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アメリカでの不妊治療体験記 第7回 体外受精の準備

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結局、基礎検査では夫婦とも「すべて正常」との結果がまた出ましたが、人工授精はまた失敗に終わりました。しかし、その後に夫が受けた特別な精子の検査の結果で、夫の精子には「卵子の中に入る能力がない」ことが判明したのです。「数も運動率も奇形率も問題ありませんが、卵子の中に入ることができなければ、人工授精しても成功しません。体外受精に移行しましょう」。

「それが原因だったのか。それが最初にわかっていれば、タイミング法に1年もかけ、人工授精を3回もやる必要はなかったのに」。自分たちがお金と時間を無駄にしたことにかなりガッカリしましたが、それと同時に、「もう体外受精しかないんだ」ということがはっきりしたことは良かったと思いました。

しかし、体外受精をすると一口に言っても、「私の卵子と夫の精子を取り出し、受精させて戻す」というステップを完了するには約2ヶ月かかることがわかりました。先生から説明されたその準備は、”Long Lupron Protocol”(ロング・ルプロン・プロトコール法:卵巣刺激法)と呼ばれ、”Lupron”(ルプロン)という排卵抑制剤を使うもの。この方法は卵巣刺激に最もよく使われている方法で、複数の受精卵を体外で培養し、良好と判断された胚(受精して細胞分裂が始まると、卵子ではなく、胚と呼ばれる)を子宮に戻すというものです。

私のスケジュールは下記の通りでした。
※これは個人によって異なるので、ご参考までにご覧ください。

1日目生理開始、クリニックに電話連絡して生理の開始を通知(基礎検査・同意書への署名・費用の支払いが済んでいる必要あり)
3日目これから治療を始める上での基準となる血液検査・超音波検査、この日から経口避妊薬(birth control pill)と低容量アスピリンを1日1回服用
15日目ルプロンの注射を開始し毎朝注射、経口避妊薬もこの日から6日間継続して服用
21日目経口避妊薬の服用の最終日:ルプロンの注射は継続(ここで生理のような出血があっても問題なし)
26日目抑制効果の確認検査(Suppression Check)、血液検査、超音波検査
27日目Stimulation Day の1日目。ルプロンの量を減少し、”Stimulation Medication” を午前6時から午前8時の間に1回、午後4時から午後7時の間に1回、計2回にわたり注射
29・30日目Stimulation Day の3・4日目:血液検査
32・33日目Stimulation Day の5・6日目:卵胞が成熟するまで、1~2日おきに血液検査と超音波検査
37日目Estimated Trigger Date:卵胞が十分に発育したら卵子を採取する日時を決定し、卵子の最終的な成熟を促すための hCG(性腺刺激ホルモン)を注射する方法・日時を決定(この注射はとても重要なので、指示通りに行う)
38日目血液検査
39日目採卵日(Retrieval Day):午前零時から飲食禁止で、指定日時の1時間前に来院、採取後は抗生物質とメドロール(免疫抑制効果のあるステロイド)を最長5日間にわたり服用(採取した複数個の卵子と精子を受精させる)
40日目受精に成功した卵の個数の通知(受精して細胞分裂が始まると、卵子ではなく、胚/胎芽と呼ばれる)
42日目、または44日目Transfer:胚/胎芽を子宮に戻す(このプロセスを受ける1-2時間前にクロラゼプ酸(tranxene)を服用)、施術30分前には来院し膀胱を満杯にしておくこと(施術後は1日は自宅で安静にしておくこと、プロゲステロン製剤(Progesterone)を経膣的に1日3回服用)
55日目血液検査による妊娠検査(血液内の hCG のレベルを見て判断)

このように細かいステップがあることから、適当な態度では成功できないのがおわかりいただけると思います。このプロセスを説明された時点で、圧倒されてやめてしまう人もいるそうです。

また、費用が高額であることから、お金がなければできないことでもあります。病院側によると、不妊治療をカバーする保険は非常に限られており、たいていの場合はほとんどの費用が自費になるということでした。

私たちの場合は保険が80%ほどをカバーしてくれるとのことで、予想していた1万ドルよりはかなり少ない金額を負担するだけになりました。と言っても、失敗しても痛くない金額というわけではありません。もう一度、夫婦で話し合い、プロセスを始める覚悟を決めました。

筆者プロフィール:30代に入ってから不妊治療を開始。タイミング法や人工授精での失敗を経て、体外受精に挑戦し、その結果、子供を授かることができました。不妊治療を受けようとしている方、不妊治療中の方の参考になればと思います。

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