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ホリデー・シーズン恒例 パシフィック・ノースウエスト・バレエ『The Nutcracker』

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ホリデー・シーズン恒例のバレエ 『The Nutcracker(ザ・ナットクラッカー/くるみ割り人形)』。クリスマスイブにくるみ割り人形を贈られた少女が夢の世界で王子とともにさまざまな国を訪れるお話で、きらびやかな衣装や舞台セットがホリデー気分を盛り上げてくれます。バレエに馴染みがなくても、チャイコフスキーが手がけた楽曲を耳にしたことがある方は多いでしょう。

シアトル最大のバレエ団、パシフィック・ノースウエスト・バレエは1975年から『The Nutcracker』を上演しており、今ではすっかりシアトルの定番となりました(2015年からはバランシン版を上演)。

プロのダンサーたちに加え、所属バレエスクールの生徒たちも多数出演する作品ですが、2023年の舞台では日本人の河野結衣さんが主人公のクララ役を踊っています。今回、その結衣さんにZoomでお話を聞くことができました。

もくじ

あらすじ

Pacific Northwest Ballet company dancers in a scene from George Balanchine’s The Nutcracker(r), choreographed by George Balanchine (c) The George Balanchine Trust. PNB’s acclaimed production returns to McCaw Hall at Seattle Center November 24 – December 27, 2023. Photo (c) Angela Sterling.

クリスマス・イブに、ドロッセルマイヤーおじさんにくるみ割り人形をもらった少女のクララ。その夜、みんなが寝静まった後、物音がしたので居間に行くと、いきなり体が小さくなり、ねずみ達に襲われてしまいそうになりました。弟フランツのおもちゃの兵隊たちがねずみ達と戦い始め、そこにくるみ割り人形も現れて、クララを助けようとします。クララが勇気を出してねずみの王様にスリッパを投げつけた後、くるみ割り人形はねずみの王様を倒し、二人が不思議な森へ行くと、古の魔法が解け、くるみ割り人形はハンサムな人間の王子になりました。二人は船に乗ってお菓子の国に行き、金平糖の精が出迎えられ、さまざまな国からやってきたダンサーたちの踊りを鑑賞します。その後、クララは王子と一緒にそりに乗って空に駆け上がり、家路につくのでした。

原作:E.T.A. ホフマン作『The Nutcracker and the Mouse King』(1816)
音楽:チャイコフスキー(The Nutcracker, Op. 71, 1891-1892)
舞台美術・衣装:イアン・ファルコナー( 『Olivia the Pig(邦題:オリビア)』 シリーズなどで知られる絵本作家/イラストレーター/舞台・衣裳デザイナー)

主人公のクララ役 河野結衣さん Q&A

Yui Kohno as Clara (center) with Pacific Northwest Ballet School students in a scene from George Balanchine’s The Nutcracker(r), choreographed by George Balanchine (c) The George Balanchine Trust. PNB’s acclaimed production returns to McCaw Hall at Seattle Center November 24 – December 27, 2023, and streams digitally December 18 – 27. Photo (c) Angela Sterling.

結衣さんは今年9月にミドルスクールに入ったばかりの6年生ですね。バレエを始めた年とそのきっかけについて教えてください。

わたしがバレエを始めたのは2歳半の時です。初めてバレエについて知ったのは『Angelina Ballerina』というシリーズの本を読んだ時で、「トウシューズを履いて、ステージに上がって踊りたい」と思いました。両親に「バレエをやりたい」と言ったら、「あ、いいよ」という感じで、レッスンを受け始めたのです。その後、母がパシフィック・ノースウエスト・バレエのバレエ・スクールを見つけてきてくれました。

トウシューズを初めて履いた時のことを覚えていますか。

覚えています。ずっとその日を待っていたので、初めてトウシューズを履いて立った時は、本当に嬉しかったです。

今回のクララ役に決まるまで、どのような舞台を経験してきましたか。

2021年の『The Nutcracker』では、パーティの場面で踊ったりするパーティ・ガールの一人でした。とても楽しかったです。その後、2022年4月の『Swan Lake(白鳥の湖)』で、ペルシアン・アテンダント役(Persian Attendant)に選ばれました。とても短い踊りでしたが、舞台に立つことができました。その年の『The Nutcracker』の舞台では、マザー・ジンジャー(Mother Ginger)の巨大なドレスのようなコスチュームから出てくる8人のポリシネール(The Polichinelles)の一人を踊りました。今年2月の『Giselle(ジゼル)』では、村娘の役に選ばれました。本当に短い踊りですが、嬉しかったです。そして、今年9月の末ぐらいに『The Nutcracker』のオーディションを受け、3日後ぐらいに発表があったのですが、クララ役に選ばれたと知って、びっくりしました。とても嬉しくなって、「私は本当にクララなんだ。ずっとやりたかった役で、本当にそれになれたんだから、今年もがんばって踊りたい」と思いました。

『The Nutcracker』は公演期間が長く、普段の練習やリハーサルもあります。平日は学校もあるわけですが、どのように時間を管理していますか。

まず、学校の宿題は車の中で終わらせ、バレエのリハーサルやクラスには、なるべく早く着きます。そして、たくさん食べて、たくさん寝て、ストレッチを毎日します。そのようにして、なんとかやっています。

Pacific Northwest Ballet principal dancer James Yoichi Moore as Drosselmeier, with PNB School student Yui Kohno as Clara, in a scene from George Balanchine’s The Nutcracker(r), choreographed by George Balanchine (c) The George Balanchine Trust. PNB’s acclaimed production returns to McCaw Hall at Seattle Center November 24 – December 27, 2023, and streams digitally December 18 – 27. Photo (c) Angela Sterling.

クララとして、どんな工夫をしていますか。

どうすれば自分が感じていることを観客に伝えられるか、それをいつも考えています。例えば、ネズミが出てくる場面では、クララが怖がっていると伝わるように工夫します。難しいですが、面白いと思います。

プロダクションのメンバーとうまくやるのに工夫したことは、どんなことでしょう。

他のメンバーたちとよく話します。英語では “Merde!”という言葉があります。「今日はがんばってね」「Good luck!」というような意味ですが、プロフェッショナルのカンパニーのダンサー同士が公演の前にこれをお互いに言って励ますのがとてもいいと思います。

工夫して上手くいったことは、パーティー・ガール役の一人が「パーティーの場面でのダンスをもっと練習したい」と言ったので、みんなで集まって練習したら、その日のステージはとても良かったのです。みんなで練習した成果がパフォーマンスに出たと思いました。

今回の舞台で初めて経験したことには、どのようなことがありますか。

二つ大きなことがあります。一つは、第一幕が終わった時、王子とクララとドロッセルマイヤー(クララにくるみ割り人形をプレゼントする、不思議な人物)の三人でのカーテンコールです(舞台上に現れて、観客に挨拶をすること)。お辞儀をする時にたくさん拍手をされるのですが、それがとても気持ちいいです。

もう一つは、パシフィック・ノースウエスト・バレエのプリンシパル(バレエ団の中で最高位のダンサー)の一人のアンジェリカ・ジェネロサ(今回の舞台では『Dew Drop』役)が、第二幕の『花のワルツ』を、私の目の前で踊ることです。自分の目の前でプロのダンサーの踊りを観られるなんて、とてもすばらしいです。

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