真冬のシアトルでは釣りの機会も限られるが、ワシントン州東部でアイスフィッシングができることは意外に知られていない。
カスケード山脈の東側へ
もっとも、カスケード山脈の西側(ワシントン州西部)では、さすがに凍結する湖はないので、どうしてもカスケード山脈の峠を越え、東側(ワシントン州東部)まで足を伸ばさねばならない。
シアトルからI-5を南下し、12号線に乗り換えて東へ走り、ホワイト・パスのスキー場を越えたら数分。片道3時間半のドライブで、アイスフィッシングが楽しめるドッグ・レイク(Dog Lake)が見えてくる。
しかも、ここで冬場に釣れるのはイワナ(Brook Trout)である。イワナは日本でも渓流釣りの王者と言われ、塩焼きが特に美味だが、シアトル近郊の低地の湖では釣ることができない。さらに、ニジマスと違って格段に美味しいとあっては、ここまで遠征するだけの価値は十分にある。
アイスフィッシングに必要な道具
アイスフィッシングは普通の釣りとはまったく別の世界で、道具もいろいろと必要である。
まずは、氷に穴を開ける auger と呼ばれる大きなドリルがないと始まらない。基本は手でグルグル回すだけの道具だが、結構力がいるので、我が家ではこれに電動ドリルを装着するハーネスを購入してから作業がずいぶん楽になった。
氷の厚さは最低4インチ(約10cm)あれば安全と言われているが、厳寒期には30インチ(約76cm)もの氷が張ってしまい、こうなるといくら掘っても水面まで届かないので、氷の厚さが10~20インチ(約25~50cm)くらいのタイミングを見計らうのがよろしいようだ。
そして釣竿はアイスフィッシング専用の18~24インチ(約46~61cm)の超短いものを使う。リールはトラウトやスメルト用の小さなものなら何でも良く、スポーツ用品店などで売っている子供用の竿とリールのコンボでも十分だが、専用の竿も$10位の安いものがオンラインで出回っている。
Dog Lake はイワナは制限なしに釣ってよく、しかも一人で2本の竿を使って良いので、一本は置き竿にして、もう一本を手で持ってしゃくっていればどちらかに掛かるので面白い。
アイスフィッシングの仕掛け
仕掛けもごく簡単で、1/16オンス(約2g)位の極小のスプーンをラインに付けて、静かにしゃくるか、それにミミズの切れっぱしをつけてもいい。置き竿でもイワナは結構かかってくる。
今回は底が15フィート(約4.6m)位の浅いポイントに穴を開けて釣ってみたが、コンスタントにアタリがあって、息子と二人で半日で70匹も釣れてしまった。
また、魚探はなくても釣りはできるが、やはり簡単なものでもあれば、魚がどの深さにいるかがわかり、タナを合わせられる。本気で釣るならば必需品だ。
古い魚探があったので、それを木の棒に固定して水中に突っ込み、バッテリーにつなげておいた。すると、魚が真下に来た時にピピっと魚影が映り、ほぼ同時にアタリが来た。
準備は万全に
しかし、簡単な釣りとは言っても、こうした道具に加えて、バケツ、折り畳みイス、昼食用のコンロ、食料などと荷物は結構な量になるので、氷上を移動するためのソリもあった方が良い。
また、天気が良ければ氷上は意外にポカポカと暖かいが、雪や風の日は極寒となるので、アイスフィッシング用のテントもあれば快適だ。中で暖を取りながら、ラーメンを作ったりコーヒーを入れたり酒を飲んだりと、この釣りもハマっていくとキリがないほど、新しい世界が開けてくる。
シアトルからはやや遠いので、手前の Packwood 辺りで一泊するというのが我が家のパターンだが、朝5時頃にシアトルを出れば、日帰りもできなくはない。
スキー場の目の前なので、元気な人はよく釣れる午前中に釣りまくって、午後はスキーやスノボをを楽しんでくるというプランもありかと思うが、いかがだろうか?
ワシントン州で魚釣りや潮干狩りをするには、ライセンスを購入する必要があります。また、量・数には制限があります。ワシントン州魚類野生動物管理局(WDFW)の公式サイトでライセンスを購入し、規則を読んでから出かけましょう。