対象としていませんでしたが、議会法案 AB 2188 と SB 700 が 今年1月1日に発効すると、状況が変わりました。

以下は、カリフォルニア州議会が、マリファナ使用者を特定状況下における差別から保護するために、公正雇用住宅法(FEHA)で改正を可決した二つの新しい法律の概略です。

勤務時間外のマリファナ使用に関する保護

この法律は、勤務時間外および勤務時間外に医療用マリファナを使用する個人に対し、FEHA 下で新たに保護される特性を確立する。雇用主は、この使用法に基づき、従業員を差別することを禁じられている。

ドラッグスクリーニングの制限

雇用主が、従業員の雇用、解雇、または処罰の際にマリファナ使用を検出するために毛髪検査や尿検査を使用することも制限される。代わりに、雇用主は、機能障害を示さない非精神活性マリファナ代謝物ではなく、「活動性機能障害を検出する検査手順(Screen for active impairment/THC)」を使用する必要がある。しかし、雇用主は引き続き薬物のない職場を維持し、職場で薬物影響下にある従業員に対して措置を講じることはできる。

例外と規定制限

特定業界の労働者、および連邦政府の身元調査やセキュリティ許可を必要とする職種に対する AB 2188 の保護には
例外がある。

議会法案 AB 2188 を明確にする SB 700

この法律は、法律で別途許可された場合を除き、雇用主が求職者に過去のマリファナ使用について質問したり、犯罪歴調査で開示された過去のマリファナ使用によって応募者を差別することを禁止している。

上記は内容を簡潔にまとめたものですが、カリフォルニア州の雇用主が気を付けるべき点は大きく分けて3つあります。

  • カリフォルニア州においては、雇用前調査の Drug Screening 対象薬物からマリファナを除外する。また、カリフォルニア州以外でも、娯楽用マリファナが合法の州においては、同様の対応を推奨する。つまり就業前のドラッグスクリーニングでマリファナの陽性が認められても、勤務時に影響下になければ問題がないと考えられるからである。
  • 職場におけるドラッグフリーポリシーに問題はないが、勤務中に薬物の影響が疑われる不自然な行動などを発見した場合も、従来の尿検査や毛髪検査によるドラッグスクリーニングではなく、唾液検査や血液検査などによる、活動性機能障害を検出する検査手法を使用する。
  • 上記に反する内容が記載された Employee Handbook については、速やかに内容を更新し、その内容に沿った労務管理を実施する必要がある。(更新履歴が古い場合は可能性大)

カリフォルニア州の企業ではなくても、カリフォルニア州に端を発する法律が他州に波及する可能性が高いことは歴史が物語っているので、この内容はぜひ心に留めておいていただきたいと思います。

ケンタッキー州の最新情報

次は、やはり最近マリファナに関する法律が変更されたケンタッキー州についての情報です。

ケンタッキー州の法律

2022 年、ケンタッキー州知事は、21の異なる病状を治療するために他州で合法的に購入した医療用マリファナをケンタッキー州に持ち込むことを許可する行政命令を出しました。

2025年1月1日より発効する上院法案47により、ケンタッキー州での医療用マリファナの製造、販売、使用が合法化されますが、7つの病状の治療に限り、医療用マリファナが合法とみなされます。この法律が既存の行政命令とどのように関係するかは、まだ明らかではありません。

新しい法律は、従業員や潜在的な求職者の医療用マリファナ使用に対する雇用主の取り組み方に対し、独自の保護と柔軟性を提供しています。「医療用マリファナの使用禁止」を雇用条件と明記することで、雇用主は勤務に障害があるか否かにかかわらず、医療マリファナカードを保持する人の雇用を拒否したり、解雇したりすることができます。雇用主は、この雇用条件を全従業員に対して適用することも、安全に依存する特定部門や役職にのみ適用することも可能です。

企業に必要なアプローチ

企業が医療用マリファナに対しどのようなアプローチを選択しても、明確な薬物ポリシーを定め、書面にしなくてはなりません。

医療用マリファナカードの所持を理由に候補者が拒否される可能性がある場合は、その方針を会社の医薬品ポリシーだけでなく、求人票や応募および選考プロセス中にも明確に記載する必要があります。

医療用マリファナの禁止が社内の特定部門または役職に限定される場合は、そのポリシーが一部の役職に適用され、他の役職に適用されない理由を明確に説明するポリシーを文書化する必要があります。

候補者や従業員は、会社の「医療用マリファナ」のポリシーに違反したために解雇・不採用になった場合、不当解雇や差別を理由に会社に対して請求を行うことはできません。ただし、候補者や従業員に病状について尋ねることは ADA(American Disability Act)により違法であるため、雇用主が従業員または候補者が医療マリファナカードを持っているかを判断する方法の選択には慎重になる必要があります。

ケンタッキー州の企業は、依然として薬物のない職場を維持することができますが、薬物検査ポリシーを明確に文書化する必要があります。雇用主は、従業員に障害がある可能性があると判断した場合、「誠実に」判断することが認められています。「障害」が何を意味するかについては、会社の明確な方針またはチェックリストを用意し、どのような特徴や行動が障害を示すかを管理者や監督者に研修することが推奨されます。従業員が機能障害の疑いで薬物検査を受ける場合には、その行動を文書化する必要があり、 医療用マリファナの使用により解雇する場合は、薬物検査の結果と障害の観察の両方を考慮する必要があります。

全米50州におけるマリファナ規制の状況まとめ

最後に、全米各州におけるマリファナ規制の状況を3種類に分類した状況をまとめました。

いかなる使用も違法の州(12州)

アイダホ、ワイオミング、ネブラスカ、カンザス、アイオワ、ウィスコンシン、インディアナ、テキサス、テネシー、ジョージア、サウスキャロライナ、ノースキャロライナ

医療用に限り合法(15州)

ユタ、ノースダコタ、サウスダコタ、オクラホマ、アーカンソー、ルイジアナ、ミシシッピ、アラバマ、フロリダ、ケンタッキー、ウェストバージニア、ペンシルベニア、デラウェア、ニューハンプシャー、ハワイ

娯楽用の使用も含め合法(23州とコロンビア特別区)

ワシントン、オレゴン、カリフォルニア、アリゾナ、ネバダ、モンタナ、コロラド、ニューメキシコ、ミネソタ、ミズーリ、イリノイ、ミシガン、オハイオ、バージニア、メリーランド、ニューヨーク、ニュージャージー、コネチカット、バーモント、マサチューセッツ、ロードアイランド、メイン、アラスカ、ワシントン DC

出展: COVER CANNABIS (2024)

こうして見ると、マリファナが完全非合法とされている州が少数派で、娯楽用も含め合法とされる州が過半数に迫る
勢いなのがわかります。

しかし、上述の通り、これは決して職場で薬物影響下にある従業員の就業を容認するものではありません。雇用主は従来通り、職場の安全性や非使用者への影響などを熟慮する一方、マリファナを使用する従業員の権利にも十配慮する必要があります。

総合人事商社クレオコンサルティング
経営・人事コンサルタント 永岡卓さん

2004年、オハイオ州シンシナティで創業。北米での人事に関わる情報をお伝えします。企業の人事コンサルティング、人材派遣、人材教育、通訳・翻訳、北米進出企業のサポートに関しては、直接ご相談ください。
【公式サイト】 creo-usa.com
【メール】 info@creo-usa.com

  • URLをコピーしました!

この記事が気に入ったら
フォローをお願いします!

もくじ