アメリカには多様な人種・民族の人々が住んでおり、一口に結婚式といっても宗教・文化によって伝統や習慣、エチケットやマナーなどが異なります。ここでは、一般的な結婚式を中心に説明します。
招待状
結婚式の招待は、通常招待状(invitation card)で行います。招待状には、日時・場所などの詳細を印刷した紙と、出席・欠席を返信するための封筒とカードが入っています。この返信用のカードで出席か欠席かの返事をすることになっています。 “R.S.V.P.”というのは、かならず出欠の返事をしなければならないという意味です。
お祝い
アジア系アメリカ人の結婚式では、お祝いにお金をあげることもありますが、アメリカの結婚式では物をあげるのが一般的。でも、何が必要なのかよくわからなかったり、もう持っているものをもらったり、あげてしまったりすることがあります。
そういった混乱を避けるため、ブライダル・レジストリ(Bridal Registry)を利用してみましょう。これは、新郎新婦がデパートメント・ストアなどで欲しいものリストを作成して預けておくというもので、たいてい家庭用品が揃えてあるデパートや店、オンラインショップが選ばれているようです。ほとんどの場合、結婚式の招待状に詳細が書かれてあります。
お店に出向かないといけない場合は、店頭で新郎新婦の名前を告げるとリストを印刷してくれるか、店内に設置してあるレジストリ専用のコンピュータにラストネームなどをいれると、リストが印刷されて出てくるところもあります。
ギフトの内容は、伝統的には銀製品をあげていたようですが、今ではベッド用品やキッチン用品、バーベキューセット、電気製品など、新婚生活に必要と思われるもので、20ドル程度の実用品からせいぜい100ドル程度までさまざま。既に買われたギフトはリストから削除されているので、同じ物を購入してしまうことは避けられます。招待客は、たいてい早めに買物に出向き、リストからギフトを選びます。ぎりぎりになるとチョイスがないこともあるので、ご注意ください。
お祝いは、結婚式当日に渡しても、前日までに新婦の家に送っても、また結婚式後に送っても問題ありませんが、たいていの人は当日に持っていくようです。カードを添えてあげるとよいでしょう。
結婚式前のパーティ
ブライダル・シャワー (Bridal Shower)
これは、家族や友人、同僚達が、花嫁となる人を祝福するパーティーです。参加者は伝統的には女性だけとなっていますが、最近では男性が参加することも。勤務先でのパーティーから、レストランやメイド・オブ・オーナーの自宅など、場所はさまざま。だいたい結婚式の2ヶ月前から2週間前ぐらいに行われます。このアレンジをするのはブライズ・メイド(花嫁の姉妹や友人などがなる)です。内容もさまざまで、男性ストリッパーを呼んだ・・・という話も珍しくありません。
バチェラ-ズ・パーティー (Bachelor’s Party)
新郎の親しい男性の友人達が、新郎の独身時代最後の日を一緒に過ごそうというもので、たいていベスト・マンがこのパーティーを仕切ります。レストランやバー、ナイトクラブなどで行う人が多いですが、独身生活も最後ということでストリップを観に行ったりする人もいるようです。
ガールズ・ナイト (Girl’s Night)
バッチェラ-ズ・パーティーの女性版といったところ。新婦の独身時代最後の日を、女性だけで楽しむためのパーティー。レストランやバー、ナイトクラブなどで行うことが多いようです。
リハーサル・ディナー (Rehearsal Dinner)
新郎新婦、家族、親戚、ベストマン、メイド・オブ・オーナー、儀式執行者(牧師など)が式の前日にリハーサルを行い、その後に食事をします。
結婚式の付添い人
アメリカでの付添い人の名称と役割は以下のとおりです。
- Best Man ベスト・マン
新郎のアシスタントとして、そして、婚姻の証人として、結婚式前の「バチェラーズ・パーティー」から、式が終了するまで、新郎をサポートします。たいていは新郎の親友がなります。ベスト・マンの最も大切な役目は、婚姻証明書と指輪を持っていくことです。
- Maid of Honor メイド・オブ・オナー
花嫁のアシスタントとして、そして、婚姻の証人として、新婦をサポートします。結婚式の時も花嫁に付き添い、ブーケを持ったり、ベールやドレスの裾を整えたりします。
- Bride’s Maid ブライズ・メイド
ブライダルシャワーのアレンジなど、挙式の前からすべてのサポートをします。披露宴では入り口でゲストの記帳を手伝ったり、会場に持ち込まれたプレゼントの受付をしたりします。たいてい1人から複数います。
- Groom’s Men グルームズ・メン
結婚式と披露宴で、ブライズ・メイドをエスコートする役。また、招待客を席までエスコートします。
- Flower Girl フラワー・ガール
10歳までの女の子がなるもので、花びらをまきながら、花嫁の入場を促します。
- Ring Bearer リング・ベアラー
10歳までの男の子がなるもので、新婦の横を、サテンでてきた小さなクッションに乗せた結婚指輪を運びます。また、フラワー・ガールのエスコートもします。
参加者の服装
当日の服装ですが、これは結婚式によって、カジュアルでよい場合と、フォーマルな場合とさまざまです。招待状に「カジュアルな服装でお越しください」などと書かれている場合は、文面通りカジュアルな服装で参加しましょう。最近ではカジュアルな式を挙げるカップルも多いようです。書かれていない場合、本人などに事前に確認してもよいでしょう。通常、男性は濃い色のスーツ。もし招待状に “Black tie” と書かれている場合は、ディナージャケットと黒いネクタイ、またはタキシードを着ていくとよいでしょう。”Black tie optional” と書かれてあれば、ビジネススーツでもよいということです。女性の場合は、白以外の服で、花嫁より目立たないものを選びましょう。カクテルドレスなどが無難です。また、アメリカにはいろいろな人種が住んでいることから、服装にもさまざまな違いがありますので、わからない場合は招待主に聞いてみるのが最適です。
結婚式の流れ
- 招待客が着席
- 両親が着席
- 新郎、ベストマン、グルームズ・メンが所定の位置につく
- ブライドメイド、メイド・オブ・オーナー、フラワーガール、リングベアラーが登場。新婦が新婦の父親の腕に手を添えるようにして歩き、所定の位置へ
- 誓いの言葉
- 指輪の交換
- 誓いのキス
披露宴の流れ
人種や宗教などによって形式は異なりますが、一般的には下記のような流れとなります。
- ちょっとした前菜と飲み物の提供
- ベストマンが挨拶とスピーチをし、全員で新郎新婦に乾杯
- ビュッフェまたはフォーマルな食事
- 新郎新婦のファーストダンス。
- ウェディングケーキをカット:カットしたケーキの最初のピースは新郎新婦がお互いに食べさせます。ケーキの最上段は記念に新郎新婦が持ち帰ります。残りは招待客に配られます。
- ブーケ・トス:未婚女性が全員ダンスフロアに集まり、新婦がブーケを投げます。このブーケを受け取った人が次に結婚すると言われているのは有名。
- ガーター・トス:未婚男性が全員ダンスフロアに集まり、新郎が新婦の足からガーター(この日のために購入。フリルのついたカワイイものです)をはずし、それを投げます。このガーターを受け取った人が次に花婿になると言われる。
- ガーターを受け取った男性が、ブーケを受け取った女性の足にガーターをつける。