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新生 『しろう』、日本で経験を積んだ職人を呼び寄せ、新たな時代へ一歩

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伝統的な江戸前寿司が食べられるシアトルのすし処といえば 『Shiro’s (しろう)』。京都出身、銀座で修行した後、アメリカで働くという夢を1966年に実現した加柴司郎さんが、1994年に創業。地元の旬を大切にするという江戸前寿司のスピリットを基本に、確かな技術と地元の食材に関する豊富な知識を駆使し、訪れる客をもてなしてきた同店は、全米にその名を知られる名店だ。

しろう

その 『Shiro’s』 が新たなファン層を獲得したのは、銀座の江戸前鮨店 『すきやばし次郎』 のドキュメンタリー映画 『Jiro Dreams of Sushi(邦題:二郎は鮨の夢を見る)』 が2012年に米国で大ヒットしたのがきっかけ。同作品でこれでもかとばかりに披露される江戸前鮨が味わえる店として、連日行列ができる混雑に。その後、同映画に出演していた小野二郎氏の弟子・中澤大祐さんが1年3ヶ月にわたって勤務したことで、注目はさらに高まった(中澤さんはその後独立し、ニューヨークで 『Sushi Nakazawa』 をオープン)。

しろう

創業者の加柴さんは今年4月に惜しまれながら引退したが、日本で経験を積んだ寿司職人たちがその後を継いでいる。開店20周年を記念して地元メディアに向け開催されたイベントでは、重さ約33キロの巨大な近大マグロの解体が行われた。近大マグロは2002年に近畿大学が「海のダイヤ」と呼ばれるクロマグロの完全養殖に成功して誕生したもので、日本でも入手が困難なため、食べられるとなると長蛇の列ができるという。その言わば高級ブランドの巨大マグロを、京都の魚市場や東京・横浜・京都・サンディエゴのレストランで経験を積んだエグゼクティブ・ヘッド・シェフの高井潤さんが、鮮やかな包丁さばきで丁寧に美しく解体していく。横山氏は、「このような解体ができる技術を持つ人は少ない。日本で修行した職人ならではです」と語る。解体されたばかりのマグロで握ったトロは、口の中でとろけるおいしさ。いくらでも食べられそうとはこのことだ。天然マグロが乱獲で枯渇しつつあることを受けて誕生したこのマグロは、乱獲に厳しいアメリカの一般市民にも受け入れられやすいだろう。また、同店では New York Times でも紹介された銀鱈の粕漬けをはじめ、一品料理・寿司・刺身など創業時からの定番も引き続き味わえるほか、おまかせも楽しめる。

しろう

2007年から 『Shiro’s』 の共同経営者になり、それ以前からベルビューで 『I Love Sushi on Lake Bellevue』 を経営してきた横山義久社長は、今年6月9日、サンフランシスコの金融街に I Love Sushi グループの傘下であるレストラン『Kusakabe(日下部)』を開店。今後の10年計画では、シアトル発の I Love Sushi グループの傘下としてロサンゼルス、ポートランド、そしてニューヨークに “異なる名前の鮨店” を進出させてから京都へ逆上陸する。「これからはますます多くの日本の若い職人達が世界にチャレンジして成功するチャンスが到来してくる。その過程で、日本人の強みである組織の構成員としての “家族意識” をどのようにグローバル化していくかが大切だ」と熱く語ってくれた。

Shiro’s
2401 2nd Avenue, Seattle
毎日 5:30pm-10:30pm
(206) 443-9811
www.shiros.com

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