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シアトルでレーザー・クラムを掘る(潮干狩り)

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4月は暖かくなり、潮の具合も丁度よろしくなるので、今回は潮干狩りがテーマです。貝掘りは釣りではない、というのは確かに正論ですが、まあ魚介類ひっくるめて言えば、広い意味で釣りのようなものなので、ご勘弁を。

もくじ

レーザー・クラムとは

潮干狩り

潮干狩り(Clam Digging)と言うと、日本人はたいていアサリやハマグリなどを砂浜で小さなスコップで掻き出すことを想像するが、シアトルのアメリカ人にとってクラム掘りとは、レーザー・クラムのことを指すのが普通である。

レーザー・クラムは太平洋岸のビーチで採れる、マテ貝を大きくしたような2枚貝で、文字通り薄い刃物のような形をしている。日本では、マテ貝は引き潮の浜で小さな穴に塩を振りいれると、貝が潮が満ちてきたと勘違いするのか、水管をニョキッと突き出すので、それをむんずと掴んで引き出してしまう。しかし、当地のレーザー・クラムはそんな生易しいことでは採取できない。

レーザー・クラムの掘り方

潮干狩り

貝の穴を見つけるまでは同じであるが、大きいだけにかなり深いところに生息しており、これを掘り出すには普通のシャベルでは追いつかないのである。誰が考案したのか、クラム・ガンと呼ばれる大砲の筒のような道具を砂の中にズブズブと押し込み、ハンドルの空気穴を指でしっかり押さえながら引き出すと、ズッポリと貝が砂ごと土管のように抜き取れるという仕掛けである。もっとも、一回でうまく貝がゲットできるとは限らない。敵も水管をすばやく引っ込めて、砂中に潜ってしまうからだ。マテ貝に「マテ」と言っても待ってはくれない・・・。

しかし、これを2回、3回と繰り返せば、かなりの確率で立派なクラムを手にすることができる。ただし、これは正に土木工事のように体力を使う作業なので、無理して腰を痛めないように注意が必要である。

レーザー・クラムのシーズンは秋から春にかけてだが、解禁日は事前に発表されるので、ワシントン州魚類野生生物局の公報で確認してから計画されますように。

冬の間は引き潮が夜にかかってしまうので、ランタンなどを持っていかないと貝探しは難しい。そして春には早朝が解禁となるので、メチャ早起きして、干潮の1時間前には現地に着くようにしないと、タイミングを逃してしまう。なにしろ、現地まではシアトルから3時間はかかるので、楽な行楽ではないが、アメリカ人はこれが大好きで、解禁日のビーチは数万人の人出で賑わうのである。

お奨めのスポットは、Ocean Shores か、その北にある Mockrocks Beach の Roosebelt Beach で、この2ヶ所が他よりもクラムの埋蔵量が多いようである。リミットは一人15個と決まっているので、採り過ぎはご法度。数を確保するには、家族総出で出陣するのがよろしいようで。

レーザー・クラムの食べ方

潮干狩り

食べ方は、刺身でも、刻んで中華炒めでも美味だが、醤油味で炊き込みご飯などという手もある。しかし、アメリカ人が好むだけあって、この貝はなんとなく洋風料理にあうようだ。我が家の定番は、イタリア風にパルメザンとパン粉をまぶして炒めるというもの。まずは貝殻からはずして内臓を出して「開き」状態にし、小麦粉をまぶし、溶き卵にくぐらせる。パン粉にパセリのみじん切りとパルメザン・チーズをたっぷりと混ぜて、これにクラムを絡めたものを、フライパンで炒め揚げするのだ。下味は塩とガーリック・パウダーなどで十分。油はバターとオリーブオイルを半々で、両面がこんがりキツネ色になるように火を通し、レモンなどを絞って食べれば、白ワインが一本は空いてしまう。一度、お試しあれ。

詳しいクラム情報はワシントン州魚類野生生物局の公式サイトを参照。

ワシントン州で魚釣りや潮干狩りをするには、ライセンスを購入する必要があります。また、量・数には制限があります。ワシントン州魚類野生動物管理局(WDFW)の公式サイトでライセンスを購入し、規則を読んでから出かけましょう。

文:光岡則夫
1952年、横須賀生まれ。小学生の時に2年間をアメリカで過ごす。東京大学卒業後に電通に入社、旅行会社への転職を経て、1981年にロサンゼルスの DENTSU AMERICA へ。その後、オイル・チェンジのバルブを販売する会社をシアトルで起業。普段は釣りや松茸狩りなど、ワシントン州の四季を満喫する日々を送っている。『ぶらぼおな人』での取材記事はこちら。ワシントン州での釣り、松茸狩り、栗拾い、山菜取りなどについてまとめた 『人生そぞろ歩き』 を文芸社から出版。

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