アメリカで20番目に大きく(172,364平方キロ)、日本の国土の半分近い面積があるワシントン州には、5つの成層火山(stratovolcano)があります。この記事では、それぞれの火山の特徴をまとめました。詳細はリンク先のページでもご覧いただけます。
マウント・ベーカー(Mount Baker)

ワシントン州北部にそびえるマウント・ベーカーは、標高3,286メートルの成層火山で、シアトルから車で約3時間。年間降雪量が非常に多く、スキーリゾートとしても人気です。最後の噴火は1880年代ですが、1975年には火山性の蒸気噴出が観測され、現在も火山活動の兆候があります。カスケード山脈の中でも最も氷河が多い山のひとつです。

グレーシャー・ピーク(Glacier Peak)

©︎Jason Hummel / Courtesy of State of Washington Tourism
人里離れた山中に位置するグレーシャー・ピークは、標高3,213メートルの成層火山で、ワシントン州で最もアクセスが困難な火山です。過去1万5千年で数十回の噴火があり、最近では18世紀以降に小規模な噴火が起きたと考えられています。登山ルートが整備されておらず、経験豊富な登山者向けの山として知られています。

マウント・レーニア(Mount Rainier)

Visit Tacoma-Pierce County
Naches Peak Trail, Mount Rainier, Pierce County, Metro Puget Sound | Nature & Landscapes
標高4,392メートルとワシントン州最高峰のマウント・レーニアは、シアトルからも姿が見える象徴的な火山です。氷河を多く抱え、溶岩流や火砕流よりも、氷河の融解による土石流(ラハール)が大きな脅威とされています。活火山でありながら国立公園としても人気が高く、多くの登山者や観光客が訪れます。

マウント・セント・ヘレンズ(Mount St. Helens)

1980年の大噴火で山の形が大きく変わったことで知られるマウント・セント・ヘレンズは、標高2,549メートル。噴火による火山灰や土石流、森林破壊は甚大で、以降も小規模な噴火が続きました。現在は火口の周囲が火山研究や防災教育の拠点となっており、ビジターセンターや展望台からその姿を間近に見ることができます。

マウント・アダムス(Mount Adams)

標高3,743メートルのマウント・アダムスは、カスケード山脈の中で2番目に高い山で、比較的静かな火山とされています。最後の噴火はおよそ1,000年前とされ、近年は大きな活動は確認されていませんが、将来的な噴火の可能性は否定されていません。ハイキングやキャンプの人気スポットとしても親しまれています。

マウント・アダムスを除く4つの火山が過去250年の間に噴火していますが、火山活動が活性化する時期を予測することはとても困難です。
カスケード・レンジとは(Cascade Range)

これらの火山は、太平洋を囲む環太平洋火山帯(Ring of Fire)の一部を構成している、カスケード・レンジ(Cascade Range)と呼ばれる火山弧(volcanic arc)の一部です。
カスケード・レンジは、カナダのブリティッシュ・コロンビア州からカリフォルニア州北部まで伸びており、アメリカにある13の主要な火山が、このカスケード・レンジに含まれています。
ワシントン州天然資源管理局やワシントン州政府によると、この火山弧では過去12000年の間に200回以上の噴火が観測されています。そのたびに火山灰(tephra)、溶岩流(lava flow)、火山泥流(lahar)が発生していることがわかっています。