ここでは、シアトルのあるワシントン州のピュージェット湾地域における一般的概要をご説明しています。地域、種目によってかなりばらつきがあることをご了承ください。
これからのスポーツは1種目集中型!?
幼い時から、フットボール、バスケットボール、野球がシーズン制で、秋、冬、春、夏とシーズンごとに別の種目を経験できる環境があることは、アメリカのスポーツ文化の誇るべき点でした。
でも、多くのスポーツは今、通年活動する方向に変化しつつあります。
また、ラグビーやラクロスといったワシントン州では歴史の浅いスポーツも競技人口を急激に伸ばしています。
そんなふうにスポーツを取り巻く環境は年々変化していますが、キンダーガーテン前後の年齢であればまだまだジムナスティックス、バレエ、サッカー、バスケットボール、野球、などが人気を保っているようです。
年齢が低いとシーズンも短い傾向にありますが、ジムナスティックやバレエは秋から6月までという学校の年度に準じる通年のプログラムを提供しているところもあります。申し込む団体は短期なのか、学校の年度に準じているのか、申込時期はいつごろなのかなど、早め早めにリサーチしておくことが大切です。
まったく情報がない場合は、”youth” や “recreational” “low key”(勝敗よりもスポーツを楽しむことを主眼にしている)といった言葉を入れてスポーツを検索してみましょう。
また、小学校から来るニュースレターに添付されている情報、小学校の事務室に置いてあるフライヤー、住んでいる市や地域、地元の Boys & Girls Club、YMCAなどのプログラムなども探してみることをおすすめします。
小学校にプールがない!
日本の小学生とのスポーツ事情との大きな違いの一つは、学校での水泳の授業の有無が挙げられます。
現地の公立小学校は、通常、プール施設がありません。でも、誕生日会、スポーツシーズンの打ち上げ、小学校の卒業イベントなどではプールでパーティが開かれることがあります。また、湖などでのプレイデート(子ども同士を遊ばせること)の機会も多いことから、溺れない程度になるまで習わせておく方が無難です。
25メートルが泳げるようになると、地元のプール単位でチーム編成される夏だけの水泳チーム(swim team)に参加し、大会(meet)に出場できるようになります。さらにレベルアップして通年の水泳チームに参加すると、小学生でも登校前に朝練が組まれていることなどもあり、また、大会の会場がかなり遠くなることが予想されます。
特別ルール満載の球技
チームスポーツの野球、バスケットボール、サッカーなどは、5~6歳の子どもたちには特別ルールを設け(例えば、野球なら3アウトがなく、1イニングに全打者が打つなど)、とにかくスポーツを楽しんでもらうことを主眼に練習と試合が行われます。
コーチはチームメートの親がボランティアで引き受け、他の親たちが試合の準備やアンパイアを分担することで、参加費がかなり抑えられています。
Select Team や Travel Team はいつから始まるの?
「仲良く楽しいだけでは満足できない」「もっとスキルアップしたい」と感じ始めたら、セレクト・チーム(Select Team)、トラベル・チーム(Travel Team)、トライアウト(tryout)、お住まいの市の名前などの言葉でインターネット検索すると、契約で雇用されたコーチが指導してくれるチームの情報が見つかるはずです。
種目によって、リーグ(League)の特性、参加できる地域や年齢の制約、Select Team や Travel Teamへの移行時期なども異なりますが、大まかには3~4年生くらいが最初の分かれ道になります。ただし、Select Team や Travel Team のトライアウト(tryout)は毎年あるので、これより遅いタイミングでの移行でもまったく問題はありません。
また、必ずしも Select Team や Travel Teamに在籍している選手のみが高校でトライアウトに受かるわけでもありません。トライアウト自体がない種目もあれば、種目も高校毎にかなり状況が違います。勝ち負けを優先するチームでプレーすべきか、その競技を楽しむことを主眼とするか、子供の考え、家庭の時間的・経済的負担も含めて、総合的に選択することが大切です。
ジムナスティックの場合
週1回の習いごととしてスタートし、レベルが十分あると判断されたら、コーチから「チームに入らないか」と声をかけられるパターンが多いです。チームに所属すると、小学校高学年でも週に12時間(平日のみで)の練習を組むことが必須です。大会は週末にあります。
バスケットボールの場合
小学校3~4年生くらいから Select Team や Travel Team が始まります。Recreational Team と比べると、練習も試合も倍になります。
野球の場合
小学校3~4年生くらいから Select Team や Travel Team が始まります。練習も試合数もリトルリーグより増えますが、リトルリーグではこのあたりからレギュラーシーズン後にオールスターチームが結成されるため、上手な選手が Select Team や Travel Team とリトルリーグを掛け持ちすることも珍しくありません。
日本では「リトルリーグは厳しく、上手な子どもが所属する」というイメージですが、アメリカではリトルリーグこそ、参加申し込みをして支払いをすれば、誰でもプレーする機会を与えてもらえます。このため、チームによって参加する子どもの居住地域が決められています。
どのリーグでも、日本式の軟球は使用されていません。T-ball(キンダーガーテン)以外はプロとほぼ同じ硬さの硬球を使用しています。
サッカーの場合
ほとんどのリーグが通年プログラムとして運営していますが、プレミア・リーグ(Select Team、Travel team)の場合はトライアウトがあり、コーチは有償で採用された人が務めます。小学生であっても上位チームの場合は州外遠征(親も帯同)の機会もあることを念頭に入れておいた方が良いです。
Rec(Recreational の意味)の場合は申し込みをすれば誰でも参加でき、コーチはチームメートの親がボランティアで引き受けます。
Rec と Select 両方のプログラムを併設しているクラブもあります。
マーシャルアーツ系のスポーツの場合
シーズン制の概念はなく、原則通年。州外の大会に出場するかどうかは道場や師範次第。
球技と違って自分よりも年上、上級者とも一緒に練習する機会もあるため、年齢の違う選手との交流もあります。