シアトルから日帰りや週末旅行で行ける自然の楽園、オリンピック半島(Olympic Peninsula)。ピュージェット湾を挟んでダウンタウンの西側に広がるこの半島は、都会の喧騒を離れて、山・森・海のすべてを一度に楽しめる貴重な場所です。
オリンピック半島の基本
半島の大部分を占めるのが、オリンピック国立公園(Olympic National Park)。その面積は約3,734平方キロメートルで、奈良県とほぼ同じ、東京都の約1.6倍にもおよぶ広さがあります。
そんな広大なこの公園は、雪を頂くオリンピック山脈、世界的にも珍しい温帯雨林(レインフォレスト)、そして100キロ以上続く手付かずの太平洋の海岸線という、まったく異なる3つの自然環境を一度に体感できるのが大きな魅力。その多様性から「Three Parks in One(3つの公園が1つに)」と呼ばれることも。
1897年にクリーブランド大統領が森林保護区として指定し、1938年にはルーズベルト大統領によって国立公園に。以来、地元の人々にとっても、観光客にとっても、オリンピック半島はワシントン州を代表する自然の宝庫として愛され続けています。
アクセス方法
シアトルからオリンピック半島へ向かうには、次の4つの方法があります。
- ワシントン州フェリー利用:シアトルのウォーターフロントのピア50〜ブレマートン(Bremerton)行きのフェリーか、シアトルの北のエドモンズからキングストン行きのフェリーに車ごと乗船します。フェリーを降りたら、車で西へ進みます。※フェリーは週末や夏は混雑するため、可能であれば事前予約がおすすめです。
- 陸路(車のみ):タコマ経由でI-5から州道16号線→州道3号線と乗り継いで進みます。フェリーを使わない場合は、車で約3〜4時間。舗装されていない道では晴れていても視界不良になることがあります。日中でもヘッドライトを点灯すると安全です。
- 長距離バス:ポート・エンジェルス(Port Angeles)など一部の町までは公共交通も利用可能ですが、車があった方が断然便利です。
- ツアー:広大なオリンピック半島を見て回るには、ツアーも便利です。特に一人で旅行する場合は、ツアーが安心。

気候と自然
春から秋にかけては比較的天候が安定し、夏は最高気温が20℃前後で過ごしやすい一方、冬は雨・雪・嵐が多く、真冬の防寒・雨・雪対策が必須です。
シアトルからも見えるオリンピック山脈の標高は最高約2,670m。年間降水量は低地で3,800mm、頂上の降雪は最大38mに達することも。特に西側の湿潤な気候が育んだ世界遺産級の温帯雨林(レインフォレスト)は、北半球では極めて珍しく、苔むした幻想的な森が広がります。
おすすめの季節・服装
- 春〜秋(5月〜10月):気候も安定し、トレイルや道路も開通していて観光のベストシーズン。特に夏は晴天率が高く、高山植物や星空観察にも適しています。
- 冬(11月〜4月):ハリケーン・リッジではスノーシューやクロスカントリースキーも楽しめますが、天候に注意が必要。山岳部は積雪のため通行止めになることも。
服装は、年間を通じて防寒・防水対策が基本です。朝晩は冷えることが多く、天候も変わりやすいため、重ね着+レインジャケットが安心。ハイキングを予定している方は、長袖・パンツ(長ズボン)、歩きやすい靴と飲み物、虫よけスプレーも忘れずに。
見どころとアクティビティ
定番スポット
- ハリケーン・リッジ(Hurricane Ridge):絶景の山岳展望地。晴れた日にはカナダまで見渡せることも。
- ホー・レインフォレスト(Hoh Rain Forest):苔と巨大な針葉樹が生み出す静寂な世界。必見のハイキングコース「ホール・オブ・モス」あり。※2025年4月時点で、2024年11月の暴風雨により道路が閉鎖中
- ルビー・ビーチ(Ruby Beach):流木と奇岩のダイナミックな太平洋の海岸。
- ソル・ダック温泉(Sol Duc Hot Springs):硫黄泉に浸かれる山の温泉リゾート。
所要日数の目安
- 日帰り旅行:玄関口周辺(例:ポート・エンジェルス)だけなら可能。
- 本格観光:2〜3泊がおすすめ。ハイキング・キャンプ・ドライブを楽しみながらじっくり周遊できます。
道路・ガソリン事情
- 半島を一周するハイウェイ101号線を使う前提で、ルートを組むのが一般的。
- 山間部はガードレールなし・センターライン消失・街灯なしの箇所も多く、夜間の運転はおすすめしません。
- ガスステーションは点在していますが、ガソリンは常に半分以上を保つこと。
宿泊オプション
公園内の宿泊施設(一例)
- Log Cabin Resort(レイク・クレセント北岸)
- Lake Crescent Lodge(南岸)
- Sol Duc Hot Springs Resort
- Kalaloch Lodge(太平洋岸)
そのほか、モーテル・キャンプ・コテージ・バケーションハウス・キャビン・ユルトなど多彩な選択肢があります。夏やイベント時期は早めの予約を!
持って行きたい持ち物チェックリスト
- レインジャケット・折りたたみ傘
- スマートフォン+モバイル充電器
- 水・スナック・常備薬・救急セット
- サングラス・日焼け止め・帽子
- 懐中電灯・電池・レジャーシート
- 車載工具・応急用表示器具
※キャンプの場合は、テント、防水シート、エアマットレス、小型BBQグリルなども。
安全対策と自然保護
- 野生動物には絶対に餌を与えない
- 車上荒らし防止のため、貴重品を車内に放置しない
- クマ避けのため、食べ物は吊るす/密閉保存が基本
- 夜間・過疎地の走行は極力避け、安全運転を心がけましょう
便利なリンク集(公式サイト)
取材協力: オリンピック半島北部観光局 Visit Seattle