アメリカに到着するとすぐに耳にするのが、ファーレンハイト(°F)やフィート(ft)、オンス(oz)、パウンド(lb)といった、なじみのない単位。
旅行や出張、留学や駐在で初めてアメリカを訪れた方のなかには、毎日の天気予報、病院での検査や運転免許証の申請に必要な情報、食料品の買い物まで、異なる単位が使われていて戸惑った経験がある人も多いでしょう。
スマホのアプリを使えば瞬時に換算できますが、日常生活の中で自然に単位を使いこなせたりすると、ぐっと快適になります。
この記事では、アメリカの日常生活で使われる単位について、具体例を交えながらわかりやすくまとめました。覚えておくと便利な単位の換算方法も紹介していますので、ぜひ活用してください!
温度(temperature)

アメリカでは気温や体温だけでなく、オーブンの温度やお湯の温度まで、温度(temperature)はすべて華氏(Fahrenheit:ファーレンハイト)で表します。世界で一般的な摂氏(Celsius:セルシウス)とは異なるため、はじめは戸惑うかもしれませんが、覚えておくとアメリカでの日常生活がずっとスムーズになります。
さっと換算
℃ = (℉ – 32) × 5/9
℉ = ℃ × 9/5 + 32
華氏 | 14 | 23 | 32 | 41 | 50 | 59 | 68 | 77 | 86 | 95 | 100 | 105 | 110 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
摂氏 | -10 | -5 | 0 | 5 | 10 | 15 | 20 | 25 | 30 | 35 | 38 | 40.5 | 43 |
華氏 | 120 | 150 | 180 | 200 | 250 | 300 | 350 | 400 | 450 | 500 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
摂氏 | 49 | 66 | 82 | 93 | 121 | 149 | 177 | 204 | 232 | 302 |
長さ(length/width/distance)

アメリカでは長さや距離を表すのに、主にインチ(inch)、フィート(foot)、ヤード(yard)、マイル(mile)の4つの単位を使います。
具体的には、身長はフィートとインチ(例:5フィート8インチ)、道路の距離や移動距離はマイル、建物や深さはフィート、降水量はインチで表します。また、フットボールやゴルフのフィールドの距離、泳ぐ距離、手芸店で布を購入する時などはヤードが使われます。さらに、フライパンやテレビ、モニターのサイズといった製品の寸法はインチで示されます。
これらの単位に慣れておくと、アメリカでの日常生活や買い物がよりスムーズになります。
1インチ(inch) | 2.54cm |
---|---|
1フット(foot) | 30.48cm |
1ヤード(yard) | 91.44cm |
1マイル(mile) | 1.6km |
よく使う場面
- 自分の身長をフィートとインチでも覚えておくのがおすすめ。170cmなら、約5フィート6インチ。
- ウエストのサイズは、58cmは約23インチ、70cmは約28インチ、100cmは約39インチ。
- 降雨量はインチで量るのが一般的。例:”An inch of rainfall is expected in the next 24 hours”(これから24時間に1インチの雨が降ると予測されている)
- 小学校では、yardstick という、1ヤードの長さの棒を授業で使ったりします。
- 泳ぐ距離はヤードで表します。
- 深さはフィートとインチで表すのが一般的ですが、地震の震源の深さや震源地の位置はメートル法でも表記するのが一般的です。
重さ(weight/mass)

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アメリカでは重さを表す単位もさまざまです。体重はパウンド(pound、ポンドとも言います)で表し、日常会話でもよく使われます。また、スーパーでの食品の価格は、1パウンド(lb)あたりや、1オンス(oz)あたりの表示が一般的です。

例えば、野菜や肉、果物などはパウンド単位で価格が表示され、お菓子やスナック類、調味料などのパッケージにはオンス単位の表示が多く見られます。
こうした単位に慣れておくことで、買い物や料理など、アメリカでの日常生活がぐっと楽になります。
1オンス(ounce/oz) | 28.34g |
---|---|
1パウンド(pound/lb) | 454g |
1パウンド(pound/lb) | 16oz |
1オンス(ounce/oz) | 0.0625lb |
1kg | 2.2lb |
よく使う場面
- 体重をパウンドでも覚えておくのがおすすめ。50kgは110パウンド、100kgは220パウンド。
- 「あと5kgやせたい」と言いたい場合は、簡単に “I want to lose 10 lbs.” となります。
液量

液体の量(volume)は、少量なら液量オンス(fluid ounce, fl. oz)やカップ、パイント、大量ならガロン(gallon)で表します。液量オンスは単に oz と書いてある場合も多いですが、重さのオンスとは別物。ちょっと紛らわしいです。料理のレシピではカップ(250ml)、グラスで提供されるビールなどにはパイント(pint)、料理に使う鍋の容量はクォート(quart)、プラスチックバッグ(ビニール袋)や Ziploc の大きさにはガロンを使います。
【さっと換算】
1液量オンス(fluid ounce/fl. oz) | 28.41ml |
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1パイント(pint/pt) | 473ml |
1ガロン(gallon) | 3.785L |
1クォート(quart) | 0.25ガロン/2パイント/4カップ/946ml |
1カップ(cup) | 237ml |
16液量オンス(ounce/oz) | 473ml |
100ml | 3.3oz |
1000ml | 33oz |
ガソリンの価格表示は1ガロン当たりの価格です
よく使う場面
- 牛乳は1ガロンまたはハーフガロンで売られていることが多いです。
- ガソリンもガロンを使います。ガスステーションで表記されている価格は、1ガロンあたりの価格です。
- 飛行機の機内に持ち込める液量は3オンスまでで、約88mlです。
- 日本の1人用ペットボトル(500ml入り)に近いサイズのものは、16オンス入り(473ml)のものになります。
豆知識:エスプレッソドリンクを買う場合:
- Small/Short(ショート):8オンス 約237ml
- Medium/Tall(トール):12オンス 約355ml
- Large/Grande(グランデ):16オンス 約473ml
ショートやトールという言い方はスターバックスが使い始めたものなので、他の店舗ではオンスで注文することが多いです。
スターバックスではその他に Venti(ヴェンティ)20オンス(約591ml)、Trenta(トレンタ)30オンス (約887ml)もあります。
マヨネーズやドレッシングなどにも液量オンスが使われます。
面積
アメリカでは、住宅や商用物件、庭など、比較的小さい面積(area)を表す時は平方フィート(square feet)、広大な土地や野球場など大きなものにはエーカー(acre)を使うことが多いです。
【さっと換算】
1平方フィート(1 Square foot) | 0.09平方メートル |
---|---|
1エーカー(1 acre) | 約4046平方メートル |
1畳 | 約20平方フィート |
速度

速度(speed)の単位は、1時間あたりの距離をマイルで表した数を使います(Mile Per Hour: MPH)。
日常では、時速、道路の制限時速の標識、車の速度メーター、風速の単位に使います。暴風の速度もマイルでの時速で表します。
メーターをマイルとキロの両方で表示している車は便利。お隣のカナダは速度や距離の表示がkmなので、車で入国する場合は、特に便利に感じます。
その他の単位
K
金額をあらわす場合は、「千」(thousand)を “K” に置き換えて言うことが多いです。
例えば、75K は75,000、つまり7万5千を意味します。
M
100万は million なので、M や mil.と言います。10M は、1千万です。
figure(桁:ケタ)
たとえば “7 figure” は「7ケタ」、つまり100万単位という意味です。
“They have launched a seven-figure renovation.” なら「7ケタ台」、つまり、「700万ドル台の総工費をかけた改装工事を始動した」となります。
メートル法を一般的に公式採用していないのは、わずか3カ国
世界のほとんどの国では、メートル法(国際単位系:SI)が公式な単位として使われています。10進法に基づいた合理的な仕組みで、単位間の換算が直感的(1km = 1000m、1m = 100cmなど)なことから、合理的で使いやすいと認識され、科学・教育・ビジネスの現場で広く採用されています。
でも、アメリカ、リベリア、ミャンマーの3カ国は、一般的にメートル法を公式採用していません。アメリカでは今でもヤード・ポンド法(インペリアル単位系)が日常生活の基本です。気温は華氏(°F)、身長はフィートとインチ、体重はパウンド、距離はマイルやフィート、食品の重さや価格はオンスやパウンドなどで表されます。ヤード・ポンド法は、もともと人の身体や生活実感をもとに生まれたもので、単位間の換算が複雑(1マイル=5280フィート、1フィート=12インチなど)である一方、長年の慣習として受け継がれています。
とはいえ、アメリカですべてがヤード・ポンド法というわけではありません。科学や医療、エンジニアリング、建築、スポーツ競技、地震観測など、正確さや国際的な整合性が求められる分野ではメートル法が広く使われているのが実情です。たとえば科学者や医療従事者は、研究や医療処置、薬の投与量をメートル法で表しますし、エンジニアや建築家も、特に国際プロジェクトや精密さが求められる場面ではメートル法を利用しています。地震の観測・発表などでは震源地の位置や震源の深さには標準としてメートル法を使用しています。また、スポーツ競技では、オリンピックをはじめとする国際大会に準じる場合、距離をメートル法で表します。
つまり、アメリカでは「日常生活はヤード・ポンド法」「専門分野はメートル法」と、使い分けがされているのが現状です。戸惑う場面もありますが、基本的な単位の変換や違いを知っておくことで、生活のハードルを下げることができます。
アメリカでメートル法採用を目標とする活動をしている非営利団体もあります。1916年に設立されたとのことですが、それから100年以上たった今のアメリカでメートル法が公式採用される可能性は…?
まとめ
いかがでしたか?メートル法の世界から来ると、「なぜこんなにややこしいことが続いているのか」と思うかもしれませんが、その単位に接する機会が多いと、感覚でなんとなくわかるようになる面もあります。今は簡単に換算できるアプリなどもできて、便利になりました。