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はしか感染の男性、5月10日・11日にシアトル・タコマ国際空港利用

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シアトル・キング郡公衆衛生局は30日、麻疹(はしか:measles)に感染した成人男性が、5月10日と11日にシアトル・タコマ国際空港を利用したことが確認されたと発表しました。

ニュースリリースによると、男性はアリゾナ州在住者で、ヨーロッパへの旅行の途中、またはヨーロッパ滞在中にはしかに感染した可能性があります。なお、現時点で、その人のワクチン接種状況はわかっていません。

もくじ

男性が利用した場所と時間帯

男性がはしかと診断される前に利用した公共の場所は、次のとおりです。表に記載された時間帯には、男性がその場所にいた期間とその後2時間が含まれます。はしかのウイルスは、はしかに感染している人がその場所を離れた後、最大2時間空気中に残ることがあるため、以下の場所に時間帯にいた人は、はしかに曝露した可能性があります。

年月日時間帯場所
2024年5月10日午後5時30分〜午後9時30分シアトル・タコマ国際空港、Sコンコース(ゲート S1)、税関から国際線到着施設の荷物受取所(カルーセル19)
2024年5月11日午前7時30分〜午前11時30分シアトル・タコマ国際空港、Aコンコース(ゲート A8)

対処方法

シアトル・キング郡公衆衛生局は、「ほとんどの人々はワクチン接種によってはしかに対する免疫を持っているため、一般的なリスクは低い」としながらも、上記の場所と時間帯にいた人は以下のことを行うことを勧めています。

  1. ワクチン接種の確認:はしかのワクチン(MMRワクチン)を接種したか、または以前にはしかにかかったことがあるかを確認する。推奨されるMMRワクチンの接種回数が最新であることを確認する。
  2. 医療提供者に連絡:発熱や説明のつかない発疹などの病気にかかった場合は、速やかに医療提供者に連絡すること。他人に感染させる可能性を避けるため、クリニックや病院に行く前に先に電話をして、曝露後にはしかの確認を受けたいと伝えること。また、免疫がないことが知られている人々との接触を限定することも重要。
  3. 発症する可能性のある期間:上記の場所と時間にいて、はしかに免疫がない場合、病気になる最も可能性が高いのは2024年5月17日から6月1日の間である。免疫力が低下している人は、発症するまでにより長い時間がかかる可能性もある。

シアトル・キング郡公衆衛生の伝染病部長エリック・チャウ博士:

  • 麻疹は非常に感染力が強く、免疫がなければ、麻疹の患者がいた部屋にいるだけで感染する可能性がある。
  • 世界中および米国で麻疹の症例が増加しているため、ワクチン接種状況を確認し、接種して保護されている状態でない場合は、ワクチンを接種することが重要。
  • 麻疹のワクチンは非常に効果的である。麻疹、おたふくかぜ、風疹の効果のある MMR ワクチンの2回の接種は、麻疹に感染するリスクを約97%減少させ、その保護は一生続く。

米国における麻疹の感染状況

世界中で感染者が発見され、ニュースになっている麻疹(はしか)。英語では “measles” といいます。

CDC(疾病予防管理センター)によると、アメリカでも今年に入ってから5月30日までに、ワシントン州を含む21の管轄区域で146人の感染が確認されており、昨年1年間の感染者数の2倍以上に達しています。

感染者が報告された州は次のとおりです:アリゾナ州、カリフォルニア州、フロリダ州、ジョージア州、イリノイ州、インディアナ州、ルイジアナ州、メリーランド州、ミシガン州、ミネソタ州、ミズーリ州、ニュージャージー州、ニューヨーク市、ニューヨーク州、オハイオ州、ペンシルバニア州、バーモント州、バージニア州、ワシントン州、ウエストバージニア州、ウィスコンシン州

また、これまでに11件のアウトブレイク(関連症例が3以上と定義)が報告されており、症例の69%(146件中101件)がアウトブレイクに関連しています。比較すると、2023年に報告されたアウトブレイクは4件で、これに関連した症例の割合は48%(58件中28件)でした。

ウイルスが空気感染で広がる感染症

次に、はしかの症状や予防方法についてご紹介します。

はしかはインフルエンザやCOVID-19と比べても感染性が非常に強く、ウイルスの空気感染で簡単に広がり、重症化する可能性がある深刻な感染症です。

はしかに感染した人が部屋からいなくなっても、ウイルスは約2時間にわたり部屋の中に残り、後から部屋に入った人でも感染する可能性があります。

免疫のない人がはしかのウイルスに暴露された場合、ほぼ9割以上の確率で罹患します。一人の麻疹患者が免疫のないグループと接触すると、平均12人から18人に感染させると言われています。

ワクチンが開発される前は、ほぼ全員が子どもの時にはしかに感染していました。しかし、感染すると、幼い子どもは死亡したり合併症を起こして後遺症が残るリスクがあり、ワクチン未接種の妊婦は流産や死産、早産のリスクが高まる病気です。

はしかの一般的な症状

ワシントン州保健局によると、一般的な症状は次のとおりです。

  • 発熱(fever)
  • 下痢(diarrhea)
  • 咳(coughing)
  • 鼻水(runny nose)
  • 目の充血や目やに(red and watery eyes)
  • 疲労感(tiredness)

感染から数日後、発疹(rash)が出始めます。通常は顔から始まり、全身に広がることもあります。はしかは通常、7~10日間続きます。

はしかの合併症

ワクチン未接種の5歳未満の子ども、20歳以上の大人、妊婦、白血病やHIVなどが原因で免疫機能が低下している状態の人、栄養失調の人、慢性疾患を持っている人は重症化し、肺炎や脳炎などの合併症や、失明、難聴、死亡などの深刻な場合もあります。詳細は「️CDC: Measles complications」「ワシントン州保健局:Measles」をご覧ください。

米国では、ワクチン未接種の人がはしかにかかると、約5人に1人が入院することがわかっています。

  • 子どものはしかによる死因で最も多いのが肺炎で、20人に1人は肺炎にかかるとされています。
  • 子ども1,000人に1人の割合で脳炎(脳の腫れ)になり、けいれんを起こしたり、耳が聞こえなくなったり、知的障害が残ることがあります。
  • 子ども1,000人に1~3人近くの割合で、呼吸器や神経系の合併症で死亡することがわかっています。
  • MMRワクチンを接種していない妊婦が感染すると、早産や低体重児を出産する原因になることがあります。

ワクチンで予防可能 有効性は95%

はしかは、ワクチンで予防可能な感染症であり、感染を予防するには、予防接種が唯一の確実な方法とされています。

はしかのワクチンは95%以上有効です。

でも、これは生ワクチンなので、免疫の低下している人はこのワクチンを受けることができません。

また、子どもの予防接種は生まれてすぐ始まりますが、はしか(Measles)、おたふくかぜ(Mumps)、風疹(Rubella)の3つのウイルス感染を予防するためのMMRワクチンの接種は、生後12〜15ヶ月に1回目の接種をし、4歳から6歳の間に2回目を接種することが推奨されています。

自分が予防接種を受けたかどうか確認するには

ワシントン州では、次の方法で自分や家族の予防接種状況を確認することができます。

  • MyIR Mobile:ワシントン州保健局が採用したシステム MyIRmobile.com に登録する。
  • かかりつけ医/クリニック/薬局:予防接種の記録を提供してもらう。
  • 学校:通学している学校に提出した記録を提供してもらう。
  • ワシントン州保健局:ワシントン州保健局に予防接種の記録を提供してもらう。

詳細はワシントン州保健局の公式サイトでご確認ください。

子どもの予防接種

ワシントン州では、子供がデイケアや学校に入学する前に MMR ワクチンの予防接種を受けることを個人的な理由や信条を理由に避けることは認められていません。

アメリカのキンダーガーテンや学校に子供が通園・通学する場合、予防接種の記録を学校に提出する必要があります。基本的に、デイケアやプリスクールでも予防接種が必要とされます。また、大学でもはしかの予防接種証明の提出を義務付けているところもあります。

CDC は、米国から外国に旅行する場合、生後6ヶ月からはしかの予防接種を受けることを推奨すると発表しました。また、住んでいる地域全体ではしかが流行している場合、保健所は生後6カ月から11カ月の乳幼児への早期接種を推奨することがあります。かかりつけの小児科医に相談しましょう。

大人の予防接種

米国の予防接種は、CDC(Centers for Disease Control and Prevention)の Advisory Committee on Immunization Practices(ACIP)が推奨するスケジュールに従って行われます。

成人の予防接種スケジュールは19歳から始まり、三種混合(Tetanus、diphtheria、pertussis Tdap or Td)、帯状疱疹(Zoster)、肺炎球菌(Pneumococcal)、髄膜炎菌(Meningococcal)、A型・B型肝炎(Hepatitis A and B)、インフルエンザウイルス(Influenza、flu)、コロナウイルス(COVID-19)などが含まれます。

年齢や基礎疾患、その他リスクに従って推奨されるものが異なります。

現時点ではしかの予防接種を受けていない人は、かかりつけ医に相談してください。また、旅行する際は、予防接種を最新の状態にしていくことがおすすめです。

監修:
千原晋吾 バージニア・メイソン・メディカル・センター 感染症科指導医
千原泉 ワシントン大学医学部保健指標評価研究所研究員

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