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寿司職人・汲田航太郎さん 「日本人として、寿司の伝統を引き継ぐ」

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2015年11月にシアトルのラベンナに 『Sushi Wataru』 を開店した汲田航太郎(くみた・こうたろう)さん。そのこだわりの江戸前寿司にはファンが多く、先月、料理界のアカデミー賞と言われるジェームズ・ビアード賞の今年のセミファイナリストに選出され、ますます多忙を極めている。

ノミネートについては、知人からのテキストで知ったという汲田さん。「"おめでとう" と書かれていたので、なんのことかとネットで調べて。この賞についてはよく知らなかったのですが、セミファイナリストの段階で周囲の人からいろいろ言ってもらえるなんて、とてもラッキーで名誉なことです。まだ開店して1年足らずなのに、なぜ僕が、という感じですが、ありがたく思っています」。

シアトルの伝説的寿司職人加柴司郎さんから伝統的な江戸前寿司の修行を受けた。「現地の人たちに、本当の寿司はこういうものなんだということを伝えるため」、日本でも修行し、シアトルに戻り、江戸前寿司を作り続けている。

「"美味しい" という感動の一言のためにがんばっています。かなりの人が気づいてくれますので、とてもやりがいがあります」

特に気を使うのは、ネタとシャリの温度。魚はもちろん、冷たいままではなく、少し置いて温度を上げてから握る。シャリは何度にも分けて炊き、人肌の温度ほどに保つため、藁櫃(わらびつ)という藁(わら)で編んだ入れ物におひつを入れる。こうすることで、一般的なステンレスの入れ物よりも、温度も湿度も適度に長く保てるそうだ。だしは鰹だしのみ。白えびと大和芋をすって入れる卵焼きは、1枚を2時間かけて焼く。

「アメリカンな巻き寿司はまったく出しません。本来の魚の味を最大限に生かすため、カウンターではすべて煮切り醤油を塗ります。山葵(わさび)も寿司下駄には決して置きません。お客様には理由をご説明し、山葵だけをお出しすることもしません。当店に来てくださるお客様は、ほとんどの方が醤油皿に醤油を入れませんね」。

汲田さんが親方と呼ぶシアトルの伝説的寿司職人加柴司郎さんは、「寿司は日本の文化。積極的に伝えなくては」と語る。

「いろいろな寿司屋がある中で、日本人として伝統を引き継いでいかなくてはという強い思いがあります。加柴司郎さんの弟子として、特に "ここアメリカで引き継いでいく" ことが大切だと思っています。そうでなければ、寿司が寿司でなくなっちゃいますからね!」

Sushi Wataru
2400 NE 65th Street, Seattle(地図
予約:www.seatme.yelp.com/r/wataru/
最新情報:www.facebook.com/wataruseattle

掲載:2017年3月

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